格差は老後にも続く

先程の分布図でもわかったように、厚生年金の受給額にはかなりの個人差が出ています。

現役時代の給与水準が違うので当然と言えば当然なのですが、ここでお伝えしたいポイントは「現役時代が高収入であれば、厚生年金も高額になる」ということです。

同じ期間サラリーマンとして働いた場合でも、

  • 収入が高い人→厚生年金受給額が高い
  • 収入が低い人→厚生年金受給額が低い

という傾向になります。現役時代の格差は、老後に入ってからも続くというのが実態なのです。

厚生年金が少なめの人が備えておきたいこと

まず、厚生年金の受給額を上げるために加入期間を長くし、給与水準を上げる努力はしておいた方が良いでしょう。

しかし上記の方法には限界があり、根本的な解決には繋がらない可能性もあります。

もし年金だけでは老後生活に不安が残るなら、「資産運用」を活用し、不足する資金をご自身で準備するという方法があります。

初めての資産運用

超低金利が続く現在、銀行などの預貯金につく利息は雀の涙ほど。

流動性が高いことから、預貯金はある程度持っておくべきではあります。しかし、老後資金をすべて預貯金で準備することを考えた場合、毎月途方もない金額を預貯金に回し続ける必要があります。

例えば、30年間で3000万円を準備する場合をみていきましょう。

預貯金の場合

※ここではタンス預金など、利息がまったくつかない前提で計算

8万3000円×12カ月×30年=2988万円

6%複利で運用できた場合

※金融庁「資産運用シミュレーション」にて計算

3万円×12カ月×30年=約3013万円(元本1080万円+運用収益約1933万円)

月々の積立額が半分以下でも、運用成果によっては同じくらいの金額を準備できる可能性があるのです。

まずは、ねんきんネットやねんきん定期便などでご自身の受給額がどのくらいになりそうか把握してみましょう。「少なめになりそう」と分かったら、老後に向けた資金形成のスタートを検討しましょう。

若いころからコツコツ積立投資を続けることで、効率的に資産を増やし、年金生活を支える柱にできれば理想的ですね。

老後の不安をなくすために、まずは情報収集を!

資産運用をしたことのない方は、「よく分からない」「資産が減るのが怖い」といった不安を感じることがあるかもしれません。また、「お金持ちの娯楽」といったイメージを持つ方も少なくないでしょう。

しかしギャンブルとは異なり、資産運用は正しい情報を身につければとても心強い手段です。少額積立をコツコツ続ける手法で、リスクを抑えながら資産を効率的に育てるしくみを作ることもできます。

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)・つみたてNISAといった非課税制度の活用を検討してもよいでしょう。

さまざまな媒体で情報収集して、正確な情報を取り入れましょう。少しでも老後の不安をなくしておきたいものです。

参考資料

岡崎 泰輔