この記事の読みどころ
- テラスカイはクラウドサービスに関連する開発やサービス導入を国内中心に行っており、市場の成長とともに売上高が大きく拡大しています。
- クラウド業界が成長するためにはクラウドに精通したエンジニアが必要ですが、業界自体が成長途中にあるため人材獲得と育成が必要な状況にあります。
- 2018年2月期は、売上高の拡大が続くとともにどのような費用管理を行うことができるのかが注目点です。
テラスカイは拡大が続く国内クラウド市場を背景に成長中
テラスカイは、クラウドを活用したシステム開発やクラウドに特化した製品を開発・提供する企業です。同社は米セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)やアマゾン・ドットコム(Amazon.com)のクラウドサービスに関連する開発およびサービス導入を国内中心に行っており、クラウド市場の成長とともに売上高が大きく拡大しています。
同社が決算時の説明会資料で使用している株式会社MM総研の予想値によれば、国内クラウド市場の規模は2014年の約7,750億円から2019年度には2兆円を超えるまでに成長するとされています。
また、その予測の市場全体の内訳では、セールスフォース・ドットコムやアマゾン・ドットコム、米マイクロソフトなどが得意とするPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)や、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)といったパブリッククラウドの伸びとともに、プライベートクラウドも伸びる予想となっています。
最近は大手メガバンクでも一部事業領域でクラウドを導入する可能性が高まってきており、パブリッククラウドの市場拡大が予想以上の規模になることも想定しておく必要があると思われます。
ただし、クラウド業界が成長するためにはクラウドに精通したエンジニアが必要ですが、業界自体が成長途中にあるため、人材獲得と育成が必要な状況にあります。
同社もまた、売上高成長率は安定的に高い伸び率を実現しているものの、人材関連や外注などの費用などが増加しています。2017年2月期第3四半期累計(3-11月期)決算では、ソリューション事業の売上高は対前年同期比+40%増である一方、営業利益は同▲19%減となっており、売上高の成長と利益拡大のバランスが課題となっています。
競争環境としては、クラウドサービスを専業とする未上場企業もある状況で、今後エンジニアのリソースをどのように確保していくか、実績を積み上げられるかの競争になるかもしれません。
2017年2月期に関しては、第3四半期決算発表時点で会社予想は据え置かれています。ただし、通期の会社予想の営業利益2億6,700万円に対して第3四半期累計の営業利益が8,500万円にとどまっているため、第4四半期に大幅な利益の積み上げが必要となります。今年度に関してはこの着地を見極めておきたいところです。
次の2018年2月期は、継続するであろう売上高拡大とともに、どのような費用管理を行うことができるのかに注目したいと思います。
株価評価(バリュエーション)については、2017年2月期の会社予想ではPERが約91倍、PBRが約14倍です。実績値をベースにしたROEが約15%という水準にあることを考慮しても、今後の株価上昇をサポートするためには利益成長率が売上高成長率以上になるような状況が必要となるでしょう。
本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」の記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
>>テラスカイ(3915)は高成長クラウド市場の注目企業。今後のポイントは売上成長と収益性のバランス
LIMO編集部