「コーヒーなんて、家で水筒に入れて持ってくればいいじゃない」

それから話はいつの間にやらママ友の「節約自慢」へ…。

「なんでも彼女は、家族3人で食費が月に2万円だと言うのです。思わず『すごいね! 私なんてその倍以上かかってるよ』と言うと、『え? 旦那さんが稼いできてくれたお金をそんな無駄遣いして、申し訳ないと思わないの?』と言われたんです」

思いがけない一言に返す言葉も見つからないHさんにお構いなく、話を続けるママ友。でも、正直なところ、全く参考にならなかった…とHさんは話します。

「だって、まず、お米は実家から送られてくるからタダ。スーパーで購入するのは見切り品メイン、子供のおやつは基本的におむすびか野菜スティック…。そんな生活憧れないし、うらやましいとも思いませんでした」

最終的にHさんは「我が家は我が家のやり方があるから」と言い放ったため、そのママ友とは気まずい状態に。でも、「後悔はしていません」とHさんは晴れ晴れした表情で話します。

「お互いの家計の事情も違うし、お金の価値観だって違う。私は家族に新鮮な食材を使った料理を食べさせてあげたいし、子供のおやつだって、『お楽しみ』になるようなものをあげたい。自分の金銭感覚を他人に押し付けるなんて、ナンセンスな話です」

おわりに

今回のAさんとHさん、ふたりのエピソードを聞くと、「食費の逆マウント」がなぜ忌み嫌われるのかが、よくわかった気がします。

確かに食費は家計の中でも節約しやすいものですが、収入や支出は家庭によって違うもの。節約上手は確かに素晴らしい才能ではありますが、それを「求めていない」人にまで押し付けるのはナンセンス以外の何物でもないのです。

大中 千景