老後の生活の主な収入となる年金ですが、皆さんはいくら自分が受け取れるか把握できていますか。
ちなみに、いわゆる一般的な会社勤めの方が受け取ることになる厚生年金保険(第1号)の平均受給月額は、約14万4000円(※)。
これに対し、フリーランスや自営業、専業主婦・主夫の方が受給することになるのが、国民年金と呼ばれる「老齢基礎年金」となります。
2020年の労働力調査(基本集計)によると、労働力人口に対する自営業主の割合は約7.7%。これをふまえると、「基礎年金」のみを受給することになる可能性のある人も、少なくないかもしれません。
私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、今のシニア世代が受け取る年金額事情を紐解きながら、老後へのお金の備え方についてお話したいと思います。
※厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」
国民年金(基礎年金)と厚生年金のしくみ
まずは「年金制度のしくみ」についておさらいします。
「年金制度は2階建て」1/3
職業や立場で加入する年金制度が変わります
国民年金(基礎年金)は、日本国内に住むすべての20歳から60歳の人を加入対象としています。
年金保険料は定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっており、20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れます。納付期間が足りない場合はその割合を満額から差し引く計算方式をとっています。
一方、厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。
そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく影響する仕組みとなっています。
上記のことから、日本の年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれています。
厚生年金の平均月額はいくら?
ここからは、厚生労働省年金局が公表する「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業年報」より、厚生年金・国民年金(基礎年金)の受給額事情を見ていきます。まずは厚生年金から。
民間企業のサラリーマンの年金事情2/3
個人差・男女差が大きいですね。
厚生年金保険(第1号)平均年金月額
全体…14万4268円(男子…16万4770円・女子…10万3159円)
厚生年金保険(第1号)【男性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~5万円未満:15万977人・5万円~10万円未満:97万6724人
10万円~15万円未満:261万3866人・15万円~20万円未満:436万9884人
20万円~25万円未満:224万9128人・25万円~30万円未満:28万8776人
30万円以上:1万7626人厚生年金保険(第1号)【女性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~5万円未満:31万5100人・5万円~10万円未満:234万1321人
10万円~15万円未満:218万2510人・15万円~20万円未満:41万2963人
20万円~25万円未満:6万3539人・25万円~30万円未満:4166人
30万円以上:379人
男女の差が約6万円と大きくなっているのが見てとれます。結婚や出産、育児などで家庭に入る可能性の高い女性の受給額が低くなっていると考えられるでしょう。
「基礎年金だけの人」の平均月額はいくら?
自営業・フリーランスなどの「第1号被保険者」や、専業主婦(主夫)などの「第3号被保険者」は、老後に国民年金(老齢基礎年金)を受け取ります。
引き続き同資料より、国民年金の年金月額をみていきましょう。
基礎年金の受給額事情は?3/3
男女差はさほどないようです。
国民年金・平均年金月額
全体…5万5946円(男性…5万8866円・女性…5万3699円)
国民年金【男性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~1万円未満…1万2693人・1万円以上~2万円未満…6万803人
2万円以上~3万円未満…22万1983人・3万円以上~4万円未満…70万6206人
4万円以上~5万円未満…134万5582人・5万円以上~6万円未満…312万4529人
6万円以上~7万円未満…849万4551人・7万円以上…38万1323人国民年金【女性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~1万円未満…6万6247人・1万円以上~2万円未満…24万4695人
2万円以上~3万円未満…74万63人・3万円以上~4万円未満…226万4161人
4万円以上~5万円未満…336万406人・5万円以上~6万円未満…454万1337人
6万円以上~7万円未満…598万7227人
7万円以上…144万306人
国民年金の受給額にはさほど男女はないようです。
しかし、前述した厚生年金と比較すると、全体の平均受給額での差が約9万円もあることがわかりました。これは、冒頭の年金のしくみでお話した「2階建て構造」の1階部分のみの受給となるためです。
「わたしはどのくらいもらえそう?」まずは年金額の確認を
ここまで、厚生年金と国民年金の受給額をみてきました。厚生年金の平均月額でさえ、もしかすると心許ないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自営業やフリーランスのような働き方をされている人の多くは、国民年金のみの加入となり、会社勤めの厚生年金加入者と比較すると年金額は少なくなる傾向があります。
いずれにせよ、いざ年金を受取るタイミングで「もっと受け取れると思っていたのに…」とならないように、ねんきん定期便やねんきんねっとなどを活用し、「今から」年金額を確認することをおすすめします。
公的な年金だけに頼らず、「自分で準備」できれば、安心してセカンドライフを迎えることができるかもしれませんね。
ただ、銀行などの預貯金だけでは、どれだけ時間があっても、効率よく増やしていくことは難しいといえそうです。
そこで皆さんに検討いただきたいことは、お金にも働いてもらう=資産運用を活用してみることです。
貯蓄とは異なり、資産運用には元本保証はありません。そのため、集中的に投資をするのではなく、リスクを分散しながら積立を長期間で行えるかどうかがカギを握ります。
時間を味方にできれば、資産運用の結果も期待できる可能性が高まるといえるかもしれません。悠々自適なセカンドライフの夢に近づくために、「お金を育てるしくみ」をつくっていけるとよいですね。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」
- 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約」第1表「就業状態別15歳以上人口,産業別就業者数,求職理由別完全失業者数
- 熊谷良子(LIMO)「基礎年金は月額5.5万円。では厚生年金の平均は?」
吉田 奈都子
