2019年に話題となった「老後2000万円問題」、まだ記憶に新しいという方も多いと思います。

公的年金だけでは2000万円不足するといわれた老後資金。そこで気になるのが、そもそも年金はどのくらい受け取れるだろうか、という点ですね。

しかし、その公的年金の年金額は現役時代の「働き方」に大きく左右されるということをご存じでしょうか?

例えば「老後2000万円問題」のモデルケースとなっている高齢夫婦無職世帯のひと月の収支は、現役時代に専業主婦世帯だったケースを元に計算されています。共働き世帯の年金額であれば、また違った試算がでてくるでしょう。

そこで本日は、証券会社で約20年の経験をもち、現在はFPの資格保有者としてファイナンシャルアドバイスを行っている筆者の視点で、「働き方」と公的年金の国民年金・厚生年金にスポットをあててお話しさせていただきます。

働き方と年金の関係をおさらい

日本の年金制度は2階建て構造、などと言われます。次の図のようなイメージですね。

ここで国民年金と厚生年金の仕組みを簡単におさらいしておきましょう。

1階部分「国民年金」

国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入する義務があります。そのため、基礎年金とも呼ばれます。

職業別にみると、学生・自営業者・フリーランス・専業主婦(夫)・農林漁業者などが対象となります。

2021年度の国民年金保険料は全員一律で月額1万6610円。現役期間中にこの年金保険料を納付し、老後は「老齢基礎年金」を受給します。

2階部分「厚生年金」

公務員や会社員等が国民年金に上乗せして加入するのが厚生年金です。年金保険料は、勤務先と加入者の折半が原則です。

厚生年金の保険料は毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に所定の保険料率をかけて計算されます。収入の高い人ほど、保険料額が上がります。

老後は、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受給します。