シニア世代が働き続けるための制度が整いつつあります。

「技術や知識を後進に伝えたい」「社会との接点を持ち続けたい」「定期収入はできるだけ確保しておきたい」など、働き続ける理由は人それぞれでしょう。

今回は、いまのシニア世代の貯蓄事情について「無職世帯」と「働く世帯」を比較しながら見ていきたいと思います。総務省が先日公表した、最新版の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」を参考にしていきます。

関連記事 年収400万円台「いわゆるふつうの世帯」の貯蓄平均

高齢世帯「働く派」と「リタイヤ派」比率はどのくらい?

総務省統計局が公表する「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、60歳以上のシニア世帯について、「無職世帯」と「働く世帯」の世帯数分布を見ていきます。

ここでは、高齢者(60歳以上の者)がいる世帯を1万としています。60代世帯は就業状況を3つに分けて集計しています。「家計調査 用語の解説」による各区分の定義は以下の通りです。

  • 「無職世帯」…世帯主が無職である世帯。(例)年金,恩給,仕送り金,保険取金,財産収入等により家計を営んでいる世帯
  • 「勤労者世帯」…世帯主が会社,官公庁,学校,工場,商店などに勤めている世帯
  • 「勤労者・無職以外の世帯」…世帯主が社長,取締役,理事など会社団体の役員である世帯

世帯主が60歳以上:9168世帯

  • 無職世帯:5775世帯(62.9%)
  • 勤労者世帯:2173世帯
  • 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:1220世帯

世帯主が65歳以上:7446世帯

  • 無職世帯:5473世帯(73.5%)
  • 勤労者世帯:1026世帯
  • 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:947世帯

世帯主が70歳以上:5469世帯

  • 無職世帯:4405世帯(80.5%)
  • 有業世帯:1064世帯

世帯主が75歳以上:3220世帯

  • 無職世帯:2838世帯(88.1%)
  • 有業世帯:382世帯

世帯主が65歳以上の世帯では、世帯主が60歳以上の世帯と比べて「働く世帯(勤労者世帯+無職世帯を除く勤労者以外の世帯)」の比率が大きく下がっています。

なお、「無職世帯」が全体に占める割合は以下のように推移します。

  • 60歳以上…62.9%
  • 65歳以上…73.5%
  • 70歳以上…80.5%
  • 75歳以上…88.1%

企業の定年引上げ、再雇用や延長雇用の整備など、シニアが働く環境の整備が進んでいます。とはいえ、老齢年金の一般的な支給開始年齢である「65歳」前後を境にリタイヤ生活に入る人が多数派であることがうかがえます。