2016年10‐12月期のトランプラリーは、海外投資家の買いに個人が売り向かった
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
いよいよ2017年の相場が始まります。2016年9月末から12月末までに株価は大きく上昇しました。TOPIXはこの3カ月間に+15%上昇しています。特にトランプ氏が米大統領選を制してから、がらりと市場の雰囲気が変わりラリーが続きました。
この期間の主要な売り手と買い手を現物株の売買動向で確認してみましょう。データは日銀は12月30日まで、それ以外は12月22日までです。
まず、買い手ですが、海外投資家が約+2.5兆円、次に日銀が+1.5兆円、事業法人が+0.4兆円の買い越しでした。一方、売り手ですが、個人が▲3.3兆円、投資信託が▲0.7兆円、都銀地銀が▲0.2兆円の売り越しになっています。
よく言われることですが、日本株の上昇局面では海外投資家が買い上がり、逆張りの個人が売り越します。もう1つの逆張り投資家である信託銀行は2015年12月から2016年8月まで一貫して買い下がってきましたが、この10-12月期は売り上がっています。従来通りの需給構造だったと言えます。
12月中旬以降は海外投資家の買いが一服
しかし、12月に入ると少し変化の兆しがありました。クリスマス休暇を控えた12月19日‐22日の週には海外投資家が11月第4週以来、久々に売り越しに転じました(この週だけで約▲0.2兆円売り越しています)。一方、個人の売り越し基調がここにきて減速しました(約▲0.2兆円売り越しています)。
新たな買い主体として台頭したのは日本銀行です。この週は+0.2兆円、12月最終週も同じく+0.2兆円を買い越し、年末の株価を支える構図となりました。
問題はこの変調が年末の休暇要因によるものか、ラリーが一旦終息に向かっているものなのか、ということになります。
海外投資家に買い余力はあるのか?
新年相場における投資家動向を考えるうえで、まず海外投資家に買い余力があるか考えてみましょう。
アベノミクスが始まって以来の海外投資家の累計現物株買い越し額は2016年9月に底入れ、現在約14兆円まで回復してきました。しかし、2015年5月‐7月の時期にはこの金額が20兆円を超えていましたので、条件が整えばあと6兆円の買い越しがあっても不思議ではありません。
また、個人投資家は売り上がりを続けていましたので買い余力は十分です。
このように見ると需給面は決して悲観的な状況ではありません。
しかし、海外投資家は日本株を冷静に見ています。業績改善とコーポレートガバナンスの改善がスパイラル的に進むという期待が高まれば買ってきますが、そうした期待が後退すると容赦なく売ってきました。2016年秋冬の株価上昇は金融株を中心としたバリュー株が牽引した側面が強いと思います。売られすぎた銘柄が相当に水準訂正をしたと言え、ここからは彼らが日本株が買い進めるには、このところ熱の冷めたコーポレートガバナンスに関する前進が必要でしょう。2017年度に業績がしっかり改善し、しかも資本効率の着実な改善が期待できそうな企業が人気になると考えます。グロース株優位になるつながるのか、物色動向に注目です。
LIMO編集部