おひとりさま老後、どう備えるか
厚生年金でみれば、男性の3割強、女性の約9割が年金のみでは生活できないことが分かりました。以前から年金のみでは老後生活できないと言われていましたが、それをリアルに感じる数字ですね。
令和4年度の年金支給額は、令和3年度から0.4%の引き下げとなっています。少子高齢化の今、現役世代が老後を迎える頃には今よりも年金額が下がることは十分に考えられるでしょう。
年金の現実を知ることができたら、次にどのような対策を立てるかが大切です。まずは毎月不足するであろう金額を計算して、その分を私的年金などで早いうちから備えるといいでしょう。
注意したいのが、はじめにご紹介したおひとりさまの月の生活の約15万円は住居費用が1万円台となっている点です。賃貸の方は家賃分を上乗せして計算しましょう。
私的年金で備えるには、iDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険などを利用するといいでしょう。
たとえばiDeCoは自分で金融商品を選んで、毎月積み立て運用する私的年金です。通常20.315%かかる運用益の税金が非課税になり、掛け金が全額所得控除の対象になるなどの税制上のメリットもあります。ただし、原則60歳まで引き出せません。
もしもの時にも備えて準備したい方は、まずはつみたてNISAで運用を始めるのもいいでしょう。つみたてNISAは毎年40万円まで、最長20年間非課税で運用できる制度(非課税投資枠は最大800万円)。こちらは途中で引き出すことも可能です。
つみたてNISAで運用をはじめて、資金に余裕ができたらiDeCoもはじめると心強いでしょう。老後の生活費の不足部分や貯蓄に備えることができます。
ただ、運用なのでリスクはあります。引き出したいタイミングで値下がりして損をしてしまう可能性は考えておきたいところです。特に投資対象によってパフォーマンスは変わるので、しっかり調べて選ぶ必要があります。
iDeCoやつみたてNISAで運用を取り入れて効率よく貯蓄することは、老後資金を貯めるのに効果的です。ただ、まずはしっかり貯金をすることも重要。財形貯蓄や自動積立定期預金などで貯金しながら、運用もプラスするとおひとりさまの老後に備えやすくなるでしょう。ご自身に合った資産配分のバランスも考えてみてくださいね。
参考資料
宮野 茉莉子