子どもの悩みへの理解は十分か

昨年度はインターハイや合唱コンクールなど、運動部、文化部関係なく大きな大会が次々と中止となり、これまでの努力を発表する場が失われました。

部活動の制限、修学旅行の中止、そして学校生活でも以前のように大勢で集まって何かをすることも語り合うことも難しくなりました。

「緊急事態だから仕方がない」「大人はもっと大変」という言葉で片づけられても、中学生や高校生は非常事態を素直に消化するだけの人生経験を積んではいるとは言えません。

それと同時に、周囲の目を気にして心の中にため込んだストレスを上手に吐き出すことができないままでいる子も少なくないことは、アンケート結果からも明らかです。

日本でも、スクールカウンセラーや電話窓口などが設置されるようになり、子どもが悩みを吐露する場所は年々増えてきています。しかし、子どもの悩みを軽く考えたり、「自分で解決しなさい」と声をかけてしまう親も少なくはないでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校の影響は、大人が思う以上に深いのかもしれません。軽々しく「まだ子どもだから」の言葉で片づけてしまうのは避けるべきでしょう。無理をし続け、「限界がきてから周囲の大人が気がつく」では遅いこともあります。

見た目は元気でも心の把握は難しい

昨年、筆者の子どもたちは園児と小学生ということもあり、休校措置を長期休みが始まったという感覚で受け止め、初めは喜んでいたものです。

ところが4月下旬頃から、「早く学校始まらないかな」と口にするようになりました。一番驚いたのが、普段は幼稚園にあまり行きたがらなかった末っ子が、5月に入ると「お友だちと会いたい」と言い出したことです。

夏休み明けは大泣きして幼稚園に行きたがらないような子が、思うように外出できず家の中で過ごす時間が極端に増えたことで、園を恋しく思っていることに驚きました。