根気と集中力でも乗り越えられない「時間」という壁

筆者が塾で仕事をしている時、夏休みの講習会がスタートして1週間が過ぎた頃、部活動に励んでいたという中学3年先生の生徒が入塾しました。

極めて真面目で、集中力もあり自習室に毎日のようにやってきました。入塾した頃は志望校である中堅校合格もかなり難しい成績でした。しかし、秋から急激に伸び「もしかしたら合格するかもしれない」と私も含め他の先生達も思い始めました。当の本人も手応え感じ、さらに勉強に打ち込むという好循環を生み出しました。

結論から申し上げますと、その生徒は残念な結果となってしまいました。もうあと数ヶ月早く、中学2年生から塾に来ていれば合格していただろうと先生達は口々に悔しがりました。

完全に「たられば」の世界ですし中学受験と高校受験は別物ですが、いくら生徒が努力し集中して取り組んでいても入試までの距離が短ければ短いほど合格を引き寄せることは難しくなります。

高校受験以上に中学受験は親の熱も入るため、「ゆる受験」という言葉に翻弄されず受験への道の険しさや本番に向けた準備を数年かけて積み重ねていくことの重要性は無視できません。