40代、老後に向けて今からできることは?
未婚・離別の年金額をみてきましたが、今から老後に向けてできることは何でしょうか。若い世代では老後について考える機会が少ないかもしれませんが、早い内から対策をしておきたいですね。できれば40代ごろからは、老後に向けた対策を真剣に考えておくといいでしょう。「年金と貯蓄」に分けて、とれる対策をみていきましょう。
厚生年金に加入する
老後資金の柱となるのは「年金」です。まずは年金額を増やすために、厚生年金に加入するのも一つです。
国税庁が2021年9月29日に公表した「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」によると、女性は正規1138万人に対し、非正規831万人。非正規で働く人が多いのが現状です。育児との両立のためにパートを選ぶ人もいますよね。
現在、パートであっても厚生年金の適用が拡大されています。
パートの方の厚生年金適用の拡大の流れ
- 2016年10月~:従業員500人を超える規模の企業で、一定条件を満たす方
- 2017年4月~:従業員500人以下で労使合意に基づき申し出をする企業に所属し、一定の要件を満たす方
- 2022年10月~:従業員数100人超規模の企業、一定条件を満たす方
- 2024年10月~:従業員数50人超規模の企業で、一定の要件を満たす方
入園や入学、小学校高学年など、子どもの成長に合わせて自身の働き方を考えてみるといいでしょう。
国民年金の任意加入制度を利用する
40年間の納付済期間がないため、国民年金を満額受給できない方もいるでしょう。そういった方は「60歳以上65歳未満」の間も国民年金保険料を納付することで、最大480カ月まで年金保険料納付期間を増やせる任意加入制度があります。
ただし60歳以降も厚生年金に加入していたり、国民年金の繰上げ支給を受けている方などは利用できないので注意しましょう。
資産運用をはじめる
老後資金を支えてくれるのは、年金のほかに「貯蓄」です。低金利の今、預貯金のみでは老後資金を貯められないという方も少なくありません。貯蓄の基本は預金ですが、ある程度預金が貯まったら検討したいのが資産運用です。
はじめての方でも利用しやすいのが、「長期・積立・分散投資」を支援するための非課税制度「つみたてNISA」。つみたてNISAは、通常運用益に対してかかる20.315%の税金が、年40万円、最長20年間非課税になる制度です(非課税運用額は最大総額800万円)。40歳から始めれば、非課税期間は60歳までですね。
運用にリスクは付き物ですが、投資対象や投資時期を分散することで、リスクを抑えられます。今は無料の動画やオンラインセミナーで情報収集もできるので、検討してみるといいでしょう。
おひとりさまの老後の対策は、情報収集をしながら、複数を選んで早めにはじめていきたいですね。まずは負担のないものから検討してみてはいかがでしょうか。
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参考資料
- 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集 2021年版」
- 厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」e-stat統計表一覧
- 厚生労働省年金局数理課「公的年金受給者に関する分析 ー配偶者の状況と現役時代の経歴(就労状況)からみた 年金受給状況ー」
- 国税庁「令和2年分(2020年)分民間給与実態統計調査」調査結果報告
- 日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「任意加入制度」
宮野 茉莉子