誤解ポイント1:大きく変動すれば年途中でも修正される

3~5月の給与と6月以降の給与に差がある場合、実態に合わない「標準報酬月額」になることがわかりました。

ただし、例えば昇給や降給などで賃金が大きく変動した場合は、年の途中で「随時改定」が行われます。

日本年金機構によると、随時改定が行われる条件は次の3つです。

  • 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
  • 変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  • 3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

やや厳しい条件とはなりますが、これらにあてはまれば標準報酬月額は年の途中で改定されることとなります。

誤解ポイント2:社会保険料は掛け捨てではない

天引きの額が増えれば手取りが減るため、「損した」と感じてしまうかもしれません。

しかし、そもそも社会保険料は「払いっぱなし」というわけではありません。

例えば厚生年金保険料は、払えば払うほど受け取れる年金額があがります。

2021年度の厚生年金の平均受給額は月額約14.4万円。これだけで足りないと思うなら、たくさんの給料を得てたくさんの保険料を支払うことで、年金を増やすことも可能になります。

また健康保険からの給付にも大きな影響を与えます。

例えば傷病手当金。病気やケガをしたときに会社を休むと、一定の条件を満たす場合に給料の約3分の2が受け取れます。

実際の支給額を算出するときに使うのが「標準報酬月額」なので、給付を受けるのであれば高い方が得だと言えるでしょう。

同じ考え方で、出産手当金や育児休業給付でも標準報酬月額を使うため、いざというときは高い日額を受け取れます。

「少ないほうがいい」とは一概に言えないことが、おわかりいただけると思います。