「年収600万円台世帯」が抱えがちな「お金の不安」

ここまでは、年収600万円台世帯の貯蓄と負債事情についてみてきました。ここから先は、この年収ゾーンの世帯に起こりがちな「お金の悩み」についても見ていきます。

たとえば、「年収600万円台で、貯蓄が1000万円ちょっとある」などと聞くと、それなりにゆとりある暮らしを送れそうな気もしますね。しかし、そんなイメージとは裏腹に、これからの生活に不安を感じている世帯も珍しくないようです。

その主な原因として挙げられるのが、「子どもの教育費」です。先ほどの総務省の家計調査報告では、年収600万円~650万円・年収650万円~700万円の世帯いずれも、世帯主の平均年齢は48.3歳となっています。そして、家族の中に、18歳未満の人が1名ほどいるという結果も。

つまり、これから大学などへの進学費用を用意する必要がある世帯が多い、ということが考えられますね。

医歯薬学系学部や自宅外通学を選んだ場合などには、子ども一人に1000万円以上の出費が発生する可能性は大いにあり得ます。たとえ1000万円の貯蓄があったとしても、教育費のことを考えると安心できない、と感じる世帯も多いでしょう。

さらに、40代終盤ともなると、自分自身の老後についても少しづつ考え始める必要がありそうですね。

2019年に金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」では、夫婦が老後30年を過ごすための最低限の生活費として、年金収入以外に2000万円が必要であると示されています。

子どもたちの大学費用を捻出できたとしても、老後資金としての貯蓄は「別枠で」用意しておく必要がある、ということです。

定年退職金や相続財産といった「大型収入」があるかどうかは世帯によってそれぞれですが、老後の準備が全く必要がない、という世帯は少ないでしょう。