遺族年金Q&A「こんなとき、どうなる?」
ここからは、遺族年金について疑問に思うことを、Q&A形式でお答えします。
Q1「事実婚でも、遺族年金はもらえますか?」
A1 以下の要件を備えていれば、事実婚でももらえます。
国民年金法では、「生計維持関係等の認定基準及び認定の取り扱い」において、以下の要件に当てはまる場合は事実婚も認めています。
【事実婚関係】
(1) 認定の要件
事実婚関係にある者とは、いわゆる内縁関係にある者をいうのであり、内縁関係とは、婚姻の届出を欠くが、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要するものであること。
① 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
② 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。
出典:生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕
簡単にいえば、社会通念上、夫婦関係にあると認められていれば、法律婚(婚姻の届出によって、戸籍上夫婦になる)と同じ扱いを受けることができます。
ただし、反倫理的な内縁関係(近親婚の制限や直系姻族間の婚姻禁止、養親子関係者間の婚姻禁止の規定のいずれかに違反する内縁関係)である場合は、事実婚関係にある者とは認められません。
Q2「遺族年金を受給していますが、再婚をすると遺族年金は打ち切られますか?」
A2 再婚(結婚)をすると受給権を失います。
遺族年金を受けている人が受給権を失う(失権事由)主なケースは次の3つです。
- 亡くなったとき
- 結婚をした(内縁関係を含む)とき
- 直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき
遺族年金を受給している妻(夫)が再婚をすると、亡くなった配偶者とは親族関係ではなくなるため、遺族年金を受ける権利がなくなります。
しかし、そのことによって、子どもに受給権が移行する場合があります。子どもが受給できるケースは、遺族基礎年金は再婚した親と生計を別にしている(祖父母が子どもを預かるなど)場合です。遺族厚生年金は、再婚した親と一緒に暮らしていても受給することができます。
遺族年金の受給者が再婚をした場合、「遺族年金失権届」を提出しなければなりません。遺族基礎年金については14日以内に、遺族厚生年金は10日以内に提出する必要があります。手続きをせずに受給を続けていると、不正受給と見なされ、返金さらには罰則を受けることがあるので注意しましょう。