GPIF調査に見る運用受託機関が考える重大なESG課題
では、当の運用機関はどのようなテーマを意識しているのでしょうか。GPIFは2020年12月の調査で以下のような調査結果を発表している(一部抜粋)。
調査内容は、5割超の運用受託機関が「重大なESG課題」として挙げた課題で、各運用受託機関数を分母にして当該課題を選んだ機関数の比率となっている。
国内株式パッシブ
- 気候変動(E):100%
- 不祥事(ESG複数):100%
- 情報開示(ESG複数):100%
- サプライチェーン(ESG複数):100%
- ダイバーシティ(ESG複数):100%
国内株式アクティブ
- 取締役構成・評価(G):100%
- 少数株主保護(政策保有等)(G):100%
- 資本効率(G):89%
- 不祥事(ESG複数):89%
- 情報開示(ESG複数):89%
- サプライチェーン(ESG複数):89%
- ダイバーシティ(ESG複数):78%
- 環境市場機会(E):78%
- 気候変動(E):67%
- コーポレートガバナンス(G):67%
- 健康と安全(S):67%
- 労働基準(S):67%
外国株式パッシブ
- 気候変動(E):100%
- 情報開示(ESG複数):100%
- サプライチェーン(ESG複数):100%
- ダイバーシティ(ESG複数):100%
- コーポレートガバナンス(G):75%
外国株式アクティブ
- 気候変動(E):100%
- 健康と安全(S):86%
- コーポレートガバナンス(G):86%
- 情報開示(ESG複数):86%
- ダイバーシティ(ESG複数):71
このようなESG課題を、運用会社は投資先企業(発行体)ごとに設定し、投資先企業に対話を通じて課題を提示し、認識をさせ、投資先企業にESG課題解決を展開し実行するのを見ていくというものである。
ここまで聞くと、課題は企業ごとに異なるので、運用会社も課題設定は手間のかかる作業になるといえるが、発行体である投資先企業も投資家ごとに異なる課題を突き付けられ「対話」をするという作業をしなくてはならない。