経済産業省主導で始まったプレミアムフライデー

先週の金曜日(2月最終金曜日の2月24日)は、初のプレミアムフライデーでした。皆さんはどう過ごされたでしたでしょうか。早く仕事を切り上げてプレミアムフライデーを楽しむことができた方もいらっしゃれば、普段と変わらない金曜日だった方もいらっしゃるかと思います。

ご存じの通り、プレミアムフライデーは、経済産業省と経団連の主導による、月末金曜日の退社時間を午後3時に早めるよう企業に呼びかける活動のことです。けっこう力が入っているようで、経済産業省の委託事業として博報堂が「プレミアムフライデー推進協議会(以下、協議会)」を立ち上げ、大々的に広報活動を行っています。

そのため、自分に関係するかどうかはともかく、「プレミアムフライデー」なるものが始まったことをご存じの方は多いのではないでしょうか。

プレミアムフライデーを導入した企業

経済産業省としては、週末の金曜日の夕方を、業務以外の時間として有効に活用してもらうことで消費の拡大を推し進めようと考えているようです。

協議会のサイトでは、プレミアムフライデーの取り組みに関する事例が紹介されています。その多くは、小売や外食、旅行代理店等といった、プレミアムフライデーによって恩恵を受けそうな企業が行っているキャンペーンの紹介ですが、プレミアムフライデーに賛同して社員を早く帰社させることを宣言する企業も事例も一部紹介されています。

たとえば、ソフトバンク(9984)は、約16,000人の社員を対象にプレミアムフライデーを導入するとともに、4月から人事制度を変更して、10,000人規模でスーパーフレックス制度を導入するほか、在宅勤務制度も将来的に全社へ拡大することを目指すとしています。

また、企業PRや販促支援が中核事業のサニーサイドアップ(2180)は、もともと「恋愛勝負休暇」「失恋休暇」といったプライベート充実休暇制度等のユニークな制度を導入している会社です。

同社は今回のプレミアムフライデーに際し、「たのきん制度」と称した制度を導入しましたが、非正規雇用社員を正社員と同様の待遇にしているところに特徴があります。支援金も正社員と同額支給されるだけでなく、非正規雇用社員は正社員と同じく15時に帰れますが、19時までの給料が支払われるようにしています。

それぞれ、いろいろな工夫をしているようです。

プレミアムフライデーは普及する?

企業にとってプレミアムフライデーを導入するメリットには、次のようなものがあげられます。

  1. 従来と同じ業務量を短い時間で行うために、生産性を上げる工夫がなされる
  2. (やり方によっては)社内のコミュニケーションの活性化を図ることができる
  3. 正社員以外にも同等の対応ができるなら、派遣社員やアルバイトのモチベーションを上げることができる
  4. 従業員を大切にする姿勢をアピールすることができ、採用活動にプラスになる

逆に、以下のようなデメリットも考えられますので、プレミアムフライデーに慎重な見方もあります。

  1. 小売や外食、サービス業などの業種の企業は、金曜日の夕方がかき入れ時で休めない
  2. 慢性的に人員不足になっている場合、導入すると業務が回らなくなってしまう
  3. 逆に土日や他の日の残業が増える可能性がある

今回、プレミアムフライデーを導入して、早い時間帯に従業員の帰社を促した企業はわずかのようです。まだ1回だけなので、プレミアムフライデーが本当に定着するかどうかは分かりませんが、上にあげたような企業にとってのメリットもあるので、デメリットを克服しながら少しずつ普及が進むというのが、メインシナリオだと思われます。

プレミアムフライデーでできた時間は何に使う?

ところで、テレビのニュースでインタビューを受けていた男性が、次のようにコメントしていました。「いざ早く帰ることになっても、やることがない」。定年退職後に、多くの時間を持て余してしまう人の話によく似ています。

ファイナンシャルプランナーとして資産運用についてご相談を受ける際、運用したお金をどのように使うかをお聞きするようにしています。漠然と将来が不安とおっしゃる方よりは、「このようなことに使うつもり」とはっきりお話される方のほうが、目標が明確になっている分、プランニングの内容もいっそう現実的なものになるような印象があります。

時間もお金も、それを得ることが目的ではありません。自分がやりたいことを実現するための手段です。自分がやりたいことがよく分かっていない方は、分かっていないことも含めて、家族にでも友人にでも話をしてみてください。人に話すと見えてくることもあるというものです。

そのようなコミュニケーションのために、次のプレミアムフライデーの時間を充てるのも良いかもしれません。

藤野 敬太