もうすぐ新年度。新しいことをはじめようと、話題のつみたてNISAが気になっている方もいるでしょう。

つみたてNISAで資産運用を始めたものの、いつ資産を売却したら良いのか、売り時が分からない方は多いようです。「利益が出たら、すぐ売るべき?」「損が出たら、損切りすべき?」と心配になってしまう方もいるかもしれませんが、もともとつみたてNISAは長期運用を目的として作られた制度なので、頻繁に売買を繰り返すものではありません。

今回は投資初心者の方でも見定められるようになる、資産の売り時のポイントについて解説します。

つみたてNISAで頻繁に売買するのがNGな理由

資産運用では「安いときに商品を買って、高いときに売る」ことで利益を得ることができます。特に、毎日、頻繁に売買を繰り返すことでお金を増やしているような方々は、デイトレーダーと呼ばれています。彼らの多くは、株価や経済のニュース、会社の業績発表などを細かくチェックし、日々買い時や売り時を見定めることに注力しています。

一方、つみたてNISAは長期運用を行い、将来のためにお金をコツコツ増やしていくための制度です。つみたてNISAの対象商品は206本(2022年2月10日時点)。内訳は「インデックス投資信託(178本)・アクティブ運用投資信託等(21本)・上場株式投資信託(ETF)(7本)」

中でもインデックス投信に投資する人が多いでしょう。インデックス投信とは、日本株式なら東証株価指数(TOPIX)や日経225、米国株式ならNYダウやS&P500、世界株式ならMSCI指数などのベンチマーク(指標)に連動する運用成績を目指すもの。商品の仕組みが分かりやすいので初心者の方に人気です。

つみたてNISAにおいて、デイトレーダーのような売買のやり方が向いていないのには、以下の通り2つの理由があります。

1.非課税枠がなくなる

つみたてNISAは年間40万円まで、20年間、投資で得た利益が全て非課税となる制度です(非課税投資枠は20年間で最大800万円)。40万円の非課税枠は一度買ったら使い切りです。つみたてNISAの預かりを売却したとしても、その年の非課税枠は増えません。

つみたてNISAでは、デイトレーダーのように売り買いを繰り返しているとすぐに非課税枠を使い切ってしまうので、短期売買には向いていないと言われています。

2.価格の乱高下が大きい商品は少ない

つみたてNISAにラインナップされている商品は、もともと金融庁が定めた「長期・積立・分散」に適した投資信託に限定されています。短期間で価格の乱高下を繰り返し、大きな利益をあげられるような商品は少ないため、短期売買には向いていません。