今春、改正高年齢者雇用安定法の施行によって、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務になりました。法整備、そして働き方の多様化などもあいまって、還暦を過ぎても仕事を続ける人が増えていますね。

70代になると、年金暮らしに入って落ち着いている人、まだまだ元気に働いている人、さまざまな人がいると思いますが、やはり気になるのは「お金のこと」ではないでしょうか。

みんなどのくらい貯金をしているのか、70代の生活費はいくらかかるのか、年金はどのくらいもらえるのか、これらの疑問にお答えします。

70代の貯蓄額はいくら?

金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から、70歳以上の貯蓄額の平均値と中央値を見てみましょう。【表1】をごらんください。

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに筆者作成

金融資産を保有している世帯に限った調査では、平均値は2208万円、中央値は1394万円となり、金融資産を保有していない世帯を含んだ調査では、平均値は1786万円、中央値は1000万円でした。

平均値は一部の富裕層の貯蓄額の多さによって引き上げられる傾向があるため、貯蓄額が低い世帯から順に並べた時にちょうど真ん中にくる世帯の貯蓄額を表した「中央値」がより実態に近いとされます。

しかし、今回の調査では金融資産を保有していない世帯の割合が18.6%と非常に多く、また貯蓄額が3000万円以上と答えた人も19.0%と高い数値になっており、両極端の結果となっています。

70歳以上の貯蓄額分布をグラフにまとめました。

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに筆者作成

このような二極化した状況では、平均値も中央値も実態を表しているとはいえないでしょう。格差が広がっていることが強く印象付けられる結果となりました。