しかし、学力選抜である一般入試組が減少していることで、入試方法による学生間の学力差があるのではという指摘もありました。安易なAO入試や推薦入試では大学に入っても講義についていけず、課題やレポート作成もままならない。そんな学生を生み出す可能性もあるという懸念です。
そこで、こうした問題を是正する動きが強まりました。2021年度よりAO入試は「総合型選抜」に、そして推薦入試は「学校推薦型選抜」と名称が変更されましたが、変わったのはそれだけではありません。
各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、または「大学入学共通テスト」の少なくともいずれか一つの活用が必須化されたのです。
旧帝大でも総合型選抜の枠は増えている
私立大学が実施しているイメージが強い総合型選抜(旧AO入試)ですが、近年は国公立大学でも積極的に募集人員を増やしています。
今年1月に文部科学省が公表した「令和3年度国公立大学入学者選抜の概要」によると、国公立大学全体で令和3年度の総合型選抜の募集人員は平成31年度より2000人近く増加。もはや私立の専売特許ではなくなりつつありますが、特に総合型選抜に力を入れていのは旧帝大でもある東北大学です。
難関国立大学の中では東北大のAO入試の歴史は長く、平成12年度(2000年)の入学者試験からスタート。総合型選抜にあたるAO2期とAO3期の2つの入試が行われています。令和3年度(2021年)では募集人員の3割をAO2期と3期が占め、大学の目標が達成されました。
ただし、東北大学の総合型選抜は決して簡単なものではなく、「調査書の学習成績概評がA段階に属する者」が必須条件です。また、AO2期では大学独自の筆記試験、3期では大学入学共通テストが必須と、一般入試組に引けをとらない学力が求められるレベルの高いものとなっています。