国税庁の「令和元年分(2019年) 民間給与実態統計調査」によると、年収600~700万円以下の人は339万7000人で、全体(5255万1000人)の6.5%。男女別で見れば男性が273万6000人で9.0%、女性が66万人で3.0%です。
業種別に見ると、平均給与が最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で800万円超の方が 50.4%、次が「金融業、保険業」で800万円超の方が25.9%。こちらの統計は最新ですが、コロナ禍においてはこの傾向に変化が見られる可能性もあるでしょう。
一人であっても、二人以上の世帯であってもゆとりがあるイメージの年収600万円。今回は年収600万の二人位以上世帯とおひとりさまに視点を当てて、その貯蓄と負債額をながめていきます。
【年収600万円】二人以上・勤労者世帯のお財布事情は?
まずは総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、年収600万円台の二人以上・勤労者世帯の貯蓄・負債額をみていきましょう。
【年収600万~650万円】のお財布事情
平均貯蓄額:1209万円
〈貯蓄の内訳〉
- 通貨性預貯金:412万円
- 定期性預貯金:376万円
- 生命保険など:263万円
- 有価証券:126万円
- 金融機関外:32万円
平均負債額・・・930万円
うち「住宅・土地のための負債」・・・874万円
貯蓄額は1209万円と1000万円を超えています。貯蓄額で見れば、やはり余裕がある印象を受けますよね。一方の負債額は930万円。その多くを住宅や土地で占めるため、負債のほとんどは住宅ローンだとわかります。
貯蓄から負債を引いた額を「純貯蓄額」といいます。年収600万円前半の純貯蓄額は以下の通り。
1209万円-930万円=279万円
純貯蓄となると、年収の約半分になります。では、家族構成もみてみましょう。
家族構成
- 世帯主の平均年齢・・・48.3歳
- 世帯人数の平均・・・3.29人
・うち18歳未満の世帯人員・・・0.97人
- 世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・54.8%
世帯主の平均年齢が40代後半の3人家族。そのうち18歳未満の方が約1人です。両親が40代後半となると、子どもは10代だと考えられます。また、半分以上が共働きのため、世帯年収で600万円の方が多いようですね。
貯蓄が約1200万円というと余裕があるように思えますが、10代の子にはこれから塾代や大学費用などがかかる可能性もあります。
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」によると、高校入学から大学卒業までの入在学費用の合計は約965万円。これから約1000万円近くかかり、他に老後資金も準備する必要があるとなると、年収600万円世帯でも余裕であるとは言い切れないケースもあると分かりました。