2017年1月から、個人型確定拠出年金の対象者が大きく拡大し、公務員や専業主婦、さらには企業年金に加入している会社員など、これまで対象外だった人も含め、原則20歳以上60歳未満であればほぼすべての人が加入できるようになりました。「iDeCo(イデコ)」という愛称をお聞きになった方も多いのではないでしょうか。

一方、確定拠出年金だと、将来もらえる給付額が自分自身の運用成果に左右されるという点で不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、確定拠出年金はそうした不安やデメリット以上にスタートする価値のある、個人にとって非常にお得な制度なのです。

確定給付年金と確定拠出年金の違いをもう一度おさらい

ご自身のお勤め先の年金制度が確定給付年金から確定拠出年金に変更になった、という体験をされた方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。お得の話をする前に、確定給付年金と確定拠出年金の違いについて、ざっくりとでもみなさんは理解されていますでしょうか?

確定給付年金は、将来もらえる額=「給付額」について一定の取り決めがあり、それに向けて企業などが拠出されたお金を運用していく制度です。これに対し、確定拠出年金は毎月単位の「拠出額」=払う額(掛け金)が一定である一方、運用そのものも加入者自身が行うため、将来受け取る額は個々人の運用の成果により異なってきます。

こう聞くと「将来もらえるお金が決まらず、運用成果に左右されるなんて、何て恐ろしい制度なんだ」と思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、確定給付年金だって決して盤石ではないのです。企業の経営状態、あるいは運用の状況によっては、大きな減額があり得ます。実際、日本航空が経営破たんした際には、現役で5割、OBで3割という大幅なカットが起きました。“確定給付”だからといって、決して安心安全ではないというのが残念ながら現実なのです。

一方、確定拠出年金の制度がスタートしたのは2001年、今から16年前のことです。この制度は米国の401kという制度を参考に作られたものなので「日本版401k」とも言います。また、確定拠出年金はDC(Defined Contribution Plan)とも呼ばれることがありますが、これも同じ意味です。ちなみに、確定拠出年金には企業が社員のために掛け金を拠出する「企業型」(企業・社員の双方が掛け金を払うケースもあり)と、個人が加入して自分で掛け金を払う「個人型」があります。

確定拠出年金は自分自身で運用しなければならないという点はありますが、あくまでも個人のお金です。お勤め先の業績や年金運用の成果などに左右されることもありませんし、転職しても持ち運ぶことができます。メリットはそれだけではありません。

拠出額=掛け金が全額所得控除に!

確定拠出年金では、拠出した金額、すなわち掛け金が全額所得控除の対象となります※。所得税・住民税は、課税所得(所得から基礎控除や配偶者控除などの控除額を差し引いたもの)から計算されるので、課税所得が少なくなれば納める税金は少なくなります。言い換えれば、控除額が大きくなればなるほど納める税金が少なくて済むので、掛け金が全額所得控除の対象である確定拠出年金は節税できる分、お得が大きくなるというわけです。

※全額所得控除の対象となるのは個人型確定拠出年金の掛け金企業型確定拠出年金にマッチング拠出した本人掛け金。なお、企業が拠出した掛け金は会社の損金として全額非課税となります。

運用益が非課税に!

通常であれば投資や運用で得た利益(運用益)には、20.315%の課税がなされます。しかし、確定拠出年金では、この運用益に対する税金がかかりません。課税による利益の目減りがないうえ、60歳まで引き出さないことを考えると、複利効果でどんどん運用益を積み増せる可能性があります。

長く積み立てれば積み立てるほど大きなリターンとなって返ってくるチャンスなので、ぜひうまく活用したいところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。確定拠出年金は、税制面で非常にお得な制度なのですが、ひとつ注意しなければならないとすれば「60歳までは引き出せない」ということです。すなわち、これは当面の生活資金や将来必ず必要になる教育資金を削ってまで積み立てるものではなく、必要な資金はきちんと計画し、そのうえで余裕資金から積み立てていくという姿勢が必要になると言えるでしょう。

今は個人型確定拠出年金に関する情報があらゆるところから出ていますので、ぜひ活用を検討したいところです。

参考:国民年金基金連合会ホームページ

参考:個人型確定拠出年金(iDeCo)、金融機関選びで失敗しないために(投信1)

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LIMO編集部