ピクミン最新作を「ポケモンGO」に近いゲームにした理由

まず、ポケモンGO自体の浸透力が強かったことが理由の一つと考えられます。ポケモンGOはリリース直後にいくつかのギネス記録を打ち立てました。

  • 初月で最も収益を上げたモバイルゲーム|Most revenue grossed by a mobile game in its first month
  • 初月で最も多くダウンロードチャートされたモバイルゲーム|Most downloaded mobile game in its first month
  • 初月のダウンロード数ランキングで首位となった最多国数(ダウンロード数)|Most international charts topped simultaneously for a mobile game in its first month (downloads)
  • 初月モバイルゲームで売上チャート1位を獲得した最多国数(収益)|Most international charts topped simultaneously for a mobile game in its first month (revenue)
  • 最も早く売上高1億ドル(約100億円)に到達したモバイルゲーム|Fastest time to gross $100 million by a mobile game

2016年頃になると、一時期のmobageやGREEなどのソーシャルゲームの勢いは落ち着いてきており、「スマートフォンゲームはゲーム好きの人が遊ぶもの」という位置づけが定着していたころです。

しかし、ポケモンGOだけは別格で、普段ゲームを遊びそうにないサラリーマンもこぞって遊んでいる光景を見かけたのが印象的です。

ゲームとしても、シンプルながら「AR(拡張現実)」技術をうまく使っており、「日常の風景の中でポケモンが登場する」という体験も新しいものでした。

私自身も日本版リリース直後に撮影機能などで楽しく遊び、しばらくは通勤の行き帰りでスマートフォンを見つめながら歩いていたこともありました。

現在、ポケモンGOは累計10億ダウンロードを達成していることがアプリダウンロードページに記載されています。

2020年時点での世界人口が77億9500万ほどなので、単純計算でも世界で12.8%程の人がポケモンGOで遊んだことになるのです。

一方、ピクミンシリーズでNintendo Switchにおける最新作の「ピクミン3 デラックス」の初速(発売から2週間の累計売上本数)はファミ通調べによると、23万9274本でした。

もちろん、「2週連続首位」とのことで、商業的には健闘していますし、買い切りゲームと基本プレイ無料のアプリとの単純比較は難しい前提ではあるのですが、ポケモンGOのリリース1ヶ月後のダウンロード数が「1.3億回」であることに比べると、物足りない印象は否めません。

したがって、今までのピクミンシリーズの延長線ではなく、多くの一般ユーザーに届くポテンシャルを持つゲームである「ポケモンGO」の要素を活かすことで「できる限り多くの人に『ピクミン』を浸透させる」という狙いは妥当な考え方だと感じます。