2月16日にアスクル(2678)の埼玉県の物流センターで火事が発生。建物の窓が少ないという構造が災いし、鎮火に数日かかるという重大な事態となりました。

アスクルはサービスを即日復旧させたものの、火事をきっかけに株価は出来高を伴い大きく下落しています。今回はアスクルについて火事が発生するまでの会社の状況、そして今後の株価のポイントについて考えていきたいと思います。

アスクルの最新鋭の埼玉県物流センター「ロジパーク首都圏」で火事

2月16日に埼玉県三芳町にあるアスクルの物流センター「ロジパーク首都圏」で火事が発生。当初容易に鎮火するかに思えた火事でしたが、窓が少ない物流施設の構造なども災いして、放水が十分に行えず、鎮火するまで数日を要するという事態に陥りました。

「ロジパーク首都圏」はアスクルが誇る最新鋭の施設で、約200億円を投じ2013年に稼働しています。アスクル自慢の物流センターで、元来難しいとされていた人手を介さないロボットによるピッキングも行い、ニュース等でも度々取り上げられる話題の施設となっていました。

アスクルのサービス自体は即日復旧したが株価は下落

アスクルの首都圏の物流の要となっていた「ロジパーク首都圏」ですが、火事による影響は最低限に抑えられています。火事当日は一部サービスが利用できない状態ともなりましたが、配達の遅れは生じるもののサービス自体は即日復旧。法人向けサービスの「ASKUL」、個人向けサービスの「LOHACO」ともに、サービスはこれまで通り提供が行われています。

一方、「ロジパーク首都圏」の火事を受け、アスクルの株価は3,600円台から3,200円台に値下がりすることとなりました。また3月16日に予定していた決算発表(第3四半期)も延期する、と発表されています。

直近のアスクルの業績は絶好調

ここで改めて直近のアスクルの業績を確認していきましょう。

  • 2014年5月期 売上高253,408百万円、経常利益4,449百万円、当期純利益2,165百万円
  • 2015年5月期 売上高276,759百万円、経常利益6,959百万円、当期純利益4,032百万円
  • 2016年5月期 売上高315,024百万円、経常利益8,574百万円、当期純利益5,255百万円
  • 2017年5月期(予想)売上高348,000百万円、経常利益9,500百万円、当期純利益5,500百万円

2014年3月期以降のアスクルは毎期増収増益を果たしており、当期純利益ベースでは2014年5月期21億円→2016年5月期52億円と2年で2倍以上の利益規模となっています。そして火事がなければ当期も増収増益を予定しており、業績的には絶好調、というのがアスクルの状態です。

インターネット通販の普及を背景に、個人向けサービス「LOHACO」の展開や物流施設への投資を推し進め、業績は拡大の一方だったアスクルですが、業績拡大の原動力となった最新鋭の物流センターの火事により、思わぬ形で足元をすくわれることになってしまいました。

安値付近の株価3,000円を明確に割れると要注意

今回の火事を受けアスクルの株価は出来高を伴い下落しています。まだ全容解明がなされていないアスクルの「ロジパーク首都圏」の火事ですが、株価の面で言えば3,000円を確実に割れてくるようなら要注意となります。

現在のアスクルの株価水準は、2015年5月20日に窓を開けて上昇の地点からスタートしており、その間の安値のラインはほぼ3,000円に引くことができます。市場は3,000円を意識した展開となっています。

よって今後、株価のさらなる下落が発生した場合、3,000円を明確に割れるような事態となれば、アスクル株は下落に勢いがつき、新しい下落相場のスタートとなる可能性を有しており、注意が必要です。

アスクルの過去2年間の株価推移

今後について丁寧な説明が求められるアスクル

地域住民に対し避難勧告まで出る事態となってしまったアスクルの「ロジパーク首都圏」の火事は、まだ被害の全容がつかめていない状態です。

アスクルは火事の原因究明および今後の業績への影響等、今後投資家を始め関係者に対し丁寧な説明と対策が求められます。

まとめ

火事という思わぬ形で躓くこととなったアスクルですが、今後についてどのような対応をとるか関係者が固唾を飲んで見守っています。今後の対応が株価に影響する場面も生じるのではないでしょうか。

LIMO編集部