LGディスプレー、利益率4年ぶり2桁に。テレビ用有機ELが好調

米国で発売したローラブル有機ELテレビ(電子デバイス産業新聞)

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 FPD(Flat Panel Display)大手である韓国のLGディスプレー(LGD)が発表した2021年4~6月期の業績は、売上高が前年同期比31%増の6.97兆ウォン、営業利益が7010億ウォン(前年同期は5170億ウォンの赤字)となった。営業利益率は10.1%に上昇し、17年4~6月期以来4年ぶりに2桁に乗せた。

テレビ用有機ELは上期350万台出荷

 21年4~6月期の生産可能面積は、生産を継続している坡州7.5G(第7.5世代=マザーガラスのサイズが1950×2200mm)液晶工場「P7」の投入増などで前四半期比4%増の1160万㎡に増加し、出荷面積も同5%増の890万㎡に増えた。㎡あたり平均売価(ASP)は前四半期の736ドルから703ドルへ下落したが、在庫は前四半期末から13%も減少し、旺盛な需要をうかがわせた。設備投資額は9160億ウォンだった。

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 製品別の用途別売上構成比は、テレビが38%(前四半期は31%)、ITが39%(同40%)、モバイルその他が23%(同29%)だった。テレビ用有機ELディスプレーの販売台数は上期トータルで350万台(21年1~3月期実績は160万台)となった。すでに20年通年実績の約8割に達し、1000ドル以上のプレミアムテレビ市場でシェアを拡大した。加えて、スマートフォン用の中小型フレキシブル有機ELディスプレーも堅調だった。

7~9月期も有機ELの好調継続

 需要期にあたる21年7~9月期も堅調を見込む。全セグメントで需要が伸びるとみており、中小型有機ELディスプレーではアップルiPhoneの新モデル向けなどに出荷が増える見通し。テレビ用有機ELディスプレーは200万台弱の出荷を想定しており、21年下期に利益が出る体制に転換し、22年に1桁%台半ば以上、長期的には2桁以上の利益を達成する考え。

 また、グループ会社のLGエレクトロニクスは7月に米国で65インチのローラブル有機ELテレビ「LG SIGNATURE OLED R」の販売を開始した。価格は10万ドル。LG.comを通じて受注販売している。

中国でテレビ用の生産能力拡大へ

 LGDは、19年に不振だった液晶の生産能力を削減し、有機ELへ事業リソースを集中するため、坡州P7工場での液晶生産を終了する予定だったが、コロナ禍の巣ごもり需要などで20年半ばから液晶の需要が急増したことを受け、P7の稼働を現在も継続している。P7工場ではIT用パネルを生産しており、休止時期については明示しなかった。四半期ごとにばらつきはあるが、テレビ用液晶の売上構成比は15%程度。テレビ用液晶では30~43インチの需要が弱まっており、今後は急速に価格が下落していくことを想定しつつ事業を展開していく方針だ。

 21年の設備投資額は3兆ウォン前後を計画している(20年実績は2.3兆ウォン)。テレビ用有機ELディスプレーは、中国広州8.5G(マザーガラスのサイズが2200×2500mm)工場に月産能力3万枚を追加して9万枚体制へ引き上げる。これで22年には1000万台を出荷できる体制を整え、生産効率アップの取り組みを加えて1100万台を出荷できるようにする。

 また、収益が改善したフレキシブル有機ELディスプレーの増強投資も検討中で、これでノートPCやモニターといったIT用の需要にも対応していく考えを示した。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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執筆者
津村 明宏
  • 津村 明宏
  • 株式会社産業タイムズ社 電子デバイス産業新聞 編集長

1995年3月に関西大学経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長。