増えすぎてしまったプラごみの削減に向けて

なぜ、これほどまでにプラスチックが使われてきたのか、それは、便利で豊かな生活を求める人類の飽くなき欲望と、化学研究や化学工業の進歩による化学物質の豊富な供給が結びついた結果だと言えます。

現在利用されている多種類の合成樹脂や高分子化化合物は、そのほとんどが1930年代に発見されています。ちなみに、レジ袋のポリエチレンは、1933年にイギリスのICI社によって発明されたものです。それ以後、人類はひたすら便利なプラ物質を作り、使うことだけを考えてきたと言っても過言ではないでしょう。

一方、ポリエチレンなどは夢のような化学物質ともてはやされ、世界中で広く使われてきたものの、そのあまりにも多い使用量によって、地球に害をなす「ごみ物質」に変貌してしまったのも事実。

こうした”夢の化学物質”が、その後、人類、動物、地球に害を及ぼすとして消え去った例は過去にも数多くあります。この点は機会があれば別の稿で述べたいと思います。

では、増えすぎてしまったプラをどう削減するのか。大きな課題を人類は背負ってしまったと言えます。プラに頼らない社会を創るには、我々消費者の意識改革はもちろんのこと、メーカーや政治、行政を含めた総力戦の取り組みが必要です。

外食産業ではプラの食器から紙や木製などに切り替える動きも出始めていますが、たとえばペットボトル飲料もメーカー側が紙パックやアルミ缶への切り替えを進め、消費者側もそれを選ぶ意識が必要になるでしょう。

マイバッグがこれだけ浸透したのですから、マイボトルへの転換を誘導する仕掛けづくりも有効と思われます。50年以上前の量り売りには戻れないにしても、スーパーやコンビニなどでボトルに注ぐ形での販売はできないものでしょうか。

プラごみによる環境汚染は、化学の進歩による災害「化学災」と呼べるかもしれません。今後、使い捨てプラの過剰な使用を抑制し、二酸化炭素の排出量や海洋プラごみを削減することが環境保全には不可欠です。

レジ袋有料化は、生活のなかで「使う必要がないプラ」を減らすという意識改革につながっているようです。何気ない買い物ひとつが地球環境にどのような影響を与えるか、考え直さなければいけないことは多いでしょう。

参考資料

和田 眞