2021年8月26日に発表された、株式会社ヴィンクスの事業戦略紹介(2021年12月期第2四半期)の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ヴィンクス 取締役常務執行役員 竹内雅則 氏

1.エグゼクティブサマリー

竹内雅則氏:こんにちは、ヴィンクスの竹内です。当社は売上高・営業利益ともに、常に2桁成長できる事業構造を目指しています。本日は、2021年上期の実績を踏まえ、事業戦略の状況についてお話しさせていただきます。

1つ目に我々が事業変革してきた業績の状況、2つ目に外部環境の状況、3つ目に具体的な戦略の中身についてです。

2.VINXの沿革と強み

まず、当社の沿革をスライドに記載しました。当社は、大手流通小売業の情報システム子会社が合併してできた会社です。そのため、流通小売業の情報システム部門の業務が、一番強みを発揮できる分野になっています。

スライドにお示ししたグラフには、外販比率の推移を記載しています。情報システム子会社からプライムベンダーに変革してきた歴史がわかると思います。

売上高・営業利益の推移

過去3年の売上高、営業利益の状況をそれぞれスライドのグラフにお示ししています。売上高については概ね横ばいで推移していますが、ご覧のとおり、営業利益は3年連続の2桁成長、さらに3年連続最高益を更新できる状況まできているというのがわかると思います。

分野別状況(ソリューション分野、プロダクト分野)

具体的に各分野の状況をお話ししますと、当社の主力分野であるソリューション分野、プロダクト分野については、スライドに記載のとおり、売上高が非常に伸びている上、営業利益も売上高の推移以上に伸びている状況です。

分野別状況(アウトソーシング分野)

こちらのスライドでは、アウトソーシング分野の状況を記載しています。事業変革に伴い売上高は下がっていますが、利益率は上がっています。利益高については、ほぼ横ばいを維持しているという状況です。

今後は、アウトソーシング分野についても売上高を上げていく戦略を立てているため、会社の伸びがより明確に見えてくるのではないかと思っています。

3.小売業界の市場動向

外部環境について少しお話しします。当社がターゲットとしている業種、業態におけるIT予算は、おおむね4,000億円程度と推測しています。

スライド右側のグラフをご覧ください。縦軸が成長率、横軸は営業利益率、円の大きさは売上規模になります。昨今はコロナ禍の状況が続きますが、スーパー、ドラッグストア、ホームセンターといった当社が主力としている業種については、このように成長している状況です。

4.小売業の課題とVINXのソリューション

そのような中で、小売業のみなさまがどういった課題を抱えているのかということをスライドに記載しました。店舗を新しく出すという環境下においては、システムの投資額をいかに削減するかについて、非常に悩まれています。また、M&Aを積極的に行われているため、その際にシステムを統合する費用を極力抑えたいということも悩みの1つになっています。

これに対し当社の「ANY-CUBE」は、複数のメーカーのハードウェアだとしても、ハードウェアに依存することなくソフトウェアだけでシステムを共通化させることができますので、M&Aのニーズにしっかり応えることができます。

また、お客さまが事業拡大に向けDX推進を積極的に進めようとしている場合も、当社は2017年からニューリテール戦略としてDXを推進していますので、他社をリードした事例を含め、ご紹介が可能です。

システム部門の要員不足についても非常にお困りのお客さまがいます。当社はもともと情報システム部門が独立してできた会社ですので、このような要員不足にも適切に応えることが可能です。

5.小売業界のM&A動向

こちらのスライドでは、M&Aの状況を整理して記載しています。ドラッグストア、スーパーマーケットを中心に、積極的なM&Aを行っていることがわかると思います。

その中で、上位集中度80パーセント、つまり市場の80パーセントを占めるために必要な企業数をスライド中央のグラフにお示ししています。コンビニエンスストアは、わずか3社で上位集中度80パーセントを超えますが、食品スーパーについては107社という、非常に多くの企業数が必要となります。

そのため、食品スーパーの中でも中小規模のスーパーマーケットに対し、大手のドラッグストアや食品スーパーが積極的にM&Aを仕掛けている状況です。そのように大手ドラッグストアや食品スーパーがM&Aを行えば行うほど、当社には追い風になる市場環境となっています。

6.競合状況

こちらのスライドには競合状況を記載しています。メーカー系の企業はハードウェアをベースにビジネスを行うため、やはりM&Aなどを行う時には非常にコストがかかる構図になります。当社にはハードウェアに依存せず、ソフトウェアだけでシステム共通化できるというメリットがあります。

また、SI系の企業もたくさんの小売業向けビジネスを行うだけではなく、あらゆる業種・業態に対してビジネスを行っています。当社は流通小売業向けに特化していますので、流通小売業の技術者、経験、ノウハウという面では、SI系企業と同等、もしくは我々の方が要員規模が大きい場合もあり、当社に優位性があることになります。

また、この分野ではベンチャー系企業もたくさん出てきています。しかし、ベンチャー企業は特定の尖った分野のモジュールを提供している状況です。

当社は、全国展開しているお客さまに対して、トータルでソリューションを提供できますので、場合によってはベンチャー企業の作った製品を当社の中で組み込み、全国的にサポートすることも可能です。トータルソリューションとして見た場合には、むしろ当社のソフトウェアを使ったほうが便利だということもあります。

このように優位性を発揮している一方で、メーカー系、SI系、ベンチャー系企業とは競合ではありますが、協業関係でもあるというのが当社の特徴になっています。

7.VINXの成長戦略

それらを踏まえ、当社の成長戦略をスライドの図に記載しました。横軸が市場・顧客で、左側が既存、右側が新規となっています。縦軸は商品・サービスで、下段が既存、上段が新規というマトリックスになっています。

スライド左下にお示ししている、情報システム子会社としての「既存ビジネス」の領域から、さらにいろいろな大手のお客さまへそのノウハウを使ってビジネスを行っていきます。スライド右下のアジア市場に対する小売業展開やソリューションの提供を、新規市場の展開として進めています。

新しい商品・サービスとしては、スライド左上の「ニューリテール戦略」としてお店のスマートストア化、またネットとリアルを融合するソリューション、お店自身を広告媒体とする店舗のメディア化といった軸の中で、新しい商品・サービスを提供しています。

また、スライド右上の「新たなビジネスモデル」としては、決済やポイントサービスの利用料でのビジネスがあります。我々は、もともと情報システム部門の予算からお仕事をいただいているわけですが、昨今は「広告の分野でもITを使おう」ということが非常に増えています。

情報システム予算ではなく販促予算からお仕事をいただき、ビジネスを行うという新たなビジネスモデルも検討しています。

7-1.特定顧客化戦略

特定顧客化戦略についてご説明します。当社が注力している業種には、総合スーパー、アパレル、ホームセンター、ドラッグストア、スーパーマーケット、専門店など、それ以外もありますが、主にこのような分野があります。

この6業種の上位10社、計60社の中で当社のソリューションサービスをお使いになっている企業数は、この上期に新たに3社増え、24社となっています。

もともと我々は情報システム子会社でしたので、POSシステムの「ANY-CUBE」、基幹システムの「MDware」といった商品をお使いいただいた上で、情報システムにおいてもあらゆる面でサポートするビジネスを広げていくというのが、この特定顧客化戦略になります。

当社の成長を支える基盤となるお客さまが非常に増えてきているため、今後そのような企業さまに向けてさまざまなソリューションのご提案を展開していく予定です。

7-4.小売業のDXをリードするVINXのシステム

ニューリテール戦略で代表されるスマートストア化の事例をスライドに記載しました。空中で操作するタッチレスPOS、キャッシュレスセルフPOS、トライアルさまと一緒に進めているカート型のPOS、また、AIを使って来店する客数を予測し、効率的な発注をするシステムなど、新しい分野のソリューションを続々リリースしていますし、この分野においては他社をリードする実績があります。

7-6.新たなビジネスモデル

新たなビジネスモデルについて簡単にご説明します。1つ目は「VINX広告メディアサービス」です。POSの背面表示や、お店の中のさまざまなサイネージに対してメーカーが広告を打つ費用を、小売業者と当社でシェアするというのがビジネスモデルになります。こちらについては、大手ドラッグストアを中心に実験がスタートしています。

また「SoftWareCATポイントサービス」も開始しています。さまざまなポイントを付与する、使うという場面が増えてきていますが、当社がポイント事業主さまとの中継サーバーを運営し、トランザクションごとに課金するという新たなモデルです。

このような新しいサービスにもいろいろチャレンジしているのが、今のヴィンクスです。

8.今後の見通しについて

それらを踏まえ、今後の業績についてお話しします。スライドにお示ししているのは、現在開示している2021年度、2022年度、2023年度の売上・営業利益です。今年度上期の実績については、売上高の進捗率52パーセント、営業利益の進捗率59パーセントということで、計画を上回る進捗で推移しています。

成長できる環境がだいぶ整ってきているため、今後さらなる事業拡大を進めていきますので、どうぞ期待していただきたいと思います。本日の説明は以上になります。

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