資料の貸し出し・セルフコピーは一切対応していない!
なぜ国会図書館の入館時にここまで厳重な対応が求められるのかというと、「資料の持ち出しを防ぐため」です。
この段階で大半の方は首をかしげるかもしれません。
国会図書館以外の図書館は1人当たりの冊数制限はあるにしろ、資料を館外へ貸し出してくれるものだからです。
しかし、国会図書館は資料の館外持ち出しが一切できないばかりか、「自分で本を探して持ってくる」ことすらできません。
館内で資料を閲覧するときは、「閲覧したい本の名前」などを指定して依頼し、カウンターで資料を受け取る形になります。
どうしても一部を外に持ち出したい場合は、複写サービスを利用することになります。
自分でコピーを取ることも禁じられているので、「この本」の「このページの範囲」を取りたい、と具体的に範囲を指定して申し込む必要があります。
範囲によっては「著作権法上の許容範囲」を超えることがあるので断られるケースもあります。
できるだけ必要最低限の範囲で申し込みましょう。
ちなみに、複写サービスもそれなりに待ち時間があるので、時間に余裕をもって申し込むのがおすすめです。
メリットとしては、プロがしっかりきれいに複写してくれるので、自分でコピーするよりもクオリティが高いことです。
なお、ここまで厳密に「利用者に蔵書をできる限り触らせず、持ち出させない」対応をする理由は、国会図書館の蔵書量と、その蔵書の希少性によります。
地方紙の過去分や、マイナーな論文誌など「国会図書館にしかない資料」が非常に多くあり、そうそう気軽に持ち出されると困るのでしょう。
実際、持ち出しを許可している地方自治体の図書館の公式サイトには「汚損時の弁償基準」というようなページが必ずありますし、図書館に行くとたまに「ギリギリ読める状態の本」にも出合うことがあります。
これらは「持ち出しできる」メリットの裏返しでもあるのです。