教育費用は、組み合わせ技で貯めよう
学資保険のメリットやデメリットを見てきましたが、教育費は「これだけで貯めれば安心」というものはありません。それぞれにメリットやデメリットがあるので、組み合わせ技で用意するといいでしょう。
ベースとなるのは、やはりいつでも引き出せ、元本割れもしない銀行の預金です。「いつでも引き出せるメリット」を考えると、預金は塾代や入学金など比較的早く必要となる教育費に当てると考えておくといいでしょう。
低金利が気になるところですが、ネット銀行ならメガバンクや地方銀行に比べて金利が高めです。都市銀行の普通預金金利は0.001%、定期預金金利は0.002%程度ですが、ネット銀行は普通用金や定期預金が0.02%程度の企業もあります。
毎月一定額が自動で積み立てられる「自動積立定期預金」を、給料日に引き落とすよう設定しておけば、自然と貯まる仕組みも作れます。
毎月貯金をするのではなく、児童手当を全額預金する方法もあります。
【児童手当】0~3歳まで1万5000円、3歳~中学生まで1万円の場合
- 0~3歳未満:1万5000円×12カ月×3年=54万円
- 3歳以上~中学生:1万円×12カ月×12年=144万円
54万円+144万円=198万円
児童手当を全額預金にするだけでも、高校入学前に約200万円です。これで目標額の3分の1程度になりますね。
預金で安全性を確保したら、残りは成長させる資産として他の金融商品を検討しましょう。リスクを取りたくない、万一の時の保障がほしい人は学資保険も一つ。15年以上と長期間で効率的に資金を作りたいなら、つみたてNISAを利用した投資も一つの選択肢です。
つみたてNISAは、金融庁が定めた基本的にリスクの少ない投資信託から自分で選んで毎月積み立てるもので、毎年40万円を最長20年間非課税で運用できます。通常は配当金や分配金、譲渡による利益に20.315%の税金がかかるので、はじめて投資をする方もはじめやすいでしょう。非課税運用額は最大800万円です。
もちろん投資ですので、元本割れのリスクもあります。市場が大きく下がったタイミングで現金化したくても、元本割れで現金化したくないという場合もあるでしょう。ただ、投資信託で分散して長期間運用することで、ある程度リスクは抑えられます。長期保有するほど利息に利息がつく複利の効果が得られるので、効率的にお金を増やせるでしょう。
教育費で「何を重視するか」は各家庭で異なります。それぞれのメリット・デメリットをあげた中から、ご家庭に合ったバランスを考えてみてくださいね。
参考資料
- 国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」(2021年9月29日)
- ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2021」
- 日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(2020年10月30日発表)」
- 金融庁「つみたてNISAの概要」
宮野 茉莉子