ベネッセHD第67期株主総会、2022年度までの2年間で、コロナ影響からのV字回復、営業利益260億円を目指す

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2021年6月26日に行なわれた、株式会社ベネッセホールディングス第67期定時株主総会の社長プレゼンテーションの内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ベネッセホールディングス 代表取締役社長COO 小林仁 氏

2020年度の総括

小林仁氏:代表取締役社長COOの小林でございます。それでは私から、ベネッセグループの今後の戦略についてご説明させていただきます。

最初に、昨年度2020年度の総括からご説明します。冒頭の事業報告ビデオでもご報告しましたが、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、残念ながら4期ぶりの減収減益という結果でした。

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一方で、予算・計画値に対しては、スライドに記載のとおり、売上高で0.4パーセントの増収、営業利益で40.7パーセントの増益と、着実に回復の道筋が見えてきています。

2020年度総括:各事業の状況①

この状況について、事業ごとの状況をご説明します。スライドの表は、縦軸に各事業、横軸に上半期・下半期はどのような状況であったかをお示ししたものです。

「進研ゼミ」事業については、新型コロナウイルスの影響はほとんどなく、教材の活用が順調に進み、結果として高い継続率を維持することができた1年でした。

学校事業については、昨年度前半の全国一斉休校の影響で、前半の「進研模試」をはじめとするアセスメントが学校で実施できませんでした。そのマイナスはありましたが、年度後半からは回復することができています。

学習塾事業については、同じく学校一斉休校の期間に、教室を休校する対応を取りました。その結果、その休校期間の売上減の影響が昨年度前半にありました。ただし、年度後半にかけては、順調に回復することができています。

2020年度総括:各事業の状況②

国内の「こどもちゃれんじ」の講座事業は、「進研ゼミ」同様に年間を通して順調に進捗しました。中国の講座事業は、年度前半の中国における新型コロナウイルス感染拡大によって、営業活動の一部を自粛した期間がありました。年度後半にかけては、中国においても徐々に回復してきています。一方で、国内、中国ともにコンサート事業を自粛した影響があり、業績的にはマイナスになっています。

介護事業については、緊急事態宣言発出による新規のご入居への影響が年間を通して大きくありました。結果として、入居率のマイナスが業績に影響を与える1年となりました。

「ベルリッツ」については、世界各国での新型コロナウイルス感染拡大による教室閉鎖などが、年度前半の業績に大きく影響しています。年度後半にかけて緩やかに回復してきてはいますが、やはり世界的な新型コロナウイルス感染拡大が業績に与える影響が非常に大きかったと言える1年でした。

業績ハイライト(2021年度通期見通し)

2021年度の計画・見通しについて、事業ごとの戦略と併せてご報告します。今年度の計画・見通し数値ですが、スライドに記載のとおり、売上高4,410億円、対前年3.2パーセント増、営業利益175億円、対前年33.7パーセント増という計画を組んでいます。

新型コロナウイルス影響については、事業ごとに影響の度合いは違っていますが、「今年、来年と2年をかけて、必ずV字回復をしていく」という目標の1年目となります。着実な回復を目指す年にしていきたいと考えています。

【国内教育】「進研ゼミ」の成長戦略

事業別に戦略をご説明したいと思います。最初に「進研ゼミ」の今後の成長戦略です。「進研ゼミ」は、スライドに記載のとおり、3つの戦略でさらなる事業成長を図っていきたいと考えています。

スライド左側の「オーガニック」は、今の事業という意味です。オーガニックの成長、すなわち今の事業の成長については、デジタル講座会員の残存率・継続率の向上に向けて、デジタル教材をさらに深め、そこに人のサービスを加えることで、しっかりと満足度を高めていきます。

営業についても、DM中心の販売から、デジタルメディアを介したお客さまとの接点をより多くするという戦略をもって、格段に効率性を上げることを図っていきます。

スライド右側の「インオーガニック」は、今の事業の周辺の事業とご理解いただければと思います。インオーガニックの成長として、実は「進研ゼミ」は、デジタル講座を受講いただく際にタブレットをお配りしています。すでに全国で300万台以上のタブレットをお配りしました。

このタブレットを事業の基盤として、「進研ゼミ」の学び以外の新しい学びをさまざまな子どもたちに届けることでも、成長していこうと考えています。

【国内教育】「進研ゼミ」の更なるDXの進化

「進研ゼミ」のさらなるDXの進化については、先ほど少しお話ししましたが、私どもはデジタルにおいても、ただデジタルを活用するというのではなく、必ずそこに「人のあたたかみ」や「人の指導」が感じられるサービスを作っていこうと考えながら進めています。

2021年度4月の、タブレット講座を選択した小学生・中学生の会員の割合は、約70パーセントでした。1年前よりも10パーセントくらい増えています。

そのような中、商品・サービスのデジタル化において強化していくポイントとして、先ほどもお話ししましたが、デジタル教材に人の指導を加えていくこと、その上で一人ひとりに合った学びの提供と、学習に向かうモチベーション支援を行っていくことを徹底して進めたいと考えています。

【国内教育】学習塾・英語教室事業:早期のV字回復

学習塾・英語教室事業です。昨年度は新型コロナウイルスの影響を大きく受けましたが、感染対策強化や在宅でのオンライン事業の開発を準備した年でもありました。たとえ新型コロナウイルス感染が拡大した状態であっても、学びを継続できる準備をしっかりと進めてきた1年でした。

そのようなことが功を奏し、今年の4月の生徒数は、新型コロナウイルス影響前の生徒数を超えるかたちでスタートできています。この事業においては、V字回復を1年前倒しで今年中に実現することができると考えています。

【国内教育】学校向け教育事業

学校向け教育事業です。新型コロナウイルスによって、学校においてもデジタルを使用した学びが想定以上のスピードで進んでいます。

小学校・中学校においては、国の進めるGIGAスクール構想に向けて、すでに97パーセントの学校で子どもたち一人ひとりにパソコン・タブレットが配布されています。さらに、約60パーセントの学校では有償の学習ソフトの活用が進んでいるという状況です。

ベネッセでは、このGIGAスクール構想に対し、「ミライシード」というサービスをすでに全国約6,000校に提供しています。採用いただく学校数をさらに増やす活動を進めています。

高校領域における「Classi」、義務教育校務支援における「EDUCOM」も、ご利用いただく学校数を順調に増やしてきています。

日本の学校のデジタルによる学びの変化に対して、ベネッセも支援できることをしっかりと進めていきたいと考えています。

【K&F (キッズ&ファミリー)】たまひよ&こどもちゃれんじ(日本)

たまひよ&こどもちゃれんじ事業です。実はこの4月に、「たまごクラブ」「ひよこクラブ」を展開していたKids&Family事業本部と、「こどもちゃれんじ」を担当していたグローバルこどもちゃれんじカンパニーを統合し、新たにKids&Familyカンパニーを設置しました。

この組織統合により、少子化が進む中で、多くの保護者やお客さまと早い段階で接点を持ち、それをつなげていくことで、既存の事業の成長のみならず、この領域での新規事業開発へも積極的に挑戦していきたいと考えています。

【K&F (キッズ&ファミリー) 】中国こどもちゃれんじ事業

中国こどもちゃれんじ事業です。中国では、競合などの事業を取り巻く環境がこの1年でさらに激化してきています。そのような中、商品・サービスをさらに磨き、かつ販売構造もデジタルを起点に大きく変革する必要があると考えています。

商品・サービスでは、お客さまのニーズに応えていくため、今年の9月からデジタルと人による新しい商品を提供していきます。販売においても、今まで以上にデジタルマーケティングを強化し、ECの利用も強化する方向で取り組んでいきます。

【介護保育】介護事業:成長戦略

介護事業については、現在は新型コロナウイルスにより一時的な入居率の低下が起こっているものの、今後の成長に向けた戦略は大きく変えることなく取り組んでいきたいと思っています。

具体的には、ハイエンドホームの拡大やエリアドミナント戦略の深化、展開するエリアの拡大によってホーム数を着実に拡大していきます。また、現業の周辺事業での事業拡大にも挑戦していきたいと考えています。高齢化という社会課題に対して、教育事業に続く大きな柱として取り組み、引き続き事業の成長を図りたいと考えています。

【ベルリッツ】今後の展開

「ベルリッツ」については、昨年は世界的な新型コロナウイルス感染拡大による教室の閉鎖や留学の中止などの状況下、残念ながら業績へは大きなマイナスインパクトが発生してしまいました。一方で、コストのさらなる見直しやフランチャイズ化の推進などに取り組み、大きな固定費の削減を実現しています。

オンライン学習ができる「ベルリッツ2.0」を今年度中に整備し、2022年度の黒字化を目指して取り組んでいます。ベネッセホールディングスとしては、次年度の黒字化の可能性を今年度中にしっかりと見極め、今後の展開を遅滞なく判断していきたいと考えています。

FY22のV字回復の想定

以上の各事業の状況を踏まえ、2022年度までの2年で、新型コロナウイルス影響からのV字回復を必ず達成します。目標営業利益は260億円で、この数字をターゲットにしっかりと取り組みたいと考えています。

新中期経営計画の目標

中長期の成長戦略についてご説明します。スライドは、昨年発表した新中期経営計画でお示しした、今後5年間でどのようなことを進めていくのかということと、財務目標を整理したものです。

今年と来年の最初の2年間をフェーズ1として、新型コロナウイルス影響からのV字回復を着実に果たす2年間と位置付けました。その次の3年間はフェーズ2として、既存事業においてのさらなる成長、および既存事業周辺での成長をしっかりと果たしていきます。

一方で、新しい領域での成長に対しても、事業の可能性を見極め挑戦していくことに、2つのフェーズでしっかり取り組みたいと考えています。それらの結果として、2025年には営業利益率8パーセント以上、ROE10パーセント以上を実現することを目指します。

中長期的な事業の成長戦略

既存事業の周辺事業への着手は、スライドに記載のとおり、テーマを明確にして、現時点ですでに始まっています。具体的には、「進研ゼミ」部門での、先ほどお話ししたタブレットを基盤にした多様な学びのニーズへの挑戦、介護事業領域での介護人材の紹介事業への挑戦等です。

新領域においても、国内において大学社会人領域における学び事業の可能性への挑戦や、今まで国内で進めてきたベネッセのコア事業の海外展開の可能性をしっかりと探っていきたいと考えています。

中長期的な事業の成長戦略を支える基盤

ここまでお話しした事業戦略を支える基盤として、デジタル開発・DX推進が非常に重要なテーマになってくると捉え、昨年度の途中に、Digital Innovation Partnersという組織をホールディングスの中に立ち上げました。

この組織は、グループ全体あるいは各事業のデジタル開発・DX推進を支え、リードしていく役割を持った組織です。このような動きが認められ、5月には経産省によるDX認定も取得し、6月には経産省・東証からDXの取り組みが優れていると評価され、DX銘柄として選定される28社の中の1つとして選ばれるまでに至っています。

株主還元

株主還元については、今年度の配当は1株当たり50円を継続する予定ですので、ご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

さいごに

私の発表の最後です。これからの10年、世の中が直面する変化は過去に経験したことがないような巨大で多様なものになってくることが予想されます。教育/生活、介護というベネッセが取り組む事業領域においても、同様に大きな変化が起こってくると考えています。

そのような中、これからもベネッセグループは、世の中になくてはならない存在として、世の中の課題、お客さまの課題にどこよりも真摯に正面から取り組んでまいりたいと思います。そして、これらのことを通して企業価値の向上に努めてまいりたいと考えております。

株主のみなさま方におかれましては、私どもの取り組みに対するご理解とご支援を、引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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