2021年6月4日、医療制度改革関連法が参院本会議で可決、成立しました。一定の所得がある後期高齢者(75歳以上)の医療費の自己負担を1割から2割に引き上げることなどが目玉です。収入に応じて高齢者に負担を求め、現役世代の負担を抑制することが目的です。

今回の改正は、高齢者の方はもちろん、現役世代の人にも関わる重要な内容なので、ポイントを解説していきます。

自己負担2割 370万人が対象に

それでは、今回の制度改正を具体的に見ていきましょう。

今回の改正で、医療費の自己負担が2割となるのは、下記の2つの条件を満たす場合です。

  • 課税所得28万円以上(所得上位30%)
  • 年収200万円以上(単身世帯)または年収320万円(複数世帯)

対象者数は約370万人で、被保険者の全体(約1815万人)のうち20%にあたります。

制度の運用がはじまるのは2022年10月~2023年3月の間となっています。

また、長期に渡り頻繁に受診を受ける人など、2割負担による影響が大きい外来患者の人には経過措置があります。今回の法律が施行後3年間は、ひと月分の負担増を最大3000円に抑えるような措置を導入します。 

たとえば、外来受診をした場合、現在5000円を負担している人は、制度が運用されてからは2割負担の1万円になるのが原則です。ただ、先述したひと月3000円の経過措置を適用する場合は、負担が増えた分の5000円から3000円を超える「2000円分」が軽減されます。このため、実際の負担額は8000円となります。

それではなぜ、このような制度の改正にいたったのでしょうか。

その背景を次に見ていきましょう。