貯蓄なしでも年金で暮らせるのか
一般的には65歳から年金を受給する方が多いです。老後を支えるのは年金と考えると、貯蓄はそこまで多くなくても大丈夫なのでしょうか。年金受給額の実態についても見てきます。
国民年金(基礎年金)
全体…5万6252円
- 男性…5万9040円
- 女性…5万4112円
厚生年金保険(第1号)
全体…14万4366円
- 男性…16万4742円
- 女性…10万3808円
※国民年金の金額を含む
日本の年金制度は2階建ての構造をしており、自営業や専業主婦(主夫)などは国民年金を、公務員や会社員などは国民年金+厚生年金を受給する構造です。
もし国民年金だけの受給となる場合、平均は5万6252円です。2カ月分が偶数月に振り込まれるため、約11万円で2カ月を過ごすイメージですね。
貯蓄ゼロで過ごすのは、かなり厳しいと言えるでしょう。
一方で、厚生年金がある方でも油断はできません。平均ベースでも男女差が約6万円あるように、個人差が激しいのが厚生年金の特徴だからです。「厚生年金があるから大丈夫」ではなく、しっかり目安額を見据えた計画が必要となります。
「貯蓄ゼロ」を回避するために
60代の世帯では、二人以上世帯の約2割、おひとりさま世帯の約3割が「貯蓄ゼロ」であることがわかりました。60代の資産は、決して親からの相続や退職金だけでつくられるわけではありません。むしろ、現役時代からコツコツ貯めてきた成果が表れた結果といえます。
いずれ自粛期間が空ける頃、リベンジ消費に燃える方は出てきます。そんなとき、将来の老後資金をきちんと準備できている方は、「この金額までは使ってOK」と自分の中での線引きができるでしょう。
一方で、ノープランの方は使いすぎて後悔するだけでなく、老後を迎えてから「貯蓄ゼロ」世帯の仲間入りをする可能性もあります。
60代の「貯蓄ゼロ」は決して他人事ではありません。今からコツコツと備えることで、リスクはしっかり回避できます。預貯金だけでなく、資産運用などにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
大切なのは情報収集です。メリットデメリットを見極めた上で、自分にあう方法を見つけてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
太田 彩子