老後資金は年金だけで足りないのか
シニア世代の「国民年金・厚生年金」平均額を眺めてみると、予想以上に少ないと感じた方もいると思います。
老後は遠い先のことに思いますが、もし「年金だけで老後は暮らせない」となった場合、頼りになるのは自分で貯めた貯蓄です。定年退職後にいきなり資産をつくることは困難なので、現役時代から準備することが必須になるでしょう。
老後資金の目安が2000万円と言われたこともありますが、これはあくまでも「会社員と妻の夫婦世帯が」「毎月5.5万円の赤字を出して」「老後を30年間過ごした場合」というシミュレーションの一つです。
個々の必要額を知るためにも、まずは年金の目安額をつかみ、老後の生活費に対していくら不足しているのかを計算してみましょう。その結果不足していることが分かれば、早急な対策が必要になります。
老後の必要資金は、今から計算できるのか
国民年金と厚生年金の受給額を眺めたあと、個人での備え方についてまとめてきました。中には「今老後の必要資金を計算しても、いずれ変わってしまうのでは?」と疑問に思われた方もいるでしょう。
たしかに年金額は毎年変わり、つい先日も2022年度の年金額が0.4%引き下げになると発表されました。このまま少子高齢化が進めば、ますます減る可能性も高いです。また、退職後の生活費を思い描いても、そのとおりの生活プランになるとは限らないでしょう。さらに、社会の情勢も変化します。こうした変動する要素を見込み、正確に試算することはプロでも難しいものです。
ただし、試算する練習はしておいた方がいいでしょう。一つの要素が変わるたびに、ライフプランとキャッシュフロー表を修正していくイメージです。これは老後資金だけでなく、直近のマネープランでも役立つ術です。
FPのお金診断などを受けたことがある方はイメージしやすいかと思いますが、ライフプランごとのおおまかなマネープランを立てておけば、数年先の見通しが立ちやすくなります。子どもの教育費や住宅ローンの繰り上げ返済など、お金が動く時期をしっかり見極めておくと安心です。
一度計画を立ててしまえば、あとは定期的に修正するのみ。老後から逆算し、人生のマネープランを見つめ直してみましょう。年金だけで足りない分は、現役時代からコツコツ貯める必要があります。貯蓄・資産運用・保険などをバランス良く備えて、効率的にすすめていきましょう。
参考資料
太田 彩子