「国家公務員」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを思い浮かべますか?
株式会社マイナビは、2021年卒業予定の大学生に対して実施した、公務員に対するイメージについてのアンケート結果を公表しています。それによると、「安定している」と答えた学生の割合は、市区町村の地方公務員に対しては約46%、一方、国家公務員に対しては約71%でした。
また、地区町村の地方公務員に対しては約13%の学生が、国家公務員に対しては約23%の学生が「勤務時間が長そう」と答えています。
国家公務員は「安定性は高いが、残業が多く、仕事はハード」といったイメージを持たれる傾向があるようですね。そのぶん、退職金も期待できるのでは?と思う方も多いでしょう。
私は証券会社での勤務経験があり、退職金の資産運用についても数多くの相談をいただいておりました。そこで今回は、国家公務員の退職金が会社員の退職金よりも本当に多いのか、検証していきたいと思います。
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公務員の平均退職金額はいくらか
まず、国家公務員と地方公務員の退職金を比べてみましょう。
国家公務員の退職金事情
内閣官房の「退職手当の支給状況(令和元年版)」から、国家公務員の退職金の金額を、退職事由別に抜粋します。
■常勤職員
- 定年 2090万6000円
- 応募認定 2588万1000円
- 自己都合 316万1000円
- その他 201万6000円
■常勤職員のうち「行政職俸給表(一)適用者」
- 定年 2140万8000円
- 応募認定 2278万円
- 自己都合 362万7000円
- その他 265万8000円
ちなみに、行政職俸給表(一)適用者とは、一般行政事務を行っている職員で役職や階級別に割り当てられた給与体系が適用された人のことを指します。
定年退職者の場合、常勤職員でも行政職俸給表(一)適用者でも、平均して2000万円以上は支給されていますね。
また、応募認定とは、「早期退職希望制度」に応募して認定された人のことを指します。一般企業の早期退職と同じように、割増の退職金が支給されます。
次に、地方公務員の退職金額についても見てみましょう。
地方公務員の退職金事情
総務省が発表した総務省の「令和2年地方公務員給与の実態」によると、職種別の「一般職員の勤続25年以上の定年又は応募認定退職者1人当たりの平均退職手当額」は、以下の通りとなります。
■令和2年度(60歳定年退職者)
- 全地方公共団体 2130万9000円
- 都道府県 2179万8000円
- 市 2119万5000円
- 指定都市 2111万1000円
- 町村 2025万2000円
地方公務員も同じく、60歳定年退職者はどの区分でも平均額は2000万円を超えています。よって、国家公務員、地方公務員ともに、約2000万円の退職金が期待できそうである、ということがわかりました。