2021年11月1日に行われた、GMOフィナンシャルホールディングス株式会社2021年12月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 取締役 常務執行役 CFO 山本樹 氏
第3四半期決算(1-9月) |サマリー(前年同期比)
山本樹氏(以下、山本):みなさま、こんにちは。GMOフィナンシャルホールディングスの山本でございます。本日は、2021年12月期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
決算の概況からご説明します。2021年1月から9月までの第3四半期累計でのサマリーは、スライドに記載のとおりです。前年同期比では、営業収益が18.4パーセント増の330.7億円、営業利益が22.0パーセント増の124.4億円、最終利益が25.8パーセント増の78.0億円という結果になりました。
上半期は特に暗号資産事業が非常に好調で、全体を牽引して増収増益となりました。9ヶ月の累計としては過去最高の業績を更新しています。
第3四半期決算(1-9月) |セグメント別の状況(前年同期比)
9ヶ月間のセグメント別の状況は、こちらのスライドのとおりです。証券・FX事業については、前年同期比で営業収益が9.4パーセント減の220.2億円、営業利益が17.2パーセント減の74.2億円となっています。
暗号資産事業は、前年同期比で営業収益が233.3パーセント増の106.2億円、営業利益が335.8パーセント増の49.2億円です。増減の要因についてはスライド5ページでご説明します。
第3四半期決算(1-9月) |営業利益増減(前年同期比)
昨年同期の営業利益102.0億円から、当期第3四半期の124.4億円に至るまでの増減をグラフにしたものが、こちらのスライドです。
グラフの中央のところで、暗号資産がプラス74.3億円とあり、大幅に収益が増加していることがご確認いただけると思います。暗号資産のマーケットは昨年度末から非常に好調で、ビットコインをはじめ、その他のアルトコインも取引高が増加し、収益につながった結果として約74億円の大幅な増加となりました。
一方のFX・外為OP、CFD・株BOについて、2020年度は上半期に、特に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてマーケットが大きく動いた結果、取引高・収益ともに大きく増加しましたが、今期はその反動を受けて、それぞれ17.2億円、12.4億円の減少となっています。
金融収支はプラス9.8億円と好調に推移していますが、こちらは海外のタイにおけるネット証券事業で、信用取引残高が順調に積み上がっており、それに伴う収支の改善が効いています。
コストについては、取引関係費が21.5億円増加し、利益としては減少しました。好調だった暗号資産事業のほか、取引に関する支払手数料の増加や、暗号資産事業におけるテレビCMなどの積極的な広告宣伝活動が、取引関係費の増加要因となっています。
人件費に関しては業績連動の賞与の引当が増加しており、8.9億円増となっています。結果として、当期は124.4億円での着地でした。以上が9ヶ月間の決算の数値のご説明です。
第3四半期(7-9月) ハイライト|マーケット環境
ここからは第3四半期、7月から9月期のハイライトをご説明します。当社が対象としている主なマーケットの全体の売買代金などをグラフ化したものが、こちらのスライドにある図です。左下のグラフは株式で、2市場の個人株式等委託売買代金ですが、前年同期から12.5パーセント増の95兆円となり、好調に推移しています。
中央のグラフは店頭FXの取引高で、こちらは前年同期から10.9パーセント減の1,355兆円です。ここ数四半期、ボラティリティの落ち着きとともに、全体的には少しずつ減っている状況です。
右側のグラフは暗号資産の売買代金の推移ですが、9月の数字がまだ公表されていないため、7月、8月の2ヶ月分の数値を白抜きで記載しています。ビットコインを中心とした暗号資産については、直近の数ヶ月でボラティリティが低下してきています。それを受けて、マーケット全体としても減少の傾向にあることが、こちらのグラフでもご確認いただけると思います。
第3四半期(7-9月)ハイライト |トピックス
GMOフィナンシャルホールディングスとしてのハイライト、トピックスはこちらのスライドのとおりです。
FXですが、GMOクリック証券における国内のFXの取引高については、この9ヶ月間でも国内第1位をキープしています。また、前回ご報告した外貨ex byGMO(旧ワイジェイFX)の子会社化に関して、株式取得手続きが9月末に完了しました。
CFDについては、引き続き顧客利便性の向上に向けて、アプリの機能拡充などを実施しています。第3四半期は売買代金が好調に推移して、収益も高水準で着地しました。
暗号資産については、継続的なアプリの改善に加えて、この四半期では新たな銘柄、ATOMの追加などを行い、サービスの充実と利便性の向上を引き続き推進しています。
その他の事業については、NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」のβ版を8月末から提供しています。
第3四半期決算(7-9月) |サマリー(前四半期比)
7月から9月、第3四半期のみの決算のサマリーです。前四半期と比べ、営業収益は14.1パーセント減の91.7億円、営業利益は16.9パーセント減の28.9億円、最終利益が12.3パーセント減の19.0億円となっています。主に暗号資産の取引量の減少に伴い、収益が減少したことが要因で、前四半期と比べて減収減益となっています。
第3四半期決算(7-9月) |セグメント別の状況(前四半期比)
続いてセグメント別の状況です。前四半期比で、証券・FX事業の営業収益は7.6パーセント増の72.3億円、営業利益は25.3パーセント増の24.9億円です。暗号資産事業については、営業収益が52.9パーセント減の17.9億円、営業利益が73.4パーセント減の3.8億円となっています。営業利益増減の要因は、スライド10ページに記載しています。
第3四半期決算(7-9月) |営業利益増減(前四半期比)
前四半期の営業利益34.8億円から当四半期の28.9億円までの増減のグラフです。左から4つ目の暗号資産について、収益が20.1億円減と、大きく減少していることが確認いただけると思います。ボラティリティの低下に伴い取引量も減少しているため、それを受けて収益も減少したということです。
一方、CFDについては、主に商品の市場などが非常に好調だったこともあり、CFD・株BOの収益は3.3億円の増加となっています。
コストの面では、取引関係費が6.8億円の改善となっています。広告宣伝費は第2四半期に比べると6億円ほど減少しており、それを受けて費用は減っていますが、テレビCM等のマーケティングについては一定程度継続して行っているため、通常よりもコストがやや大きくなっています。
人件費の2.3億円の改善については、業績連動賞与の引当の減少を受けてのものです。結果として、28.9億円となりました。
四半期業績推移|営業収益(セグメント別/商品別)
スライド11ページ以降は、四半期の業績の推移です。こちらには、セグメント別、商品別の営業収益のグラフを記載しています。先ほどお伝えしたとおり、前四半期から暗号資産の収益が大幅に減少しているため、前四半期比で14.1パーセント減という結果になっています。
昨年同期と比較すると、FX・外為OPが改善しているため、前年同期比では16.5パーセント増という数値になっています。
四半期業績推移|営業利益
営業利益の四半期業績推移です。営業収益の増減とほぼ比例するかたちで、営業利益も動いていることを確認いただければと思います。
四半期業績推移|販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の推移です。前四半期から14.1パーセント減の57.5億円の着地となりました。前回の決算説明会では62億円程度とご報告しましたが、それよりも若干少ない数字での着地となっています。
前四半期と比較して大きく減少しているのが取引関係費で、およそ7億円の減少です。こちらは、先ほどご説明した広告宣伝費の減少等が大きく影響しています。人件費も2億円ほど減少しており、こちらは業績連動賞与引当の減少によるものです。
今後の見通しですが、第4四半期については82億円としています。ポイントが2つあり、1つ目は外貨ex byGMOのグループジョインに伴う費用増加を証券・FX事業に加算しているものです。
外貨ex byGMOの通常の販管費の見積もりに加え、のれん等の無形資産の償却なども加味して、おおよそ63億円としています。
2つ目に、暗号資産事業の19億円についてです。こちらは第2四半期くらいから広告宣伝に力を入れているところですが、第4四半期も、少しエリアを広げてテレビCMを行おうと考えています。そのようなことを反映して、19億円という見積もりを出しています。これらの合計で、82億円程度の見通しとしています。
事業概況ハイライト|2021年12月期第3四半期(7-9月)
事業の概況で、こちらは事業、商品別のハイライトです。FXですが、取引高は285兆円、取引高シェアは21.1パーセントと、前年同期からは減少したものの、預り証拠金は2,333億円と、前年同期から100億円ほど伸ばしています。
CFDについては売買代金も増加しており、口座数、預り証拠金の残高などの顧客基盤の拡大も含め、引き続き堅調に推移しています。
株式については、売買代金3兆円、売買代金シェア3.2パーセントとなっています。暗号資産は売買代金5兆円となり、前年同期から大幅に増加しました。口座数、預り資産も大きく増加しており、顧客基盤の拡大が続いていることがご確認いただけると思います。
店頭FX|国内取引高シェアの推移
商品ごとの詳細についてご説明します。店頭FXは、昨年の第2四半期、第3四半期あたりからキャンペーンなどを行い、取引高のシェアを上げていく施策を行っていました。
今年に入り、キャンペーンを終了したこともあり国内取引高シェアはだいたい20パーセント弱で推移していましたが、ここ数ヶ月のシェアは上昇傾向で推移しており、9月は21.7パーセントとなっています。
店頭FX |口座数・預り証拠金残高の推移
口座数と預り証拠金残高の推移です。口座数、預り証拠金残高ともに、緩やかに増加していることがご確認いただけるかと思います。6月末の業界全体に占めるGMOクリック証券の預り証拠金残高のシェアも、12.6パーセントと高い数字になっています。
店頭FX|外貨ex byGMOのグループジョインについて
店頭FXの大きなトピックスとして、前回ご報告した外貨ex byGMO(旧ワイジェイFX)のグループジョインは、9月27日に株式取得の手続きが完了し、無事子会社化することができました。
前回お伝えしたとおり、外貨ex byGMOは独自の経営資源やFXに関するノウハウなどを持っているため、GMOフィナンシャルホールディングスと相互に連携することにより、店頭FXの収益性改善を加速させ、かつ、グループで取引高シェアの拡大を目指していきたいと考えています。
店頭FX|外貨ex byGMOのグループジョインに伴うBSの変化
外貨ex byGMOのグループジョインに伴い、B/Sが大きく変化しているためご報告します。スライド左側の図が外貨ex byGMOの貸借対照表で、9月末の資産、負債の状況を示しています。
みなし取得日を9月末にしているため、9月末のB/Sに基づいて連結の処理を行っています。資産が1,306億円、負債が1,185億円、差額の純資産が121億円となっています。資産、負債の大部分はお客さまからの預り資産などです。
取得価額が287億円のため、取得価額と純資産の差額166億円が、暫定値ですが第3四半期末に連結貸借対照表にのれんとして計上されることになります。
差額については、顧客資産などの無形資産への配分や、最終的なのれんの額の算定や償却年数といったことを今後詰めていき、最終確定させていくという作業が残っています。
連結全体へのB/Sの影響は、スライド右側の図のとおりです。9月末のB/Sでは総資産が9,968億円、総負債が9,552億円です。
前年度末から比較すると2,700億円、2,600億円と大幅に増加していますが、大きな要因の1つとして、外貨ex byGMOの連結があるとご理解ください。
店頭FX|外貨ex byGMOの経営成績(グループジョイン前)
外貨ex byGMOの経営成績を簡単にご説明します。みなし取得日が9月末とご報告しましたが、GMOフィナンシャルホールディングスの連結に入るのが10月以降、この第4四半期以降になります。
グループジョイン前の外貨ex byGMOの業績は、直近で営業収益が97億円、営業利益が27億円、当期純利益が21億円です。このような数字が今後、連結に加算されてくるというイメージをお持ちいただければと思います。
なお、先ほどお伝えしたのれん、無形資産の償却が控除されますので、スライドのような数字が加算され、その後、のれん等が控除されるというイメージです。
CFD|売買代金・収益の推移
CFDの売買代金・収益の推移です。この第3四半期は株価指数、原油などの商品の価格が比較的動いており、売買代金が増加し、収益も増加しました。
CFD|口座数・預り証拠金残高の推移
口座数と預り証拠金残高の推移です。一時、預り証拠金が伸び悩んでいる時期がありましたが、ここ数四半期はまた少しずつ増えてきており、着実に口座数・預り証拠金ともに増加していることがご確認いただけると思います。
この四半期は、お客さまから特に要望が多かったコインベースやNVIDIA など、米国株のCFDを中心に7銘柄を新たに追加し、サービスの充実を図っています。また、前回も報告したBtoBtoC事業は順調に進捗しています。
国内株式|株式売買代金
スライド23ページ以降では国内株式についてご説明します。この四半期の株式売買代金は3兆円で、シェアは3.2パーセントになっています。
7月の初めに信用取引手数料の改定を行い、9月21日からは大口の優遇プラン「VIPプラン」をリニューアルして信用取引手数料が0円になる優遇適用期間を拡大しています。こちらにより、お客さまの取引高の活性化につなげたいと思っています。
国内株式|株式委託手数料・委託手数料率の推移
株式委託手数料と委託手数料率の推移です。前四半期から6.3パーセント減の3.1億円となっており、信用取引手数料の改定が響いていると思います。
国内株式|金融収支の推移
金融収支の推移です。この第3四半期は4.9億円で、前四半期から同じような水準で推移しています。
海外(タイ王国)|信用取引残高の推移
海外のタイ王国でのネット証券事業についてご報告します。タイ王国では、信用取引残高ナンバーワンを目標にビジネスを行っていますが、この第3四半期も信用取引の残高は前四半期から18.3パーセント増と大きく伸ばし、120億バーツ弱と好調に推移していると思います。
信用取引の残高を伸ばすためには資金と資本が必要なため、資金の調達を引き続き行い、さらなる残高の拡大、シェアの拡大につなげていきたいと考えています。
海外(タイ王国) |金融収支の推移
タイ王国の金融収支の推移はスライドに記載のとおりです。信用取引残高の増加に伴い収益も増加しており、前四半期から11.7パーセント増の4.3億円で着地しています。
暗号資産|売買代金・セグメント収益の推移
暗号資産事業の売買代金とセグメント収益の推移です。最初にお伝えしたように、ボラティリティの低下があったため、売買代金・収益ともに減少となっています。売買代金は前四半期が8兆円から5兆円へ減少し、それに伴い収益も38億円から17億円へ減少となっています。
暗号資産|口座数と預り資産の推移
暗号資産の口座数と預り資産の推移です。口座数、預り資産ともに順調に拡大しているため、顧客基盤は順調に推移していると思います。
第2四半期に関東中心にテレビCMの放送を大々的に行い、非常に多くの反響があり、知名度・認知度の向上の効果が確認できたため、10月9日より第2弾ということで、放送する範囲を広げてテレビCMを開始しています。広い地域でさらなる認知度の向上を行い、口座開設につなげていければと考えています。
暗号資産|売買代金シェア
暗号資産の売買代金シェアは、スライド30ページに記載のとおりです。去年末からシェアを非常に伸ばしており、この第3四半期もだいたい3割前後の高水準で推移しています。初心者層から法人顧客を含めて、引き続き幅広いお客さまを獲得していきシェア拡大につなげたいと思っています。
第3四半期ではさらに、「合同会社」の法人口座の開設が可能になりましたので、より間口を広く獲得できればと考えています。
NFT事業|Adam byGMOが始動
NFT事業は「Adam byGMO」が始動したため、その内容をご報告します。
前回もお伝えしたとおり、8月31日よりNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版の提供を開始しています。誰もが使いやすい圧倒的ナンバーワンのNFTマーケットプレイスを目指していきたいと思っています。
提供開始時の概要は、アート、マンガ、イラストなどのジャンルを中心に、作品数が1,192点で、決済手段としても暗号資産である「イーサリアム」のほか、クレジットカード、銀行振込なども使えるため、便利で使いやすいマーケットプレイスというところを展開していければと思っています。
今後の展開として、やはり大事なことは多くのお客さまに来ていただけることと、そこにたくさんのコンテンツがあることが使いやすいマーケットプレイスだと思っています。コンテンツの拡充には引き続き力を入れていきますし、多言語展開を行い、今後は海外のお客さまにも買っていただけるよう対応していければと思っています。
株主還元|配当および配当性向
株主還元です。目標の配当は四半期ごとで、連結配当性向60パーセントと報告していますが、今期もその方針に基づき、本日第3四半期は10.10円と開示しています。
私からのご説明は以上です。