大統領選から早2か月強、就任式が目前に迫る
早いもので、あの米国大統領選挙から2か月以上が経ちました。大方の予想を覆してトランプ氏が勝利し、その後は世界の金融・経済市場が大きく動いていることはご存知の通りです。この2か月強はあっという間に過ぎた感じがあります。
目下の最大の焦点は、1月20日(現地時間)に行われる大統領就任式でしょう。就任式でトランプ新大統領が行う就任演説の内容、及び、就任式後の金融市場の動きや国際情勢の行方などを全世界が注目しています。
日本でもNHK衛星放送で生中継の予定
日本でも日付が変わった21日午前1時過ぎからNHK衛星放送(BS1)で生中継される予定です(変更の場合あり)。恐らく、その時間帯は寝ている人も多いと思われます。また、起きていても、テニスの錦織圭選手が登場する可能性が高い全豪オープン(NHK地上波)を視聴する人も少なくないでしょう。
しかし、今後の世界情勢を大きく左右するトランプ新大統領の政策を占う上でも、無視することができない重要イベントです。就寝していない場合は、ぜひテレビで見てほしいと思います。
ところで、ほぼ全世界で生中継される大統領就任式とは、一体何なのでしょうか。
就任宣誓を終えて、初めて正式に大統領となる
大統領就任式とは、“次期”大統領がアメリカ合衆国大統領職への就任宣誓を行う式典です。そして、この就任宣誓を終えた時から、“次期”大統領が正式に大統領に就くとされています。そうです、就任宣誓が終わるまでは、米国大統領はオバマ氏のままなのです。
正確には、就任式が行われる日の正午(今回ならば1月20日の正午)から、新大統領の職務が開始されることが憲法で定められています。ただ、実際には、就任式が正午に合わせて行われるため、前述のような“就任宣誓=大統領の職務開始”となっているようです。
宣誓文は合衆国憲法で厳格に定められている
この就任宣誓ですが、『私、*******は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽くして合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う※』という文言であり、これは合衆国憲法で定められた定型文です。
※原文:I, ******* do solemnly swear that I will execute the Office of President of the United States faithfully and will to the best of my ability, preserve, protect, and defend the Constitution of the United States. So help me God.
「*****」の部分には大統領本人の氏名(今回なら“Donald John Trump”)が入りますが、その他は一切の変更が許されません。憲法で厳格に定められているからです。日本ではちょっと考えられない厳しさです。なお、日本語訳の最後にある「誓う」は「確約する」という訳もあります。
過去には宣誓の文言を間違えてやり直しも
こんな長文覚えらえるのか?と思うかもしれませんが、実際の就任宣誓では、壇上に連邦最高裁長官と“次期”大統領の2人が立ちます。そして、連邦最高裁長官がこの宣言文を区切りの良いところで切って読み上げ、“次期”大統領が復唱する形を取ります。
なお、復唱する形で宣誓する“次期”大統領は、メモ用紙などを見ることが禁止されています。そのため、復唱する際に間違えるケースが実際に起きたことがあります。
2009年に行われたオバマ大統領の就任式において、オバマ大統領はこの宣誓文を一部間違えて宣言(発言)したため、後日、ホワイトハウスでやり直す事態になっています。わざわざやり直しをするくらい、極めて厳格な宣誓と言えます。
聖書に手を当てて宣誓するのが慣例
なお、憲法で定められた様式ではないのですが、“次期”大統領は聖書に手を当てて(置いて)宣誓することが“慣例”となっています。この行いに関しては、一部で政教分離に反するのではないかという見解があるようです。
蛇足ですが、将来、キリスト教以外を信仰する人が大統領になった場合、どうするのかが気になるところです。
宣誓後の就任演説でトランプ節は発揮されるか?
この就任宣誓が終わって、晴れて正式に大統領職に就いた後、就任演説が行われます。今回は、この就任演説でトランプ色がどこまで出てくるのか、世界中が注目しているでしょう。
このような就任宣誓の形式を知っておくと、1月20日の就任式より一層楽しめるかもしれません。いずれにせよ、ぜひとも注目したいイベントです。全豪オープンでの錦織圭選手の勝利を信じつつ。
LIMO編集部