繰上げ返済のデメリット

次に繰上げ返済のデメリットをみていきましょう。

■デメリット1.手元の資金が減る

当然ながら、繰上げ返済にはまとまった資金が必要です。無理をして繰上げ返済に充ててしまうと、手元の資金が減ってしまい、生活に支障をきたす恐れがあります。その結果、別のローンを組んでしまうという本末転倒な事態が起こるかもしれません。

住宅ローンの金利は超低金利と言われる状況が長く続いています。これほど安く借りられるローンは他にないという状況です。そのため、急いで返済するよりは、手元にある程度の資金を残しておいた方がいざという時に安心です。

■デメリット2.手数料がかかる

繰上げ返済には基本手数料がかかります。手数料は金融機関によってまちまちですが、変動金利と固定金利、一部繰上げ返済と全部繰上げ返済などによっても手数料が異なります。また、インターネットで手続きする場合は無料となる場合もあります。回数が多くなればそれだけ手数料もかかるので、繰上げ返済をするなら計画的に行いましょう。

■デメリット3.住宅ローン控除が減る・受けられなくなる

繰上げ返済をする場合、返済額(借入残高)が大きいほど効果があるため、早めにした方が利息軽減効果が高くなります。一方、住宅ローン控除は原則入居した年以降の10年間適用を受けられます。借入期間が10年以上の住宅ローンを利用した場合に、年末の借入残高×1%(上限40万円)が所得税(控除しきれない場合は住民税)から控除されます。つまり残高が多いほど控除額が多くなるので、繰上げ返済をすると控除額が減ることになります。

そこで繰上げ返済による利息が減る分と、住宅ローン控除で税金が減る分を比較すればいいわけです。この基準となるのが住宅ローン控除の控除率1%です。住宅ローンの借入金利が1%以上であれば、繰上げ返済の効果の方が高くなり、1%未満であれば、住宅ローン控除を受けた方が得といえます。実際は繰上げ返済の手数料や借入額、所得によっても変わってきますので、このとおりではありませんが、判断する際のひとつの目安となるでしょう。

また、繰上げ返済をして借入期間が10年未満となってしまうとそれ以降の住宅ローン控除が受けられなくなってしまうのでこの点も気を付けましょう。