新型コロナの流行を抑え込むためにステイホームが推奨されていますが、その弊害は大きいので、感染症対策と弊害抑制のバランスが大事だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

ステイホームのメリットとデメリットを比較すべき

新型コロナを抑え込むには人と人の接触を減らすことが大事だ、ということでステイホームが推奨されています。東京等の緊急事態宣言は延長されませんでしたが、それでも様々な自粛が要請されているわけです。

新型コロナを抑え込む努力が必要なことは当然ですが、その際には努力をすることのメリットとデメリットを冷静に比較する必要があります。ところが、その比較が容易ではないので、人により判断が大きく異なるわけです。

感染症の専門家は、感染症を抑え込む必要性を強調するでしょうが、経済の専門家はステイホームが景気を悪化させて失業や倒産や自殺を増やしかねないとして反対するかもしれません。

どれくらい自粛すると感染がどれくらい減るのか、倒産や自殺がどれくらい増えるのか、という予測が可能ならば、判断も容易なのでしょうが、どちらも予測が難しいので、限られた情報の中で最適と思われる選択肢を政治家に選んでもらうしかない、というわけですね。

もうひとつ、各自が自分の利益だけを考えて発言するならば、収拾がつかなくなります。たとえば高齢者が「経済が死んでも自分が死ななければ良い」などと発言し、それが一定の支持を集めるようなことがあったとしても、そこを政治がうまく調整する必要があるわけです。

感染ゼロを目指す必要はない

一部の人は、感染ゼロを目指すべきだと考えているようですが、筆者はそうは思いません。日本国内で感染ゼロを達成しても、海外から再度感染するリスクがあるとすれば、ゼロに大きな意味はないからです。

そこで想起すべきなのは、我々は新型コロナ以外のリスクとは、折り合いをつけているということです。