そもそも「老後に2000万円必要」の根拠とは?
2000万円の貯蓄を達成している割合を見ていきましたが、そもそも「老後2000万円問題」はどのような数字から算出されたのでしょうか。
ここでは2000万円の試算根拠を整理していきます。
2000万円の根拠となったシミュレーション条件は次の通りです。
- ずっと会社員だった夫とずっと専業主婦だった妻という夫婦
- 実収入(主に年金)は20万9198円
- 実支出(主に食費など)は26万3718円
- 老後は30年続く
これらのシミュレーション条件を見てみていかがでしょうか。
そもそも夫婦2人世帯であることから、おひとりさま世帯ではあてはまりにくい数字になっています。
今の現役世代では、夫婦世帯であっても「ずっと専業主婦」という家庭は少ないかもしれません。働き方が違えば、必然的に目安となる年金受給額も異なるでしょう。
つまり「老後2000万円問題」はすべての人にあてはまる数字ではないということです。
ただし、だからといって2000万円が必要でないというわけではありません。例えば上記の試算条件のうち、支出額である26万3718円に介護費用は含まれていません。
将来の介護費用は、子どもや孫に負わせることなく自分で用意するのが理想です。
こう考えると、2000万円に上乗せした費用が必要になる人も多いと考えられますね。
まとめにかえて
「貯蓄2000万円」を達成する60代は、単身世帯で20.5%、二人以上世帯で32.9%でした。
ただしそもそも「老後2000万円問題」はあくまでも一つの条件下でシミュレーションした一例に過ぎないため、2000万円を基準に考えるのはリスクがあります。
まずは年金の受給額や収支の目安をつかみ、必要となる金額を考えてみましょう。
ライフプランツールなどを使ってみるのも一つですね。
日々のやりくりも大切ですが、老後のお金はできるだけ早くから準備をしておきたいものです。
預貯金に加えて保険や資産運用なども視野に入れて、自分に合う最適な貯蓄方法を見つけてみましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ第21回(厚生労働省提出資料)」
LIMO編集部