少子化は経済面でも深刻な影響

少子化は国難です。何といっても、日本人が将来的にはゼロになってしまうかもしれないわけですから。しかし、それを言う前に、経済への深刻な影響についても大いに懸念する必要があるでしょう。

2020年代の出生数が大きく落ち込むと、2040年代に就職する人数が激減します。その頃に定年退職する人数は別に減らないでしょうから、現役世代の数が激減するわけです。一方で、高齢化は進むので、介護や医療といった労働集約的な需要が増えて、労働力不足が深刻化することが懸念されます。

まあ、労働力は余っているより足りない方が良いわけで、その意味では過度な懸念は不要なのかもしれませんが、それにしても急激な変化は望ましくないでしょう。

少子化がずっと続くのは困りますが、新型コロナが収束し、出会いも婚姻も出産も元に戻るとすると、人口ピラミッドに窪みができることになります。ある世代だけが人数が少ない、歪な形となるわけで、これも困ったことかもしれません。

団塊世代が小学校不足、中学校不足を招いたのと反対に、小学校や中学校が一時的に大量に余るかもしれません。

悪くすると、保育園が大量に倒産し、その後に子供の数が戻った時に待機児童が大量に発生する、といったことが起きるかもしれませんね。その十数年後には大学で同じことが起きるかもしれません。

新型コロナの感染を抑え込むためにステイホームすべきだ、という主張は理解できますが、一方で、こうしたステイホームの弊害についても十分に考慮した上で政策判断がなされることを期待しましょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義