ASMRについて、実際に何を研究しているのか
英語圏で論文数がそれなりの数あるということは、日本語の学術誌でも、ASMRについて言及しているものは相応にあります。
例えば、「ASMR (自律感覚絶頂反応) を誘発させる音刺激の物理因子解析」では、人工音10種と自然音10種の特徴分析と、それらの音を聴いたときにASMR感覚を誘発するかどうかを確認する実験を組み合わせて、「ASMR感覚を誘発する音の特徴」について調べています。
結果、「片耳に極端に近づいた、左右で不揃いな音がする人工音」でASMR感覚を誘発する可能性が高いことがわかっています。
実験例の中だと、「耳かき音」「シャンプーされる音」で特に反応が高かったようです。
また、別の論文では、「機械学習を用いて、ASMR音を人工的に作る方法」について言及したものもありました。
確かに、「人工音の方がASMR感覚を誘発しやすい」ということであれば、わざわざ生音を収録するより、既存の音の特徴を学習して「それらしい音」を作る方が効率的という着想は合理的だと感じました。
このように、徐々に研究成果は積みあがっていっていますので、いつの日かASMR感覚が起きるメカニズムが解明される日も来るかもしれません。
聴くだけで手軽に癒しが得られ、現状特に副作用も報告されていないASMR動画。
人工音から人間の話し声まで、バリエーションも豊富なので、気になるモチーフのものを試しに聞いてみても良いでしょう。
参考資料
- 下倉 良太「ASMR (自律感覚絶頂反応) を誘発させる音刺激の物理因子解析」
- 杉田健・片寄 晴弘「AASG (Automatic ASMR Sound Generator):機械学習を用いたASMR音源生成アプリケーション」
當瀬 ななみ