2019年、金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書に端を発した「老後2000万円問題」が、まだ記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。
モデルケースとなる高齢夫婦世帯について「老後の生活には、年金以外に2000万円が必要である」という試算が出され、世間の注目を集めましたね。
「わが家の場合、老後資金をどのくらい準備すればいいの?」「そもそも年金って、いったいどのくらいもらえるの?」
そんな疑問を持たれた方も多いはずです。
老後の年金受給額は、現役時代の年金加入状況によって個人差が生じます。しかし「現在のシニア世代」の受給額のようすを知ることは、老後資金の計画を立てる上でも何らかの参考になりそうです。
そこで今回は、厚生労働省年金局の「令和元年(2019年)度 厚生年金・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金・厚生年金の年金月額を見ていきます。
年金制度の「きほん」
日本の公的年金制度は「国民年金(1階部分)」と「厚生年金(2階部分)」という2つの年金制度から構成されていることから、「2階建て構造」などと呼ばれます。
「国民年金」は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する、いわば年金のベース部分という性格を持つことから「基礎年金」とも呼ばれます。一方、「厚生年金」は、会社員や公務員などが、国民年金に上乗せして加入します。
では、「国民年金」「厚生年金」の受給額について眺めていきます。
国民年金「みんなの年金月額」
自営業・フリーランスなどの「第1号被保険者」や、専業主婦(主夫)などの「第3号被保険者」は、老後に「老齢基礎年金」を受け取ります。その年金月額を整理していきます。
国民年金平均年金月額
全体…5万5946円
- 男性…5万8866円、女性…5万3699円
国民年金【男性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
- ~1万円未満…1万2693人
- 1万円以上~2万円未満…6万803人
- 2万円以上~3万円未満…22万1983人
- 3万円以上~4万円未満…70万6206人
- 4万円以上~5万円未満…134万5582人
- 5万円以上~6万円未満…312万4529人
- 6万円以上~7万円未満…849万4551人
- 7万円以上…38万1323人
国民年金【女性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
- ~1万円未満…6万6247人
- 1万円以上~2万円未満…24万4695人
- 2万円以上~3万円未満…74万63人
- 3万円以上~4万円未満…226万4161人
- 4万円以上~5万円未満…336万406人
- 5万円以上~6万円未満…454万1337人
- 6万円以上~7万円未満…598万7227人
- 7万円以上…144万306人
国民年金の受給額には、男女の差はあまりありませんね。次では厚生年金についても見ていきます。