いぶし銀的な企業とは
派手さはないが、味わいがあることを「いぶし銀」と形容しますが、日本の株式市場にもそうした企業は数多く上場しています。また、大スターほど誰もが知る存在でなくても、いい仕事をするベテランの俳優や野球選手のように存在感のある会社を見つけ出し、応援することは株式投資の醍醐味の一つです。
明確な定義はないものの、”いぶし銀企業”は社歴が長い、あるいは一般消費者向けではなく産業・公共分野向け事業を中心としている企業だと捉えられる場合が多いと思われます。
ちなみに、上場企業に限らず、日本には社歴の長い企業が比較的多く存在します。投信1の記事『【2017年に100周年を迎える企業に見る日本の競争力】』によると、「2014年9月の時点で業歴が100年以上ある企業は、日本には約27,000社」もあるとのことです。
さらに、世界全体の創業200年を超える老舗企業の中で半分超が日本にある企業というデータもあるそうです。つまり、日本は人間の平均寿命が長いだけではなく、企業も長生きする会社が世界の平均よりも多いといことです。
長寿企業イコール良い企業ということでは必ずしもありませんが、“長生きできた”ということは、それだけ長い期間、顧客や社会に必要されたということでもあります。このような、社歴が長い企業の隠れた強みに注目したいと思います。
12月、1月に株主優待の権利確定日を迎える”いぶし銀銘柄”3選
では、12月、1月に株主優待の権利確定日※を迎える企業の中から、いぶし銀的な企業を探してみたいと思います。上述したように明確な定義はありませんが、筆者は以下の3社がそれに当てはまるのではないかと考えました。
※株主優待を受けるには権利確定日と呼ばれる特定の日に株主名簿に載っていることが条件となります。詳しくは『権利確定日と権利付き最終売買日の一覧表(~2017年12月末まで)』を参考にしてください。
不二電機工業(6654)は、1953年創業の京都に本社を持つ制御用開閉器メーカーです。規模は比較的小さな会社ですが(2016年1月期の売上高は40億円)、同社の製品は発電所、変電所、鉄道、工場、ビル設備、環境施設など社会インフラの根幹部で使われており、まさに”黒子”として私たちの生活を支えています。
ちなみに、同社では、中長期的に株式を保有してもらうことを目的に株主優待制度を導入しており、株主になると保有株数に応じた額のクオカードをもらえます(権利確定月は1月と7月の年2回)。
マブチモーター(6592)は1954年創業の小型モーター専業メーカーです。同社の製品を直接目にすることは稀ですが、自動車ではパワーウインド、パワーシート、ドアロック、ミラー、エアコンダンパーなどに幅広く使われています。また、自動車以外ではドライヤー、工具、インクジェットプリンター、玩具などでも使われています。
なお、同社の株主になると保有株式数および一部保有年数に応じて、本社所在地である千葉県産のソーセージ詰め合わせ、地ビール、蛤吸い物セットや、創業の地である香川県産のオリーブ豚チャーシュー、鰆の味噌漬けなどをもらうことができます。優待も”いぶし銀”です(権利確定月は12月のみ)。
カナレ電気(5819)は、1974年創業の電設資材メーカーです。放送用ケーブル、ハーネス、コネクターを製造し、国内外の放送局、通信会社、官公庁などに販売しています。同社も株主優待制度を設けており、株主になると保有株数に応じてクオカードをもらえます(権利確定月は6月と12月の年2回)。
株主優待をもらうには?
いかがでしたか? 派手ではないけれども、実力や魅力のある会社は上記以外にもまだまだあると思いますので、ご自身で企業のIRサイトなどを参考にしながら、銘柄発掘を続けられることをおすすめします。
なお、株主優待をもらうためには、証券会社に口座を開設する必要があります。口座開設の簡単さや投資する際の手数料の安さを追求するならば、ネット証券がおすすめです。
株主優待を始めるのに便利な証券会社を詳しく知りたいという方は、『株主優待生活におすすめの証券会社は?』をご参照ください。
LIMO編集部