この記事の読みどころ

  •  日銀短観の大企業製造業業況判断は6期ぶりに回復するかどうかが注目されます。
  •  米国の個人消費は引き続き底堅さを見せています。
  •  米国FOMCは12月の利上げを実行するでしょうか。今回は特にFOMC後のイエレンFRB議長定例記者会見にも注目です。

今週発表される経済指標の中から、特にマーケットインパクトを与えそうな経済指標をいくつかピックアップしてみました。ぜひチェックしましょう!

出所:各種報道をもとに筆者作成

日銀短観の大企業製造業業況判断は6期ぶりに回復するか

12月14日(水)8:50に、10-12月期日銀短観(全国企業短期経済観測調査)が発表されます。

日銀短観は、「Tankan」として外国人投資家にも知られ、国内外のマーケット参加者から特に注目されている経済指標です。中でも、マーケットインパクトの強い「大企業製造業業況判断」・「大企業製造業先行き」・「大企業全産業設備投資(設備投資の年度計画)」の3項目に絞ってチェックすると良いでしょう。

今回は、特に大企業製造業の景況感を表す業況判断指数が6期ぶりに回復するかどうかに関心が集まりそうです。

前回、7-9月期の同指数(DI)は6と、前回から横ばいとなりました。

今回、10-12月の同指数の市場予想は10と、6期ぶりの改善予想となっています。

余談ですが、2017年の日銀短観から「研究開発の投資」が追加されます。また、想定レートの調査には米ドルに加え、新たにユーロが加わります。今後、外国為替市場においてマーケットの節目として意識される可能性がありますので、注目が必要です。

引き続き底堅い米国の個人消費

同日22:30に、米国の11月小売売上高が発表されます。この指標は商務省センサス局が公表し、GDPを始め雇用統計や消費者信頼感指数との間に高い相関があります。

前回、10月の同指標は+0.8%(前月比)と、市場予想の+0.6%(同)を上回る内容となり、引き続き米国の個人消費は底堅い動きを見せています。

今回、11月の同指標の市場予想は+0.4%(同)と、前月より鈍化する見通しとなっています。

米国は12月の利上げを実行か

12月15日(木)4:00(日本時間)には、米国の連邦公開市場委員会(以下、FOMC)の政策金利が発表されます。

米国の政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は、同国の金融政策を決定する最高意思決定機関であるFOMCのメンバーの多数決によって決定されます。

また、FOMCでは、各地区の連邦準備銀行のベージュブック(景況報告)や、米FRB調査統計局が作成したグリーンブック(経済報告)をもとに議論が行われます。

米大統領選挙後の11月17日(木)、米上下両院の合同経済委員会で議会証言に臨んだイエレンFRB議長は、「比較的近い時期の利上げが適切だ」との旨を表明したことから、今回のFOMC後に行なわれるイエレンFRB議長による定例記者会見には、特に注目が集まりそうです。

【参考情報】各経済指標の元データ

日銀短観については日銀のウェブサイト、米小売売上高は商務省センサス局のウェブサイト、FOMCはFRBのウェブサイトをそれぞれご参照ください。

 

岡野 辰太郎