住友ベークライトは、自動車をはじめとするモビリティー市場向けに需要拡大が見込まれるエポキシ樹脂封止材料の生産体制を海外で強化する。ベルギーにある生産子会社での新ライン設置が2022年3月ごろに完了するほか、今後は北米エリアでの生産も本格的に検討していく。

ベルギー新ラインは22年完成予定

 同社の封止材事業は従来の半導体パッケージ向けに加えて、車載向けにも注力しており、20年4月には「モビリティー材料営業部」を発足させ、事業体制を強化していた。モーター磁石固定材料のほか、ECU一括封止材料などを提案しており、25年度(26年度)に車載用封止材料で売上高120億円の達成を目指している。

 20年5月にベルギーの生産子会社であるVyncolit社で年産数千t規模の新ラインを設置することを発表。22年3月ごろの完成を目指しているほか、現在は北米市場での生産も検討しており、海外での生産体制強化に力を入れている。

 半導体封止材料に関しても、中国・蘇州での増産投資を進めるほか、MUF(Mold Under Fill)材料も日中台の3極体制を確立していく方針で、さらなる能力拡大を進めていく。

巣ごもり需要など受け足元業績も好調

 20年度通期業績のうち、封止材料が主力の半導体関連材料事業は売上高が前年度比15%増の573億円、事業利益が同22%増の94億円の増収増益となった。パソコンやサーバー向けなどがコロナ禍による巣ごもり需要などを受けて好調に推移。上期に低調であった自動車向けも下期以降は回復した。

 21年度は売上高が同6%増の610億円、事業利益が同5%増の99億円と引き続き増収増益の達成を目指す。原料価格の高騰などを受けて、21年2月以降に封止材の値上げも一部で実施しており、今後こうした部分もプラス要因として寄与してくる見通し。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳