繰り下げ受給はハードルが高い?メリットとデメリットを比較

年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額を上げられる繰り下げ受給。具体的には1カ月あたり0.7%増額できます。

1年で8.4%なので、最大の75歳まで繰り下げれば84%も増額できる計算になります。

しかし厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の繰り下げ率は1~2%台で推移しています。

先ほどの調査でも、「71歳以降に繰り下げたい」と答えた若者は7.4%に留まります。

なかなか選択されない繰り下げ受給について、そのメリットとデメリットを見ていきましょう。

繰り下げ受給のおもなメリット

受給額を上げられることが何よりのメリットです。

増額は一生涯に渡るため、長生きすればそのメリットをより享受できます。

繰り下げ受給のおもなデメリット

年金を受給するまでの間は無年金となるため、その間働くか預貯金を切り崩すこととなります。

厚生労働省の「健康寿命の令和元年値について」によると、平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。さらに健康寿命は男性で72.68歳、女性で75.38歳。

これらを参考にする限り、75歳まで受給を遅らせるのは不安が残ります。

また増額された年金からは、税金や保険料が天引きされます。課税所得が増えるほど天引きされる金額も増えるため、「思ったより手取りが増えない」というケースもあります。

非課税ラインの方が課税額を超えると、さらに負担感が増すでしょう。

手続きの煩雑さもデメリットの一つです。もともと申請制の年金ですが、繰り下げ受給をする場合はさらに申請が必要になります。

「国民年金のみ繰り下げるのか、厚生年金も繰り下げるのか」などのパターンごとに手続き方法が変わるため、その複雑さから断念する方もいます。