SDGsどころではない!脱炭素で苦境に立たされる電力産業が迫られる構造改革と成長戦略とは
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2021年10月22日に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」。世界中で気候変動対応に待ったなしの状況ではありますが、その中で策定されたわが国の脱炭素・カーボンニュートラルを目指した戦略は各産業や企業に影響を大きく及ぼすものです。
脱炭素といわれても私たちの生活には直接関係しなさそうに見えますが、実は電気料金などで直接関係してくる可能性も高くなったといえます。
今回はその中でも電力セクターが閣議決定で発表された資料においてどのようにい続けられているか、またどのように変化することが求められているのかについてみていきます。
電力セクターはもっとも二酸化炭素排出量が多い
エネルギー起源の二酸化炭素排出量を前提として、以下のような内訳となっています。
- 民生セクター(非電力):1.1億トン
- 産業セクター(非電力):2.8億トン
- 運輸セクター(非電力):2.0億トン
- 電力セクター(電力):4.4億トン
このように電力セクターは、エネルギー起源の二酸化排出量が最も多く、シンプルに見れば脱炭素・カーボンニュートラルを考えるともっとも変化を迫られるセクターといえます。
電力の需要側である民生や産業、運輸セクターの非電力領域での電化も求められるところですが、それに合わせて供給サイドの電力セクターにおける脱炭素電源へのシフトも求められます。
一般的にあまり議論はされてはいませんが、需要サイドの電化が進めば(たとえばガソリン車が減り電気自動車が増えれば)、電力を必要とする機会やアプリケーションも増えるので、需要サイドが自ら再生可能エネルギーなどで電力を調達できなければ、供給サイドである電力セクターへの負荷は高まるばかりです。
執筆者
株式会社ナビゲータープラットフォーム
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社ナビゲータープラットフォーム代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役、株式会社OneMile Partners取締役も務める。東京工業大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォームを原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2024年1月11日