想定外の教育費の出費、どう備える?

教育費の準備として、学資保険を利用する人は多いと思います。学資保険の満期を大学入学前の18歳に指定している人も多いでしょう。しかし、教育費エピソードにもあったように、それ以前にまとまった教育費が必要になるケースは珍しくありません。

どのように教育費に備えると良いのでしょうか。

学資保険の満期に気をつける

学資保険は満期がくる前に解約をしてしまうと、元本割れをする可能性が高くなります。そのため、中学や高校の入学時などのまとまった費用については、別途、教育費用を準備しておく必要があります。

学資保険の商品によっては、中学や高校の入学のタイミングで祝い金がもらえるタイプのものがありますが、祝い金がないタイプの商品よりも返戻率が低くなります。しかし、満期金1回よりも数回に分けてもらえる方がいい場合もあるので、返戻率と必要性を考えて選ぶとよいでしょう。

学資保険は、満期の年齢になった後に迎える契約応当日に保険金が受け取れる仕組みになっています。そのため、早生まれの人は17歳満期にしておくとよいでしょう。また、推薦入試やAO入試などの場合は、高校3年の秋に学費を納付するケースもあるので、満期金の受け取り時期には気を付けましょう。

いつでも引き出せる方法で貯蓄する

学資保険や低解約返戻金型終身保険などは、貯蓄性が重視される分、中途換金をすると損をする場合が多く、想定外の出費に対応できません。そこで、学資保険は大学の資金用と割り切って、別の方法でも教育費を貯めることをおすすすめします。

その際、いつでも引き出せる方法にします。定期預金や積立預金など、生活費に使う口座とは切り離して貯蓄しましょう。

塾代も費用対効果を考える

学習塾の費用は、子どもの特性や塾のレベル(種類)、地域性なども影響するので、どの程度かけるのが適当であるかは判断しづらいところです。また、費用をかけようと思うと際限なくかけられる面もあり、教育費としては想定外の出費になりがちです。

そこで、セーブできるところとできないところを見極める必要があります。「教育費はケチりたくない」と思う親は多いですが、効果がないことにお金をかけるのはやはり無駄です。あれもこれもではなく、費用対効果を考えて選択することも大事です。

たとえば、塾の受講科目を独学でも問題ない科目は減らして、一人では勉強しにくい科目のみに絞ることで費用を抑えることができます。また、コロナ禍の今ならオンラインコースを受講するのも手です。オンライン授業は人件費や設備費を抑えられるため、対面式よりも授業料をリーズナブルに設定している場合があります。

祖父母から援助をしてもらう

教育費を祖父母から援助してもらうのも一つの方法です。ただし、資金援助は贈与税の対象となる場合があるので、次の非課税となる範囲で援助を受けるといいでしょう。

祖父母が孫に、教育費や生活費のうち、通常必要と認められるもの(入学金や授業料など)をその都度贈与する場合、贈与税は非課税となります。

もう一つが「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」です。30歳未満の受贈者(孫など)が直系尊属(祖父母など)から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者1人あたり最大1500万円までが非課税となります(諸条件あり。2023年3月末までの特例制度)。

まとめにかえて

教育費は学校の入学時に多くかかりますが、たいていは大学入学に重点を置いて準備していると思います。しかし、実際はそれ以前に大きな資金が必要となるケースは少なくありません。そうしたときに慌てないためにも、学資保険などの長期間かけて準備する資金と、いつでも引き出せる教育資金の2本立てで準備しましょう。

教育費は子どもの進路によって大きく変わってくるので、想定外も想定できるように、早めに情報収集などをして心の準備もしておくと良いと思います。

参考資料

石倉 博子