2021年9月21日に行われた、三井物産株式会社の個人投資家向けIRセミナー・会社説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:三井物産株式会社 代表取締役社長 堀健一 氏
三井物産株式会社 IR部長 稲室昌也 氏

個人投資家向けIRセミナー・会社説明会

堀健一氏(以下、堀):みなさま、こんにちは。社長の堀でございます。本日は、たくさんの方にご視聴いただき、誠にありがとうございます。本来はみなさまと対面でお話しさせていただく予定でしたが、緊急事態宣言の延長を受け、オンラインのみでの開催とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

当社の株式は3月末時点で約30万人の個人投資家のみなさまに保有いただいており、その保有株式数は、発行済み株式の約20パーセントを占めるとても重要な存在です。

足元の業績を見ると、グローバルに強みを持つそれぞれの事業において経済の回復を捉え、新型コロナウイルスによる事業環境の変化を着実に収益に結びつけることができています。本日の説明会を通じ、当社の強み、戦略、持続的成長へ向けた道筋をみなさまにご理解いただき、今後の投資判断の一助としていただけましたら幸いです。

目次

最初に会社概要をご説明して、そのあとに当社の強みについてご紹介します。その後、業績・株主還元、2022年3月期の重点施策についてご説明します。

数字で見る三井物産

会社概要をご説明します。当社の前身である第一物産は、第二次世界大戦後間もない1947年に設立されました。その後、1959年に旧三井物産社員が興した会社の大合同を経て、現在の三井物産は誕生しました。

それ以後、「必要なモノやコトを必要としている人々に届ける」という使命の下、さまざまな分野で国、地域を超え、お客さま、事業、アイデアをつなぎ合わせて事業を創出し、日本そして世界経済の発展とともに成長してきました。

我々が現在まで事業を継続し、拡大してこられたのは、当社グループが擁する約4万5,000人の多様な「人材」と、お客さま・パートナー・取引先・地域社会といったさまざまなステークホルダーとの強固な「ネットワーク」、さらには16事業本部や、国内外131拠点、500社を超える関係会社からなる部門や地域の垣根を越えた「総合力」があったからだと考えています。

事業分野①

ここからは当社の7つの事業分野についてご説明します。当社の事業分野は多岐に渡っています。さまざまな事業分野でのプレゼンス、知見、ノウハウを掛け合わせ、世界中の複雑な社会課題に対して、当社だからこそ可能な価値創造に挑戦しています。

金属資源・エネルギーからなる資源分野では、鉄鉱石や原油、ガスなどの上流権益への投資を行っており、埋蔵量と生産量の拡充やコスト競争力の強化に取り組む一方で、トレーディング事業や低炭素社会を見据えた取り組みを強化することで、商品価格に過度に依存しない収益力の向上を目指しています。

「金属資源」分野では、当社最大の収益源である鉄鉱石事業の維持・拡大に向け、鉄鉱山の開発を資源メジャーのBHP社やRio Tinto社、Vale社と行っています。また、地下資源の開発に加え、循環型社会への対応として金属リサイクルや電池バリューチェーンの取り組みも強化しています。

「エネルギー」分野では、LNG事業に積極的に取り組んでおり、米国キャメロンLNGプロジェクトの全系列での生産を開始したほか、一昨年にはロシア北極圏とアフリカのモザンビークでのLNG開発プロジェクトに関する最終意思決定を行いました。2023年、2024年の運転開始を計画しています。後ほどご紹介しますが、次世代エネルギー事業という気候変動を機会とした取り組みも行っています。  

事業分野②

「機械・インフラ」分野では、電力・ガス・水の供給、鉄道・空港・港湾など、生活に欠かせない社会インフラを長期安定的に提供し、よりよい暮らしや国創りに貢献しています。IPPと呼ばれる発電事業を全世界の40地域以上で展開しているほか、スライドに掲載している写真のように海上で石油・ガスの生産、貯蔵、積み出しを行うFPSOと呼ばれる事業などの拡大を進めています。また、本セグメントでは自動車、鉄道、建設機械、航空、宇宙関連事業にも取り組んでいます。

「化学品」分野では、基礎化学品や素材のほか、農薬、肥料といった農業関連、さらには、水素・アンモニアといった新エネルギー関連など、さまざまな取り組みを進めています。化学品は素材という切り口からたくさんの産業との接点があるため、その特徴を活かした当社総合力に資する事業を展開しています。

事業分野③

「鉄鋼製品」分野では、鋼材のトレーディングや当社が出資する、自動車の軽量化と高強度化の技術を持つスペインGestamp社の企業価値向上に取り組んでいます。また、電炉やインフラのメンテナンス事業など、脱炭素社会に対応した取り組みも展開しています。

「生活産業」分野では、消費者のニーズが多様化・複雑化する食品、流通、ファッション分野での事業に加え、アジア最大の民間病院へ事業参画し、ヘルスケア、ウェルネス分野での事業拡大に努めています。

最後に「次世代・機能推進」分野です。スライドに掲載している写真はテレビショッピングですが、本分野ではICT、金融、不動産、物流など、当社の業態進化につながる案件を推進しています。また、専門機能を全社横断的に提供することで、当社全体の事業基盤の強化に向けた取り組みを主導しています。

創業以来受け継ぐ価値創造の歴史

価値創造の源泉である当社の強みについてご説明します。当社の強みの土台は、時代に応じて変化する社会の課題に対して事業を生み出すことで、その解決に貢献し、当社の成長も実現するというプロセスの中で築かれてきました。

当社の企業使命は、「世界中の未来をつくる」ですが、総合商社としての機能を強化し、業態、事業ポートフォリオを時代に応じて変化させながら、地球規模の課題解決に貢献するべく事業活動を行っています。

強み① 総合力

当社の強みの1つが「総合力」です。ここでは、総合力発揮の事例として米国の液化天然ガス事業のキャメロンプロジェクトをご紹介します。キャメロンプロジェクトは米国ルイジアナ州での液化天然ガスの製造、輸出プロジェクトです。

当社は本プロジェクトに対して、エネルギー分野での資源開発の実績、機械・インフラ分野でのインフラ開発の経験、LNG船の手配といったロジスティクス、さらにガスの調達からLNGの販売まで、複数の事業分野で培った経験や機能を総動員し、プロジェクトの成功に貢献することができました。

このように、各事業分野で築き上げた商品や地域に関する知見を組織の枠を超えて活かし、総合商社としてのマーケティングやロジスティクスなどを掛け合わせることで総合力を発揮しています。

また、後ほどご説明しますが、環境や健康といった新たな分野を代表に、産業を跨いだ形で複合的に機能を発揮し、価値を創造していくことがより肝要になってくると考えています。

強み② キャッシュ創出力①

2つ目の強みは、競争力のある多様なポートフォリオに支えられた強い「キャッシュ創出力」です。こちらに示したグラフは約20年にわたる、当社キャッシュ創出力の指標である基礎営業キャッシュ・フローの推移です。 

スライド10ページのグラフが示すように、2009年から2010年にかけてのリーマンショックの時も早期の回復を実現しました。また、2016年の商品市況低迷時や足元の新型コロナウイルス感染拡大といった厳しい事業環境においても、一定のキャッシュ創出力を保つことができました。

足元を見ると、今期予想を含む直近5年間の基礎営業キャッシュ・フローは平均して6,700億円レベルまで上昇し、特に今期は9,000億円を見込んでいます。

強み② キャッシュ創出力②

スライド11ページの円グラフは、昨年度2021年3月期の基礎営業キャッシュ・フローを事業分野別に示したものです。鉄鉱石をはじめとした資源・エネルギー分野が商品市況の上振れを着実に取り込むと同時に、コロナ禍でも幅広い分野で安定的な収益を生み出すことができました。

常に将来を見据えて事業資産の入れ替えを実行することで、景気に左右されにくく、一方で商品市況のアップサイドを取り込むことができる強い事業ポートフォリオを構築しています。

強み③ 多様なプロ人材

当社にとっての最大の資産は人材です。使命とする「世界中の未来をつくる」を実現するため、当社社員がパートナー・取引先・地域社会といったステークホルダーと共通の目標を掲げ、巻き込みながら、社会課題を解決するために事業を創出しています。

当社には、自ら主導してビジネスを動かすことで、行動力と判断力を磨き成長できる環境が世界中にあります。若いうちから事業の現場に飛び込んでもらい、そこで揉まれることによる人材育成を進めています。

また、本年度より多様なプロ人材がそれぞれの強みを発揮し、その成果と貢献が適切に評価され、果敢にキャリアを切り拓くことができる環境を実現するべく、新たな人事制度を本格的に開始しました。 

【映像】「種子事業の取り組み」

ここで、当社の人材が事業の現場で奮闘する様子を映像で紹介します。今回紹介する社員は、野菜の種子事業に取り組む社員です。

中間層の人口増加を背景に、食料の安定供給や多様化する嗜好への対応といった課題に種子事業を通じて対峙するべく、現場で奮闘する姿をご覧ください。

(映像は、こちらのページに掲載している動画の「14:47~21:03」で視聴できます)

海外での当社の事業を梃子に、日本の種子メーカーを巻き込みながら挑戦する姿をご覧いただきました。

22/3期1Q実績

業績と株主還元についてご説明します。本年度4月から6月までの第1四半期の実績です。前年同期比で大幅な増益、事業計画対比でも高い進捗を示すことができました。四半期決算としては過去最高を更新しました。

グローバルな回復需要を取り込み、商品価格が堅調な鉄鉱石事業や、自動車・商用車事業、化学品・鉄鋼製品といった素材関連、食料関連のトレーディング、加えて病院などのヘルスケア事業が貢献しました。

新型コロナウイルス感染拡大からの回復の色濃い国や地域で事業を展開する、当社のグローバルポジショニングの良さを活かすことができた結果だと考えています。

22/3期計画

2022年3月期通期見通しについてご説明します。通常、第1四半期では業績の見直しは行いませんが、堅調に推移する商品市況を反映し、2022年3月期の通期業績予想を基礎営業キャッシュ・フロー9,000億円、当期利益6,400億円に上方修正しました。第2四半期の決算公表時には、改めて全社の通期予想のさらなる修正要否をレビューする予定です。

16ページのグラフの右側に記載していますが、現在の中期経営計画の当初目標を前倒しで達成し、さらなる高みを目指していきます。また、強いキャッシュ創出力を基に、株主還元と成長投資を両立していく考えです。 

株主還元方針

株主還元方針についてご説明します。配当は、現在の中経の公表時に1株あたり80円を下限配当とすることをお伝えしましたが、その後の業績、キャッシュ創出力を踏まえ、2022年3月期と2023年3月期は、下限配当を90円へ引き上げることを公表しました。

また、もう1つの還元方法である自社株買いについては、本年4月から6月までに750億円を実施し、さらに8月に500億円を上限として実施することを公表しました。 

当社の株主還元は、基礎営業キャッシュ・フローに基づく還元率を指標としています。その還元率は、前中経3年間平均で28パーセントでしたが、2021年3月期実績はそれを上回る31パーセントとなっています。また、事業環境や投資機会にもよりますが、現段階では、本中経3年間の平均として33パーセントへ引き上げることを考えています。

引き続き、資本効率を意識しながら、基礎営業キャッシュ・フローの向上を通じた総還元性向の引き上げを図っていきます。

規模感ある収益群の形成

続いて、当期の重点施策についてご説明します。成長戦略の柱としているのが事業群戦略です。コア事業と呼んでいる当社の強い事業を徹底的に強化するとともに、その周辺で事業を有機的に連携させ、複合的な機能発揮によって事業群を一層強固にする戦略です。このような事業群を産業横断的に形成していくことで、強固な収益力の実現と下方耐性のさらなる強化を目指します。 

例えば、当社は2001年のPenske Automotive Groupへの出資を起点に北米乗用車ディーラー事業を深掘りし、2015年にはさらなる協業としてトラック・リースやロジスティクス事業を手掛けるPenske Truck Leasingの出資に繋げました。当社の持つ商用車・輸送サービス分野での知見やネットワークを活かし、米国でさまざまな顧客・パートナーにサービス提案を行い、現在の確固たる収益基盤となっています。

Strategic Focus(戦略的注力領域)

現中期経営計画では、前中期経営計画から力を入れてきた「環境と健康」への取り組みを前進させるべく、「エネルギーソリューション」「ヘルスケア・ニュートリション」「マーケット・アジア」を戦略的注力領域としています。

【Strategic Focus①】エネルギーソリューション

「エネルギーソリューション」と呼んでいる、脱炭素社会の実現に向けた取り組みについてご説明します。 

当社にとってエネルギー事業は主力事業の1つで、過去から取り組んできたLNG、E&Pというエネルギー開発事業、そして発電事業を軸に構築してきたパートナーシップや顧客基盤、専門性を持っています。さらに、これらを活かしながら、バイオ燃料・燃料アンモニアや水素といった次世代型エネルギー事業の創出を進めています。

エネルギートランジションを実現する上で、既存エネルギー事業における当社のプレゼンスや知見は有効だと考えています。

【Strategic Focus①】具体例:水素・アンモニアの取り組み

利用時に二酸化炭素を出さないことで、将来のエネルギー源として期待される水素・アンモニアでの取り組みをご紹介します。

当社には、LNG事業を通じたガス産出国との関係や、石油・ガス開発での経験が活用できる 地中の二酸化炭素を回収・貯留する技術に関する知見、そして取扱量が本邦1位のアンモニアのトレーディング事業があります。これら複数の事業でのノウハウを結集し、製造から最終需要家までのバリューチェーンの構築を目指しています。

また、米国カリフォルニアでは、水素ステーション事業にも参画しており、燃料電池自動車の普及を進めています。さらに、水素需要の拡大が見込まれる商用車など、新たな領域での事業開拓にも取り組んでいます。

【Strategic Focus②】ヘルスケア・ニュートリション

「ヘルスケア・ニュートリション」についてご説明します。先進国を中心とした健康志向の高まりや医療費抑制ニーズに応えていくため、治療を軸としたヘルスケアから、未病・予防も含むウェルネスへ、つまり患者から生活者へと対象を広げた形でサービスを提供するべく事業の構築を目指しています。

具体的には、IHHを中心に病院事業のさらなる強化・拡大を追求すると同時に、IHHが有する膨大なデータを活用した治療効果の最大化とコスト適正化、ヘルスケアデータ事業の構築を行います。全社を横断した取り組みによって、治療から未病・予防まで一気通貫で事業を創出していき、将来的にはアジア最大級の「健康事業群」の確立を目指しています。

【Strategic Focus②】具体例:IHHの徹底強化・拡大

戦略の軸となるIHHについてご説明します。各国政府との連携を通じたPCR検査受託などの新型コロナウイルス感染拡大収束へ向けた貢献や、コスト削減策の徹底により、コロナ禍にもかかわらず足元の業績は堅調です。

2011年の当社出資以降、病院数・病床数・EBITDAともに大きく拡大しています。当社が筆頭株主となった2019年の追加出資以降は、IHHグループの病院ポートフォリオの強化とシナジー追求、コスト削減を進めてきたことの成果であり、成長戦略をさらに加速させています。

また、先ほどお伝えしたとおり、IHHが保有する3,000万人超の患者データを活かし、病院の経営改善や患者目線でのサービスの向上、オンライン診療などの新たなサービスの拡充も実行したいと考えています。

【Strategic Focus③】マーケット・アジア

続いて、「マーケット・アジア」についてご説明します。アジア市場の存在感はこれまで以上に増大しています。アジアは世界人口の過半数を誇る巨大マーケットで、豊富な若年層の存在が魅力です。GDP成長率も年5パーセントとアフリカをおさえて世界で最も高く、この経済成長が市場全体の購買力の向上をもたらしています。

一方、着目すべき時代の潮流に「デジタル化」があります。モバイル端末の普及、キャッシュレス決済の進展、配車・フードデリバリーサービスの浸透など、日常生活の「デジタル化」が想像以上に進んでいます。

【Strategic Focus③】具体例:インドネシア財閥CT Corpとの取り組み

本年4月にインドネシアの財閥であり、金融・メディア・小売・不動産などのコンシューマー事業に強みを持つCT Corpとの取り組みを発展させ、同グループの1,000億円の転換社債の引き受けと戦略提携を発表しました。 

当社は、これまで病院事業や食品事業を通じてアジアの産業振興に貢献してきました。今後は同社との取り組みを梃子にして、衣・食・住、メディア、健康、金融、情報といったさまざまな場面での消費者のニーズに、デジタル技術を活用して的確に応え、暮らしを豊かにすることを目指していく方針です。

CT Corpグループのローカルで生まれ育った強みと、当社が持ち込む機能を融合し、消費者エコシステムを構築していきます。そして、アジアの人々が求める生活の質の向上を実現していきます。

気候変動への対応

気候変動を中心に、サステナビリティへの対応は世界が取り組むべき喫緊の重要なテーマとなりました。グローバルにビジネスを展開するビジネス・コミュニティの一員として持続可能な社会の実現に向け、総力を挙げて取り組んでいきます。

当社は、昨年5月に2050年のNet-zero Emissions、2030年の2020年対比でのGHGインパクトの半減を目標に掲げました。資源・発電資産のポートフォリオの組み替えを含めた経済性を確保しながら自社排出量の削減を進め、総合商社としての機能を活かし、広く世界の温室効果ガス削減に貢献していきたいと考えています。 

新型コロナウイルスの出現により、過去に類を見ないほど変化が速い事業環境となっておりますが、みなさまから長期的にご支援いただけるよう、一層スピード感をもって経営に臨んでいきます。以上で私からの説明を終わります。ご清聴いただき誠にありがとうございました。

質疑応答:堀社長のキャリアと印象に残った仕事について

司会者:「堀社長ご自身のキャリアと、これまで印象に残ったお仕事を教えてください」とご質問をいただいています。

:私は、三井物産では産業的には化学品分野の仕事をしている時間が長かったです。化学品はいろいろな産業との関連があるため、おかげさまで三井物産の中のいろいろな部門とさまざまな接点を持つことができました。また、M&Aや商社ならではの金融サービス事業にも、相当な年数で関わっていました。

印象に残った仕事についてお答えします。うまくいった仕事もありますが、お話ししたいのは苦労した時のお話です。

ちょうどリーマンショックの時に米国に駐在しており、当時は金融事業を受け持っていました。その際、リーマンショックの前兆を見たり、その後の対応として損失を最小化したり、せっかく雇った立派な現地の職員が離散しないように「なんとかうちの会社にいてくれ」ということで奮闘した記憶があります。

幸いにも、その時に雇ったマネージャーたちは今も大活躍してくれています。そのような意味でも印象に残った仕事でした。

ビジネスサイドと、会社の裏方からコーポレートサイドで支えるという両方の経験をした身としては、三井物産の仕事の本質は一緒だと思っています。そのような経験も活かしながら、この会社の経営とこの会社を率いていくという重責を担っていきたいと考えています。

質疑応答:脱炭素社会の実現に向けての取り組みについて

司会者:「日本は現在年間で12億トンを超える温室効果ガスを排出していますが、2050年までに実質ゼロにする必要があります。脱炭素社会の実現に向けては、産業構造や経済社会に変革をもたらすことで大きな成長につながるという発想を持って、日本全体で取り組んでいくことが重要だと思います。この件について御社の取り組みを教えてください」とのご質問です。

:こちらは大変大きな課題です。現実的な解を積み上げることが必要であり、それこそ日本全体やグローバル各国と連携して取り組んでいくような大きな課題だと思っています。当社としても、産業構造の中に身を置く企業として貢献していきたいと思っています。

いくつか基本的な原則があると思いますが、エネルギーの大転換を果たさないと温室効果ガスの問題は解決しません。その緊急度がより増しているというレポートがこの夏に出ているのは、みなさまもご承知のとおりだと思います。

エネルギーの大転換を責任のあるかたちで行うことが非常に大事だと思います。そのためには、今持っているもの、それから将来のさまざまな技術投資から生まれるものへの転換を、現実的なミックスをきっちり議論しつつ、コンセンサスを得ながら進めていくことが必要だと思っています。

おそらく業際での取り組みが、エネルギー大転換のポイントになると思います。脱炭素社会に向けて、さまざまな産業部門が貢献していくと思います。エネルギーのプレイヤーはもちろんですが、インフラ分野、機械、素材面からの化学品、デジタルの道具を使った対応など、総合的な対応は必要だと考えます。

当社は幸いにも、これらの各領域で知見を溜めてきた会社です。会社の中で業際でのアイデアを出し、お客さま、パートナーのみなさまと連携して、この大きな課題に取り組んでいきたいと思います。

また、新規の技術開発はますます大事になってくるため、R&D投資、あるいは投資した資産のマネージメントを含めて総合的な対応を行っていきたいと思っています。

質疑応答:資源価格の変動や非資源分野の成長が業績に与える影響について

司会者:「天然ガスの価格は上昇を続けていますが、鉄鉱石の価格は7月下旬から下落傾向です。資源価格が変動していますが、今期の業績への影響はどのように見ていますか? また、非資源分野の成長による業績の安定化はどの程度実現できていますか?」との質問をいただきました。

:おっしゃるとおり、天然ガスの価格は上昇しています。鉄鉱石については去年の第4四半期から今年の第1四半期にかけて、歴史的に見たことのない値段のレベルから直近は下落傾向になっています。

資源価格は大きく変動していますが、第1四半期の決算発表で当社のCFOがみなさまにご説明したとおり、商品市況のボラティリティは我々の皮膚感覚としても相当上がっていると認識しています。

当社の年間の業績予想を立てる際も、実現した部分は決算に入れていますが、先物に関しては徐々にノーマルな市況状況に収束していき、下がっていくという見込みを立てています。もちろんボラティリティが高いため、価格の動向は我々も注視していますし、四半期ごとにアップデートしていきたいと思っています。

資源以外の分野での成長についてお答えします。当社は資源あるいはそれ以外の分野でも各商品領域に特徴があり、その一つひとつを伸ばしていきたいと思っています。この10年くらい、商品市況に直接さらされないような事業の成績を注視してモニターしていますが、絶対的な定量貢献、それから会社全体に対する貢献の比率はだいぶ変わってきています。

絶対値ではこの10年で1,000億円くらいの利益の底上げが実現していると考えており、会社全体に占める比率も半分近くに上がってきていると思います。

もちろん、さまざまな市況変動要因の中での計算のため、輪切りにすると数字はやや変わってきます。しかし、当社としては、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代領域、金属資源、エネルギーとそれぞれの分野が自力をつけてきていると思っています。

この業際にも将来の利益の源泉があるため、それぞれの領域の強化と業際での収益獲得の両面で、会社のポートフォリオ運営を進めていきたいと思っています。

質疑応答:社員の育成と「人の三井」と言われる事例について

司会者:会社の要である人材について、「どのような社員に育てようと考えていますか? そのために具体的にはどのようなことを行っているのか教えてください。また、『人の三井』と言われるような事例があればぜひ紹介してください」というご質問をいただきました。

:社長就任以来、人材については、メッセージの中に相当組み込んで発信して社員とコミュニケーションをとっています。どのような社員を育てるかについてですが、私が社内で伝えていることをそのまま共有すると、自立的に自分で考えることができる社員ということで、横文字で恐縮ですが「インディペンデント・シンカー」と言っています。

自立的に判断するために必要な努力を行い、そのようなことができるがゆえにほかの自立的な社員と横連携して、真の友好なチームワークを作る姿に期待しています。そのためには「自分から場を求めたり、現場に行ってさまざまな修羅場も経験して、よい意味での苦労をして自分を磨いてほしい」というメッセージを出しています。

経験値が積み上がるとお客さまにも評価されるようになると思います。特に「グローバルな舞台で互いに値踏みするような時も、堂々と『この人なら信頼できるな』と思われる社員になってほしい」という言い方をしています。

先ほど映像でも少しご紹介しましたが、社員がどんどん現場に出向いていく、あるいは背中を押していく、あるいは押されていくという場合もあるかもしれませんが、そのような場面を増やすことが非常に大事だと思っています。

「人の三井」といわれる事例については、物語のような事例というよりも全般論で恐縮ですがお答えします。近年、社内にはグローバルに多様なバックグラウンドを持った人たちが会社の中で増えていると思います。

女性はもちろん、外国で当社の社員になってくれた人たちの中でメキメキと経験値を上げてチームを作っている人たちが増えています。ここがこれからますます大事になると思っています。

理由としては、冒頭でいくつかご説明したような戦略論も含め難しい問題に直面した時に、いろいろな引き出しを持っているメンバーがチームを作ってソリューションを出すことがますます大事になると痛感しているからです。

「人の三井」としては、そのような多様性、さまざまなところから鍛えて身に着けた引き出しの多さを意識して、会社全体の実力の底上げを図っていきたいと思っています。

質疑応答:国内のヘルスケア分野について

司会者:「先進国でのヘルスケア戦略は理解できましたが、国内でのヘルスケア対応はどのようにお考えですか?」とのご質問です。

:日本国内のヘルスケアも非常に重点的な分野だと思っています。ご存じのとおり法制度が違うため、先ほどお伝えしたアジアでのIHHの事業のようなかたちでのビジネス展開を日本で直接転用することはできません。

ただし、日本は非常に医療のレベルが高く、さまざまな工夫が行われています。そのため、病院の周辺事業、病院を支援する事業、あるいは日本の医療活動をさらに進化させるために必要な事業で貢献できるのではないかと思っています。

一例をお伝えします。画像診断をデジタルで行い、クラウドで整理して、それらのデータの蓄積からさらに次の洞察を得るような事業を国内のパートナーと三井物産で行っています。NOBORIという会社もその例になると思います。ぜひご覧いただければありがたいと思いますが、このように支援事業を進めていきたいと思っています。

アジアで当社が行っている仕事によっても、日本に対していろいろな洞察を持ってくることができる時代が来るのではないかと思っています。

特に新型コロナウイルスにおいて、アジアでは自宅での診療と病院での診療の統合が進んでおり、そのための道具やインフラ整備も進んでいます。このあたりは将来日本に導入する際に、より日本に適合したかたちで進めていく上でのヒントになるのではないかと思っています。長期的には、日本を非常に意識したかたちで当社のグローバルヘルスケア事業を行っていきたいと思っています。

また、未病・予防の分野は非常に大事です。病気になる前に各自が体調に関するデータをとって自己管理を行ったり、専門家から適切な指導をもらったりしながら、テーラーメイドという個別化した未病対応を行うことで病気を防ぎ、健康な寿命を長くさせると思っています。その結果、ヘルスケアに関わる国のコストも全体的に下がっていくと考えています。

日本では、未病・予防の領域も当社の大事な攻めどころだと思っています。デジタルトランスフォーメーションの技術を使いながら、例えばアメリカでの高級未病サプリメントも含めたパッケージでの事業展開を日本に導入できないかなどの挑戦を行っています。そのため、国内マーケットは将来非常に大きなマーケットになると考えています。

司会者:高齢化社会と言われていますので、健康に対する分野は本当に大切になってくると思います。

質疑応答:事業構成の全体最適および10年後に目指す姿について

司会者:「御社の考える事業構成のベストミックスはどのようなものでしょうか? 利益中心であれば、現時点ではまだ金属資源やエネルギー分野だと思うのですが、全体最適がどこかにあるのではないかと思っています。10年後に目指す姿も教えてください」というご質問です。

:当社の10年後のポートフォリオのあり姿に関する貴重なご質問だと思います。三井物産のような商社は、10年ごとに中身が大きく変わっていくという歴史を経ています。したがって、これからも事業ポートフォリオの中身は変わっていきますし、むしろそれが常態だと思っています。

しかし、うまく進められるものや、実力を少しずつ身につけたがゆえに攻められたところを伸ばしていくこともあり、初めから「このようなあり姿だ」と決めつけていくのもリスクがあるため、走りながら考えていくことも多分にあります。

いくつか大きな原則はあり、ご質問の趣旨はそこにあると思います。まず、グローバルな地域への広がりを同時に考えていきたいと思っています。コロナ禍で学んだことではありますが、世界中がまだら模様に回復していき、回復したところでまた元に戻ってしまうところもあることから、世界中で根を張っていくことが大事だと考えました。米国や中国、ヨーロッパ、日本、先進国からしっかり根を張っていくことが大事だと思っています。

その中で、商品構成もグローバル戦略をもって考えていくのですが、社会にとって有益な、しかも安定的な供給責任を託されたコモディティというのは、引き続き当社の仕事の大事な部分であると思っています。当然、気候変動および地球の自然資源全体に対する最大限の配慮を行いながら、社会が求めるディマンドのミックスに対して的確に対応していくことが必要だと考えています。

例えば、エネルギートランジション1つをとっても商品単品ではなく、さまざまな技術、ロジスティックスを組み合わせて考えます。インフラの新規技術、ネットワーク技術、電力のグリッドの管理等もまさにそのような分野ですが、それらを含めた業際のパッケージとしての仕事が増えてくると思っています。エネルギートランジションが1例ですが、そのような業際型の事業ポートフォリオもあります。

また、当社の場合、消費者ビジネスも行っています。例えば、本邦ではテレビショッピングなど比較的大きな仕事をしているほか、給食サービスもありますし、アジアの病院事業も患者に直接貢献するという意味では、コンシューマーに近い役割を担っています。

そのように当社ならではの力が発揮できる広義のリテール事業に、一定の経営資源を割いていきます。おそらくヘルスケアについては、先ほどお伝えしたヘルスケアとそれを包含するウェルネスという発想で進めることで、当社の将来の成長のエンジンになると思っています。

伸びゆくアジアの消費者層にどのような総合的サービスで入っていくかというところですが、この先の10年で、今お伝えした3つの分野が軸となることは変わらないのではないかと思っています。

投資を伴うもの、将来的なR&Dを伴うもの、また、より高度化したトレーディングリスク管理の手法、ファイナンスの手法などを駆使しながら、今の当社のポートフォリオから枝分かれ型と協業型の展開で、ダイナミックな資産ポートフォリオが10年後にできあがっているように一同まい進していきます。

質疑応答:多様性の重要性について

司会者:「多様性の重要性が議論されることが多くなっていますが、総合商社という業態で多様性が重要だと思う場面はありますか? もし重要であるならば、どのように多様性のある会社にしていく考えでしょうか?」というご質問です。

:多様性をいかに確保していくかというのは、各企業にとってこれから重要だと思っています。先ほども「人の三井」に関してご質問をいただきましたが、特に当社のような人が最大の経営資源と言われる業態では、おそらく人材の多様性が今後も鍵になると思っています。

「どのような場面で多様性が重要か」というご質問については、ジェンダーや国籍などいろいろな多様性があると思いますが、先ほどの話で触れていないポイントとして、年代の多様性があります。ベテランの社員と若い社員が組み合わさった、縦のラインにおける多様性は非常に重要だと思っています。

特に地球の自然資源、あるいはエネルギーの大転換についてどのように考えればよいか、すでに人生を長く経験してきた方と、これから社会の行く末を長い時間軸で見ている若い方々とで議論をするとやはり白熱します。また、使いたい道具、「できるだろう」という見込みに関する考え方もさまざまです。言わば、3つ目の多様性の軸として大事にしたいと思っています。

当社の多様性としてもう1つ大事なのは、みなさまの産業的バックグラウンドがそれぞれ違うということです。当社の経営会議でも、それぞれのメンバーが違った産業バックグラウンドを持っているため、それが議論の厚みを増しているところがあり、これもまた重要な多様性が顕在化する局面かと思っています。

なかなか話が尽きないご質問ですが、最近特に注目しているのは業際での多様性と世代別の多様性で、これらをジェンダーや国際性などといったところに加えていく必要があると考えています。

質疑応答:競合他社にはない三井物産の強みと今後の課題について

司会者:「競争関係にある他の総合商社と比較して、堀社長がお感じになっている三井物産の強みとは何でしょうか? また、今後の課題についても教えてください」というご質問をいただきました。

:社長就任のときから社員と話していることですが、各社員が毎日切磋琢磨している現場では、競争相手は実は商社でなく、他の産業にいるグローバルプレイヤーであるケースがほとんどです。そのため、「このことをよく意識して競争戦略を練ってくれ」と言っています。

商社の場合、さまざまな領域でさまざまな産業が発展段階で参入するため、社員たちはそれを踏まえて競合関係を理解するように努めていると思います。商社間の競合比較は、毎日の現実の中ではあまり出てきませんが、三井物産の強みはグローバルな広がりと深掘りに対するこだわりなのではないかと思います。

他の会社の内情をよくわかっていないため、当社が特に力を入れているところという意味で理解していただければと思います。

本社で採用した方々のキャリアの一例として、若いうちに海外に送り込みます。知らない環境で言葉を覚え、ビジネスの文化を覚え、現地とつながりを構築してもらいます。何度か行ってもらったり、いろいろな地域を経験してもらったりもします。

当社の社員が、現地で雇われた人たちと切磋琢磨する姿にこだわっていますので、日本を含めた内・外という意味で、そのような投資は引き続き幅広く行っていきます。世界中で現場感覚のある人を育てていきたいと思っていますし、そのあたりに対するコミットメントは強い会社だと思っています。

今後の課題については、日本中の企業が同じように危機意識を持っていると思いますが、人口減少が気がかりです。若年層の絶対数があまり伸びていないことを考えますと、その中で志を同じくして当社で働いてくれるタレントプールは大事だと思います。日本はもちろん、国内だけではなく世界中でそのような採用力・育成力を発揮しないと、世界のコンペティションで成果を出すための人的資源のインフラは整わないのではないかと危機感を持っています。

日本で雇って当社で働いている若い社員たちも同じような危機感を持っています。このあたりは各社共通の課題かもしれませんが、当社としてもグローバル人材の採用力・育成力・登用力を上げていく必要があると思っています。現場レベルではさまざまな取り組みがすでに行われていますが、それが相対的なスピード感あるいは量において十分であろうかという自問自答は常にしています。

質疑応答:10年後の種子事業の規模について

司会者:先ほどの会社説明で流れた映像に関連して、「10年後の種子事業の規模はどこまでもっていくことをお考えですか?」という質問をいただきました。

:非常に大事なところをついていただいている質問だと思います。種子事業を担当している事業本部長と私とでよく話すのですが、先ほど動画でお示ししたものは非常におもしろい試みだと思っています。

ヨーロッパではイスラエルで買収したトマト種子を中心とした会社が非常に伸びています。それに加えて、日本国内では非常に優秀な遺伝資源を持っている会社と組んだり、中国の大手企業と種子事業を提携したりしています。これらの取り組みによって、世界中の状況がわかる、あるいはどこが攻め筋であるかが見えるところまで来ていると思います。

ただし、ここから先は規模感と利益貢献を出すため、それなりに踏み込んだ打ち手が必要です。もしそれが実現できたときには公表したいと思いますが、社内ではずいぶん、その狙い目について表立って議論しています。そのようなものができればという前提ですが、10年後には、この種子事業が当社の事業ユニットの重要な1つになるところまで目指しています。

現場には「できれば事業本部を張るくらいの気持ちでやれ」とお願いしていますし、いくつかの手がうまくいけば、そうなる可能性は十分にあると思っています。具体的なお話をここでするわけにはいかないのですが、現場チームはそのような気概で動いています。

質疑応答:ROICを業績評価に活用する狙いについて

司会者:「ROICを各事業本部の業績評価のKPIとして活用されるとのことですが、その狙いを教えてください」という質問をいただきました。

:ROICは非常に有効な指標だと思います。分子・分母をさまざまに捉えることができると思うのですが、つまりは、投下した資産に対して十分なリターンを得ているかどうかということです。

事業の組み替えや、所属する産業のベンチマークに対して、当社の事業は本当に本来得るべき利益に達しているのだろうかということを如実に示す数字でもあるため、現場の各オペレーションの長にとって、大変有効な指標になっていると思っています。

注意しなければいけないのは、どのような仕事も出だしはROICが低く、事業基盤ができた後からようやく追いついてくるという特性があるため、少し時間軸を見ながら判断していく必要があります。そもそもは、輪切りで分析することがポイントだと思いますので、その部分をよりハイライトして見るところに特徴があります。IR部長の稲室から少し補足してもらいます。

稲室昌也氏:「率」で示す数字という観点では、全社でのROEがあり、こちらは10パーセントを目標に掲げています。当社の場合、グループカンパニー制は採用しておらず、事業本部ごとに指標を設定しているということになります。

また、ROICは各産業においてそれぞれ違うベースやレベルがあるため、一律に横並びでは比較できませんが、やはりそれぞれの産業の中で自分たちが置かれた立場をどう捉えるかに大きく効いていると思っています。

質疑応答:バークシャー・ハサウェイ社との対話について

司会者:「昨年、三井物産を含む大手商社の株主となったウォーレン・バフェット氏とは対話されていますか? お話しできる範囲で教えてください」というご質問です。

:ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社とは対話をしています。現在はビデオカンファレンスが主体ですが、大きな株主ということで、他の機関投資家のみなさまと同様にお話ししています。

中身に関してお話しすることは適切ではないと思いますが、少しだけみなさまに共有すると、ビジネスをよくわかった方々と非常に現実感のある会話ができるという印象の面談内容だと思っています。

バークシャー・ハサウェイ社のような会社が株主であることは、当社にとっても非常にありがたいことです。企業価値をつけていき、個人株主や機関投資家のみなさまのご期待に応えられるように頑張っていきたいと思っています。

バークシャー・ハサウェイ社との対話は、投資家のみなさまが求めている方向などを感じとることができるため、さまざまな意見交換の中でヒントを得られる非常に貴重な機会です。血の通った、ビジネスに根ざした対話になっているとご理解いただければと思います。

質疑応答:株主還元策について

司会者:最後のご質問です。「さらなる株主還元策に対する考えを教えてください」といただきました。

:株主のみなさまにとって最も関心があることだと思いますし、我々も株主還元策は非常に重要だと思っています。冒頭にご説明したとおり、当社の事業の成果、その中でも非常に重要視している基礎営業キャッシュ・フローの出方をよく見ながら考えていく所存です。

基礎営業キャッシュ・フローに加え、我々自身がどのような投資案件のパイプラインをもって投資ニーズがあるかどうかを検討する一方で、資産の売却等でキャッシュが入ってくる際にも、会社全体のキャッシュの動きを見ていきます。

また、第1四半期で発表したように、当社が想定する商品市況の正常な動きの範囲を超えたところでの「遊び」や、少し想定を超えて余力につながる営業管理のキャッシュ・フローがあるときも、先ほどお伝えしたさまざまなことを考慮しながら、今後の株主還元について考えていきたいと思っています。

1つの大きな指標としては、中期経営計画3年間を帯で見ていただければと思います。スライド17ページのグラフのとおり、現在は中経の2年目であり、基礎営業キャッシュ・フローに対して還元率33パーセントというかたちを目処として、ある一定の率で総還元性向が伸びていることをお伝えしていますが、そのような金額が株主還元に回っていくという基本モデルで考えていきたいと思います。

四半期ごとに、株主のみなさまに現状をご説明するかたちでエンゲージメントを深め、株主還元策に対する姿勢を都度お示ししていきたいと思います。

配当の安定性や、会社の収益の底上げに応じて配当のレベルを中長期的に上げていきたいと考えています。また、いくつかの条件が重なった時の自社株買いについても組み合わせたかたちで、先ほどの会社全体の基礎営業キャッシュ・フローに対する還元率の目処を照らし合わせながら進めていくことになるだろうと思っています。

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