2021年8月3日に行われた、花王株式会社 2021年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:花王株式会社 代表取締役 社長執行役員 長谷部佳宏 氏
花王株式会社 執行役員 会計財務部門統括 山内憲一 氏

国内コンシューマープロダクツ市場の状況

山内憲一氏:会計財務を担当しております山内でございます。私から第2四半期決算のご報告をさせていただきます。

いつものとおり、市場の状況です。スライド左下に数字が並んでいるのはトイレタリーの市場伸長率です。トイレタリー製品計で第1四半期は94パーセント、第2四半期は98パーセントで、上期平均は96パーセントとなっています。

第1四半期は新型コロナウイルスによる特需の反動があって、市場が冷えている状況でした。第2四半期はよくなるかと思ったのですが、相変わらず近い状況だったため98パーセントと、100パーセントには届きませんでした。平均して96パーセントということで、「今一つ」という市場の状況でした。

スライド右の化粧品はもう少し悪くて、第1四半期は85パーセントでした。去年の第1四半期は新型コロナウイルスの影響がなかったためです。

第2四半期は106パーセントと改善しています。スライド右上のグラフをご覧いただくとわかるとおり、4月は115パーセントとよかったのですが、だんだんと落ちてきて結局98パーセントとなっています。

今また外出自粛という状態になっており、第2四半期平均では106パーセントですが、なかなか厳しい状況です。上期を平均すると95パーセントで、相変わらず厳しい状況が続いています。

アジア・欧米主要参入市場の状況(主要カテゴリー)

先ほどは国内市場の状況でしたが、このスライドの上段はアジアの状況になります。中国は相変わらずよく、市場が拡大しています。

中央のインドネシアも昨年第2四半期が悪かったためよく出ていますが、今の状況は少し悪くなっており、この先は少し厳しいのではないかと考えています。

タイは昨年が非常に悪かったため、この第2四半期は少しよくなったように見えますが、相変わらず低調です。ASEAN総じて第3四半期、第4四半期は厳しい状況かと見ています。

一方、スライド下段のアメリカ、ヨーロッパです。アメリカは「なんだかんだ言って強い」ということで、市場が拡大しています。イギリスは昨年ロックダウン等があったため第2四半期はかなり悪かったのですが、今年の第2四半期は復活して伸びてきています。

ドイツも同じような状況で、今年の第2四半期は復活してきています。欧米は総じて堅調に推移していると言えると思います。

連結決算のハイライト

連結決算のハイライトです。半期の売上高は6,752億円で、為替の影響が少しあるためプラス1.2パーセントとなっていますが、為替の影響を除く実質ベースではマイナス0.6パーセントです。

営業利益は706億円で、対前年マイナス39億円です。ただし、後ほどご覧いただきますが、第2四半期だけを見るとだいぶ改善してきており、それほど悪い決算ではないと思います。

当期利益は、円安の影響で為替差損益がプラスに出たほか、税金で一部プラスが出たため、当期利益は535億円となりました。親会社帰属の当期利益は525億円となっています。このような状況の中、配当も予定どおり72円と、2円増配します。

販売実績(2021年1-6月)

スライドは、1月から6月のセグメントごとの売上を、エリア別のグラフで表したものです。下段は対前年の増減率になっています。1月から6月を一緒にしてしまうと少し見づらいため、次のページをご覧ください。

販売実績(四半期)

グラフ自体が細かくて申し訳ないのですが、第1四半期と第2四半期で分けたものです。スライド右側の、第2四半期の改善具合をご覧いただきたいと思います。

そうは言っても、第2四半期のハイジーン&リビングケアの国内は、まだマイナス0.6パーセントです。昨年はホームケア品や生理用品などの、なにもしなくても出ていく商品があったため、衣料用洗剤などは非常に好調ですが、まだ少し足りないというところです。

隣の棒グラフ、アジアの部分は「メリーズ」ですが、中国で相変わらず弱いということです。「メリーズ」は価格の対応は止めてこれ以上は下げず、数量が下がっても仕方がないということで、ブランド価値の維持を図っています。

6月くらいから前年をだいぶ上回る数字が出てきており、第3四半期には新しい商品が出るため、そこで挽回してもらえるのではないかと考えています。

その隣のヘルス&ビューティケアですが、ここも国内はマイナス7.4パーセントです。ハンドソープや消毒液など、みなさまも去年買ったものを今使っているところではないかと思いますが、家庭内にも、店頭にも、花王の中でもだぶついている状況です。

ハンドソープや消毒液の関係がなかなか正常化しないためマイナスになっていますが、第4四半期くらいまでには完全に正常化してくると見ています。徐々に上向きになってくるのではないかと考えています。

アジアは、昨年は衛生関連は手がけていないため、今年から上がってきて、乗ってきています。

欧米はビューティケアのほうでサロンの数字がよくなっています。昨年が悪かったこともあるのですが、大きく乗ってきており、アメリカ、ヨーロッパは大きく改善した数字になっています。第3四半期以降も継続できるのではないかと見ています。

ライフケアは、上段のグラフの数字が小さいため率が大きく出ていますが、これはアメリカのクリーニング会社Washing Systemsの買収によって顧客を1つ獲得したということで、ポンと乗るかたちになっています。

化粧品は第2四半期でだいぶ復活しており、日本でプラス7.1パーセント、アジアもプラス30.2パーセントで、中国だけ見ると35パーセントくらい伸ばしています。非常に順調に推移していると言えます。

ヨーロッパも「SENSAI」「MOLTON BROWN」が非常に堅調に推移しており、大きく伸ばしています。化粧品に関しては第2四半期はだいぶよい方向に出てきているのではないかと思います。

ケミカルも、第1四半期はアメリカがまだマイナスだったのですが、これは寒波の影響による顧客の操業停止などがあったためです。そのようなこともなくなって、4月から6月は全エリアで対前年プラスで推移しています。

1月から3月が全体的にあまりよくなかったため、まだ完全には戻せていませんが、第2四半期だけを見ると、かなりよくなっているのではないかと思います。

セグメントの業績(四半期)

スライド上段はセグメントごとの売上のグラフです。第1四半期は対前年実質増減率のマイナスを表すオレンジの棒グラフの伸びが大きいですが、第2四半期はプラスを表す青の棒グラフにだいぶ変わってきています。化粧品も第2四半期だけを見ると13.9パーセントと、第1四半期の落としを完璧には戻していませんが、だいぶ戻してきています。

スライド下段には、第1四半期と第2四半期のセグメントごとの営業利益を記載してあります。ご覧のとおり、化粧品は第2四半期には対前年で76億円改善していますが、第1四半期と第2四半期を足すとマイナス5億円でまだ赤字の状態です。

ただし、第3四半期、第4四半期は同様に改善していき、最終的には化粧品の営業利益は100億円から150億円くらいは出てくると見ています。順調に進捗しているのではないかと考えています。

ご覧のとおり、ハイジーン&リビングケアは第1四半期と同じくらいの対前年マイナスとなっています。昨年はなにもしなくても売れたものが、競合もあり、ある程度対応していかなくてはいけないということです。お金を掛けながらの売上がこのくらいということで、対前年でもマイナスが続いています。今後、なるべくこれ以上は大きくならないように努めていきたいと思っています。

ケミカルは堅調に推移しています。ヘルス&ビューティケアは少しよくなってきていますが、これからさらによくなってくれるのではないかと期待しています。

セグメントの業績(2021年1-6月)

先ほどのスライドの第1四半期と第2四半期を足した数字が、このスライドのグラフになっています。対前年の改善率としては、化粧品とケミカルでどうにか盛り返してくれたということで、第3四半期以降もさらに盛り返していけると考えています。

連結営業利益増減分析

営業利益の分析です。実質の売上がまだ前年に追いついてない影響が100億円くらいあります。

その下の原材料価格の影響については「相当痛んでいるだろうな」と思われているかもしれません。しかし、上期に関してはまだケミカルが値上げで対応してくれているため、ネットでは「0」ということです。

原油の値上がりの影響がとうとう出てきて、値上げの申請がどんどん出てきているため、下期はネットでマイナス80億円くらいを見込んでいます。第1四半期の決算発表の時には「年間でマイナス50億円くらいか」と言っていたのですが、今はマイナス80億円くらいを見込んでいます。

販管費の増減でプラスということですが、コスト削減等を進めています。加えて為替や構成等があり、この営業利益になっています。

2021年12月期連結業績の見通し

年間の見通しですが、売上は変えていないものの、為替によるプラスが少し増えているため、実質は少し減っています。どうにかコスト削減でカバーしていかなくてはいけないということになります。

今お伝えしたとおり、原材料価格の影響がネットでマイナス80億円出てくるため、それを考慮して、固定費を削減する手立てを打っています。ある程度目途はつけていますが、進めていかなくてはいけないところもまだまだあります。

TCRも年初はプラス60億円と見ていたのですが、上積みしてプラス80億円としています。コストダウン等を進めていきますが、それだけではなくいろいろな施策を用意しています。そのようなことも含めて、この売上利益をどうにか達成していきたいと考えています。

設備投資は、新型コロナウイルスによって少し遅れ気味のところがあるのですが、今のところは年初の計画を変えずに900億円としています。

2021年12月期連結業績予想

業績予想は変えていないため、年初に公表したものとまったく同じです。

2021年12月期連結売上高予想

売上の構成はケミカルの比重が少し大きくなっています。中身は少し変えていますが、トータルは変えないということです。

売上高の進捗計画と今後の主な取り組み

今後の見通しです。言い訳になってしまうため、あまり言っても仕方ないのですが、このような新型コロナウイルスの状況により、若干遅れてしまっているところがあります。そこはコスト削減等でカバーしていき、公表の数値は達成していきたいと思います。

この後、長谷部から下期の施策等についてご説明しますが、魅力的なものがけっこうありますので、そのようなことを含めて達成させていきたいと考えています。私からは以上です。ありがとうございました。

下期の計画

長谷部佳宏氏:社長の長谷部でございます。それでは私より事業方針と「K25」についてお話しさせていただきます。

上期の業績概要に関しては山内よりお話させていただきました。私は上期の打ち手がどうだったのかと、下期はどのように攻めていくのか、つまり「K25」に対しどのように進めていくのかということを、つなげてお話ししたいと思います。

スライドは、我々が市場をどのように考え、この下期の売上・営業利益を変えていくのかを示したものです。上期に関してはすでにご説明しました。下期の予想としては、市場に関してはハイジーン&リビングケア、ヘルス&ビューティケア、化粧品は昨年並みと見ています。

新型コロナウイルスの状況はありますが、人の流れが活発化しています。コロナ禍において、市場の状況は昨年とほぼ変わらずに進むと見ています。これを受けて、売上と営業利益をご覧いただくと、売上高をすべてにおいて上げようという目論見です。

特に、ハイジーン&リビングケア、ヘルス&ビューティケアに関しては、新製品の寄与で上げていくという思いです。さらに化粧品はDXの構成比が上がってきてるため、この寄与を見込んでいます。ケミカルは衛生用品向けの商品がまだまだ必要となるため、その中でのグローバルでの原料の寄与が大きいと見ています。

営業利益に関しては、我々は攻めに転じるため、中身に関してはステイのものと上げていくものが混在すると見ています。

世界の社会的課題を「集積力」で解決する会社に

これは統合レポートでも出しましたが、我々が世界の社会的課題を「集積力」で解決するという絵です。本日は決算発表のため、スライド左側の「Reborn Kao」を中心にお話ししたいと思います。

まずケミカル、ハイジーン&リビングケア、ヘルス&ビューティケアをまとめたトイレタリー、そして化粧品ということで、上期に行った打ち手と、下期の作戦についてお話ししたいと思います。

トイレタリー事業

まず、上期のトイレタリー事業です。スライドに記載のように、欧米のヘアサロン向けの製品が好転しました。特に高級ブランドの「Oribe」のEC等で、日本に上陸させた部分が非常に好転しています。

中国では「ロリエ」ブランドの強化を図っており順調です。しかし、日本においては残念ながら昨年の特需の反動が影響し、グローバルの売上は前年同期を下回っています。

計画に対しては若干下振れしているのが悔しいところです。しかし、その中にあっても、今までシェアをなかなか上げられなかったホームケア製品や手指消毒液のポイント数をグッと上げられました。コアブランドへの積極投資で、衣料用洗剤や入浴剤も非常に大きくジャンプアップさせています。特にこの部分はメリハリがある結果に表れていると思っています。

アジアに関しては、特にASEAN地区で感染が広がっています。ここが非常に心配なところですが、ここはまさに「衛生用品の出番だ」ということで、我々のホームケア製品、ファブリック、手指消毒液に関して「ここからが勝負だ」と思っています。

欧米に関しては、第2四半期以降は非常に経済が活況になってきています。先ほどお話ししたヘアサロン向けの「Oribe」を中心に、どんどん上げていきたいと思っています。我々の業務品と言われるライフケアの分野に入っていますが、ここも新しいお客さまを獲得できて伸びてきています。以上がトイレタリー事業の上期の成果だと思います。

トイレタリー事業 下期の取り組み

下期はどのように取り組むかですが、第1四半期、第2四半期はある意味では我々の計画の範疇でした。第3四半期、第4四半期は、花王はここが強いため攻勢に転じます。

まだ新型コロナウイルスの影響があり、「市場はどうか」という見方はありますが、我々はこの状況にあってこそ勝負に出ようと思っています。メリハリあるマーケティング投資をして、スライドに記載のような基幹ブランドのシェアをとにかく上げ、売上を上げていきます。

技術イノベーション商品については「マジックリン」「Essential」「メリーズ」で、長らく用意していた新商品を出すタイミングになりました。ここに関しては、躊躇することなくマーケティング投資をして、市場を取っていきたいと思っています。

さらにはD2Cへの積極的な乗り込みも後ほどご説明します。DXが非常に順調に進んでおり、ここもあらためて大きくしていきたいと考えています。

ブランドマネジメントの刷新(国内トイレタリー)

化粧品では「G11」「R8」を中心にブランドを統合し、強くするというメッセージを村上が出していると思います。少し遅れましたが、国内トイレタリーに関しても44ブランドを32ブランドに統廃合し、グローバルにおいても統廃合を進め、ブランドの売却も計画の最終段階に入っています。

今回は13のカテゴリーリーディングブランドと、4のライフデザインブランド、15のニッチセグメントブランドをとにかく強くするため、この32ブランドに集中投資していきます。

化粧品事業

化粧品事業は、残念ながらまだ新型コロナウイルスや緊急事態宣言などの影響を受けていますが、第2四半期の躍進には目を見張るものがあったと理解しています。

特にニューノーマルに対応した新しい提案や、中国での「フリープラス」「キュレル」は、私たちの想定以上の伸びを示しています。ロックダウンの緩和によって「MOLTON BROWN」「SENSAI」も顕著に上がってきました。今後の下期に向けて「前半よくここまで頑張ってくれた」と思っています。

スライド右側の表をご覧いただきたいのですが、ECの比率がどんどん上がっています。「G11」「R8」の前年比・構成比を見ると、「G11」は構成比をみごとに上げ、61パーセントから64パーセントとなっています。しかも前年比プラス9パーセントです。

「R8」の改善率には目覚ましいものがあると思っています。これは「G11」「R8」の順番で強くしていくという計画どおりに進んでいる表れでもあります。下期はこれをさらに強めたいと思っています。

化粧品事業 上期の取り組み

上期の打ち手は、大きく分けるとスライドに記載の3つでした。ニューノーマルに対応した化粧品としては、過酷なマスクの着用環境において、持続性かつビューティにこだわりました。マスクをしても落ちず、潤いのある口紅がキープできるもの、マスクに移らないものなどは、花王グループが総力をあげてきた技術が待っていたものです。

マスクが常態化した分、顔は非常にダメージを受けます。その中にあって、DEWのように「3分浸って心と肌を十分にケアし、満足していただく」という提案は、品切れが起こるほど人気でした。

プレステージブランドの育成としては「MOLTON BROWN」「SENSAI」「SUQQU」が活況だったと思います。

中国の「キュレル」「フリープラス」は、我々の想定以上にこれからも伸びゆくブランドだと確信を得ています。

化粧品事業 下期の取り組み

それでは下期の取り組みです。この打ち手に対して、下期も力をゆるめません。ニューノーマルを捉え、この厳しい環境が常態化するなかで、「DEW」「SOFINA iP」「Curel」「KATE」で新しい提案を次から次へと行います。

プレステージブランドの育成も力をゆるめません。「KANEBO」「SUQQU」「RMK」は利益率を上げて、お客様が「これでなければいけない」と思えるパーパス・ドリブンの力強いブランドに成長させていきます。

中国は引き続き「キュレル」「フリープラス」に加え、海南島の免税店はようやく1号店が出てきました。下期にはこれをどんどん拡大する計画が持っています。ここでさらに一気に押し上げたいと思っています。

DXの取り組み

DXの取り組みについてあらためてお話ししたいと思います。これは「Another Kao」にもつながる非常に重要なものです。今、ECプラットフォーマーとのビジネスを拡大しています。最小限のマーケティング費で、最大限の効果が出ているということが如実に表れてきました。

ビッグセールなどによって、飲料や化粧品、トイレタリー製品で、今までできなかったような「倍々ゲーム」のすごく大きな取り組みができています。

さらには自社のECのスタートです。「est」と「SENSAI」からスタートしており、非常に好調です。これはロイヤル顧客を作って、絆を深め、我々との関係性をどんどん強化していくという取り組みです。化粧品からスタートしていますが、他のブランドにも波及させ強くしていきたいと思っています。

今回デジタル投資をして、デジタルコミュニケーションの施設も立ち上げました。社員自らが自分たちのブランドをどんどんアピールし、お客さまとの対話の中で双方向のコミュニケーションを深めるということを、大きく広げています。これは想定を上回る成果が表れてきています。

ケミカル事業

ケミカル事業です。言うまでもなくビューティ市場が少し難しい局面にある中で、産業需要がどんどん強くなっています。ケミカル事業では、我々の分野がそれに呼応して成長しています。

売上、営業利益、営業利益率もどんどん上がっていきます。営業利益率11.1パーセントは、ケミカル業界において非常に目指すべきところでした。これを上げていきたいと思っています。

自動車産業、農業、エレクトロニクス、建築の分野は順調に上げていけます。米州、欧州では印刷事業が中心になっているのですが、ここもシェアを上げていくことで、我々の土壌を強くしていきたいと思っています。

花王の企業姿勢

今お話しした上期の取り組みと下期の狙いは、まさしく私が「K25」でお話しした「Sustainability as the only path」「最小の投資で最大の効果を出す」というすべての表れのかたまりだと捉えています。

私の想定以上に従業員が一致団結して、自分たちの取り組みを見直して、最大限のアウトプットを目指しています。今、内部の改革と同時に、事業に対するアウトプットという約束も果たそうとしていると考えています。

成長に限界はあっても、発展に限界はない

統合レポートに記載した2つの大事なポイントをお話ししたいと思います。これまでは、原料を調達して、生産して、使用していただいて廃棄するという、いわゆる「量と数の線形型経済」でした。

これに対し、花王がケミカル事業とコンシューマーコンシューマープロダクツ事業を持つ「二刀流」だからこそできる、循環型の経済に持っていきたいと考えています。この循環型の経済には、自分たちだけでなく他のパートナーや競合も巻き込み、いわゆるウェイストをなくしていきます。

どんどん回っていって、無駄なものをなくす経済に持っていくというのが、花王のやり方であると思っています。

豊かな生活のため、すこやかな毎日を守る

もう1つ大事なポイントです。我々はトイレタリーのメーカーです。スライドに記載のように、「Life Journey」と言われる日々の生活の中でみなさまに製品をご提供して、社会貢献をしている会社です。

スライドに示す数字をご覧ください。日本の医療費は今でもどんどん上がっています。要介護者も増えている長寿社会の中で、働く人たちがどんどん頑張って働かなければならない生活になっています。

その中身としては、日本の人口は減っていきますが、世帯数はステイです。病気と暮らす、病気と対面する時代がまさに今来ています。生活者だけではなく、病気と向き合って暮らす人たちにも、手を差し伸べるときが来ています。

いわゆる「Patient Journey」と言われるライフケアにまで手をかけ、ライフケアを担っている責任として、病気にまつわる人たちもできるだけ最小化するための一手をどんどん打っていきたいと思っています。

我々が今デジタルにシフトしているその先には、このライフケアで、困っている人たちをすべて取り込んで守るということを狙っているわけです。

最後のスライドです。今日お話しした「集積力」ですが、我々が一丸となって、しなければならないことをメリハリを持ってどんどん進めていくというのは、大きなプラットフォームを持っている花王だからこそできることで、その責任があると思っています。

今日お話ししたケミカル事業のサステナブル産業への貢献、トイレタリーでのメリハリある事業の推進、そして化粧品ではなにをおいてもDXとUXです。これを一丸となって、ECプラットフォーマーと、自社のECと、デジタルPRを含めて大きくしていくというのが、「Reborn Kao」のあるべき姿です。

ただし、我々は「Reborn Kao」だけを進めているわけではありません。この一つひとつの打ち手は、スライド右側の「Another Kao」につながっています。

廃棄物を道路に変えたり、廃棄の容器を再利用するための道筋を他社と組んで作ったりすることは、我々がケミカルを手がけ広いプラットフォームを持っているがゆえに、進めなければならないポイントだと思っています。

この次の決算には、ぜひともこの「Another Kao」の部分の打ち手についてもお話しできる機会があればと思っています。

厳しい状況も予想される下期ですが、花王グループは全社一丸となって、この困難をプラスに変えて、打ち手を持っていきたいと思います。そして、中期経営計画「K25」で宣言した「強くなる花王」のための抜本改革も同時に進めていきます。

変らぬご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。以上で私の説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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