公的年金は老後生活を支える重要な収入源です。

厚生労働省が公表する「令和元年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は436万円。そのうち賞与が70万円となっているため、平均月収はおよそ30万円となります。

また金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」によると、「老後のひと月あたりの最低生活費」は、60代で28万円、70代以上で31万円です。「およそ月30万円」というのがシニア世代の実感といったところでしょうか。

こうしたデータを踏まえると、老後は「約30万円」程度の年金を受取りたい、と考える方が多いかもしれませんね。

そこで、本日は約20年ファイナンシャルアドバイザーとして個人向け相談をしている私から、今回は厚生年金の受給額が「月額30万円超」の方がどのくらいいるのか、皆さんと一緒にみていきたいと思います。

厚生年金は「月額平均14万4000円」

まず、厚生年金の全体平均の受給額から見ていきます。厚生労働省年金局が2020年12月に公表した「令和元年(2019年)度厚生年金・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額の月額は下記の通りです。

厚生年金保険(第1号)平均年金月額 

  • 14万4268円(うち男性16万4770円、女性10万3159円)

※厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は老齢基礎年金月額を含みます。

厚生年金の受給額は男性のほうが約6万円多く、男女差が大きくなっているのが見て取れます。

厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。

ですので、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけ勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく影響し、結婚や出産、育児などで家庭に入る可能性の高い女性の受給額が低くなっていると考えられるでしょう。